BTC現物ETFに2日で17億ドル、それでも下落
BTC現物ETFへの買いは、22日まで続いていました。それでも24日早朝のBTCは下げています。これは矛盾ではなく、この二つが同じ期間の数字ではないからです。ETFの集計は22日の取引までで、価格はその後の23日に起きた米金利の上昇と原油の反発まで反映しています。
具体的には、米BTC現物ETFに22日だけで7億1,470万ドルが純流入し、21日と合わせた2日間で17億1,370万ドルが入りました。一方、24日早朝のBTCは8万4,000ドル台です。Farside、CoinGlass
今日の判断では、「22日まで買いが続いた」という事実と、「23日以降、その買いが試される環境に変わった」という変化を分けて見ます。
主要指標
| 指標 | 確認値 | 基準時点・出典 |
|---|---|---|
| BTC/ETH | 84,387.70ドル(24時間比-2.22%)/2,674.29ドル(同-2.83%) | 9/24 6:13 JST取得のページ表示・BTC、ETH |
| 米BTC/ETH現物ETF | 9/22:+7億1,470万ドル/+1億6,220万ドル。9/23分は未集計です | 9/22分は掲載銘柄の入力済み集計値です・Farside BTC、ETH |
| BTC先物OI/24時間清算 | 576.2億ドル/1億7,184万ドル | CoinGlass対象取引所集計、同取得時点です・CoinGlass |
| ステーブルコイン時価総額 | 3,065.64億ドル。1日-0.06%、7日+0.72% | 9/24 6:14 JST取得のページ表示です・DefiLlama |
| S&P500/ナスダック/ダウ | 7,706.05(-0.75%)/26,936.04(-1.13%)/51,511.59(-0.68%) | 米9/23終値です・Reuters |
| 米2年/10年国債利回り | 4.85%/5.11%。前日比+0.14/+0.15ポイント | 米9/23の日次系列です・米財務省 |
| ドル円 | 158.33円(ドルが0.61%上昇) | 米9/23のReuters記事中の市場値です・Reuters |
| Brent/WTI原油先物 | 103.08ドル(+3.86%)/92.16ドル(+1.81%) | ともに11月限、米9/23清算値、1バレル当たりです・Reuters |
暗号資産の価格は取得時の表示値で、更新時刻は明示されていません。ETFの集計値も後日修正されることがあります。清算額はロングとショートの合計です。Funding(先物の資金調達料率)と現物CVD(成行の買いと売りの差を積み上げた値)は、条件をそろえた比較ができなかったため、今回は判断に使っていません。
ETFの買いは2日続いたが、下げた23日の数字はまだない
流入の日付と下落の日付がずれている
前回は21日分しかなかった現物需要の裏づけが、22日にも続きました。BTC現物ETFではIBITに3億5,030万ドル、FBTCに2億5,740万ドルが入り、ほかの銘柄にも流入があります。ETH現物ETFも1億6,220万ドルの純流入でした。Farside BTC、ETH
ただ、金利上昇と株安が起きた23日の分は、まだ集計されていません。「ETFが買っているのにBTCが下がる」を同じ日の出来事として読むと、判断を誤ります。23日に流入が残ったのか、流出に転じたのかで、今回の下落の意味は変わります。
なお、銘柄ごとの欄が空いたまま合計が「0.0」になっている日は、ゼロではなく未集計として扱います。また、ETFの流入だけでは、ほかの市場での売りやヘッジまで含めた需給の全体像は分かりません。
建玉が減っただけでは、安心できる押し目とは言えない
BTC先物のOI(決済されずに残っている契約の残高)は576.2億ドルで、前回の612.5億ドルから約5.9%減りました。一方、24時間の清算額は約5,405万ドルから約1億7,184万ドルに増えています。CoinGlass
価格が下がりながら建玉が減るのは、持ち高の整理が進んでいるときの形です。ただ、ドル建てのOIは価格が下がるだけでも減りますし、清算額は集計する24時間の区切りがずれます。誰が売ったのか、整理が終わったのかまでは、この数字からは言えません。
ステーブルコインは週間では増えていますが、直近1日は微減です。残高には決済用の資金なども含まれるため、全額をBTCの買い余力とは数えていません。DefiLlama
強すぎる米景気が利上げ警戒を呼び、金利を押し上げた
景気の強さが、物価の再加速として受け止められた
9月の米総合PMI速報値は56.0から58.4へ上がり、2021年7月以来の高さになりました。PMIは企業の景況感を示す指標で、50を上回れば拡大、下回れば縮小です。同時に、企業が仕入れで払う価格の動きを示す投入価格指数も、59.9から66.4へ急上昇しています。Reuters・米PMI
本来、景気が強ければ企業業績の追い風です。ところが需要に供給が追いつかない局面では、受注の増加が値上げにつながり、追加利上げへの警戒を呼びます。今回の市場は、成長の恩恵より、金融引き締めへの警戒を優先しました。
短期も長期も、金利がそろって上がった
米財務省の日次データでは、2年金利が4.71%から4.85%、10年金利が4.96%から5.11%に上がりました。長短の金利差は0.25から0.26ポイントとほぼ横ばいです。今回の中心は金利差の変化ではなく、金利の水準そのものが上がったことです。米財務省
株から逃げた資金が米国債に向かったのなら、国債が買われて利回りは下がるはずです。実際には利回りが上がり、ドルも円などに対して上昇しました。今回の株安を「安全な国債への逃避」と読むことはできません。Reuters・世界市場
次に見るのは、米金利がさらに高値を更新するかどうかです。好材料が出ても株価やBTCが戻らないなら、市場は金利の重さを優先していることになります。
原油の反発が、供給回復への安心感を押し戻した
輸送の改善と、緊張緩和への期待は別々に動く
Brentは3.86%高の103.08ドルで清算し、前日の100ドル割れから切り返しました。イラン大統領の国連演説を受けて、早期の緊張緩和への期待がしぼんだためです。Reuters・原油
前回取り上げた東西パイプラインの再稼働は、ホルムズ海峡を迂回するルートの改善です。ホルムズ経由の輸送が一部戻ることや、海峡全体が正常化することとは別の話です。Reuters・22日の輸送状況
今回の反発は、輸送の回復が止まったことを意味しません。供給が戻りつつあるところに、外交・軍事のリスクが再び重なった形です。声明の内容と、実際の積み出し量・通航量は分けて確認していきます。
米国が軽油の輸出を90日間禁止するという報道は、ホワイトハウスが否定しました。政策として織り込まず、正式な発表を待ちます。Reuters・軽油輸出
なお、WTIは前回掲載した10月限から11月限に切り替わっています。前回の94.99ドルと今回の92.16ドルを並べて「原油安が続いた」とは言えません。同じ11月限で比べると、前日比は+1.81%の上昇です。Reuters・9月22日配信、MT Newswires・11月限
AI投資は続くが、関連株をまとめて買う動きは後退した
投資が続くことと、株価が上がることは同じではない
Microsoftは、2030年までにUAE・サウジアラビア・カタール・クウェートで100億ドル超を投じる計画を示しました。クラウドやAI基盤が対象ですが、従来計画の継続分も含んでおり、全額が新たな上乗せではありません。Reuters・Microsoft
AI需要が消えたわけではありません。ただ、金利が上がると、将来の利益に対して投資家が払ってもよいと考える価格は下がります。投資計画が続いていても、株価が上がるとは限りません。投資額の大きさだけでなく、いつ稼働し、いつ売上に変わり、その資金をいくらで調達するのかまで見たい局面です。
AIが顧客との接点を奪うという懸念が、旅行や買い物に広がる
23日はMetaが約1%上げた一方、Alphabetは3.8%安、Amazonは2.2%安でした。半導体株の指数も1.2%下げています。エネルギー株は買われたものの、S&P500の11業種のうち9業種が下落しました。Reuters・米株
市場で意識されたのが、MetaのAIエージェント「Muse」です。買い物や旅行の予約などを利用者の代わりにこなします。利用者が検索サイトや予約サイトを直接訪れなくなれば、既存企業の顧客との接点や手数料収入が変わるかもしれない、という懸念です。ただし、懸念が株価に織り込まれることと、実際に売上が減ることは分けて考えます。Reuters・Muse
22日の米半導体株の強さを、そのまま今日の買い判断に持ち込むことはできません。金利が市場全体を押し下げる力と、事業ごとの競争リスクが重なっているからです。株価の明暗は選別が進んでいることを示しますが、売られた株の資金がMetaやBTCに移ったという証拠ではありません。
焦点は「金融環境が悪化しても買いが残るか」に移った
現物需要の確認は、1日分から2日分に増えました。その一方で、原油は反発し、米金利も上がっています。昨日までの焦点は「買いが続くか」でしたが、今日は「金融環境が悪くなっても買いが残るか」です。
BTCは、23日分のETFと下落後の値動きで見方を修正する
- 反発が続くと判断する条件は、23日以降もETFへの流入が残り、清算の拡大が収まり、価格が下げ止まることです。金利や原油の上昇が一服すれば、外部環境の重さも和らぎます。
- まだ整理の途中と判断する条件は、建玉が減り続けているのに、安値の更新が止まらないことです。建玉の減少だけで押し目の完成とはしません。
- 警戒を強める条件は、ETFが流出に転じ、価格の下落と清算の拡大が重なることです。そこに米金利と原油の高値更新が加われば、現物需要と外部環境の両方が悪化したことになります。
確認する順番は、23日分のETF集計、BTCが安値を更新するかと清算額、米金利と原油です。
日本の現物株は21~23日の休場を終え、24日に取引を再開します。休場中の米国では、22日の半導体株高と、23日の金利上昇・株安の両方が起きました。前者だけで寄り付きを判断せず、両方を消化したあとの値動きを確認します。JPX
Take-home message
- ETFへの流入と価格の下落は、日付をそろえてから比べます。今回、流入を確認できるのは22日までで、下げた23日の分はまだ出ていません。
- 景気が強すぎると、利上げへの警戒から金利が上がり、株やBTCの重しになることがあります。建玉が減っただけで、押し目の完成とは判断しません。
- AIへの投資が続くことと、関連株が上がることは別の話です。金利と競争環境によって株価は分かれるため、投資計画と実際の利益を分けて見ます。
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