米株反発でもBTCは7万6,000ドル台――ETFは2日で7.46億ドル流出、SECは株式トークン化を前進
今回の結論は、米国株の反発と暗号資産への資金回帰を分けて考える必要があるということです。
原油が104.82ドルへ下がり、米10年金利も5%を割れたことで、S&P500は1.14%高、Nasdaqは1.69%高となりました。失業保険申請件数が19万6,000件へ減り、景気が急失速していないことも買い戻しを支えています。
一方、BTCは約7万6,614ドルで24時間比0.61%高にとどまります。直近確定した9月16日の米現物ETFはBTCが2億9,590万ドル、ETHが2億2,410万ドルの流出でした。9月15日と合算すると、BTCは7億4,630万ドルの流出です。株高だけを見て「リスク資金が暗号資産へ戻った」と判断するには、現物フローが足りません。
ただしBlockchainには別の資金移動があります。SECがトークン化株式の取引基盤へ5年間の条件付き適用除外を設け、Coinbase、Circle、Robinhoodは5%台上昇しました。当日の価格反応では、BTC現物より、規制変更を収益機会へ変えられる金融インフラが選ばれました。
主要指標
| 指標 | 確認値 | 基準時点・出典 |
|---|---|---|
| BTC | 76,613.80ドル/24時間比+0.61% | 9/18 6:12 JST頃・CoinGlass |
| ETH | 2,450.05ドル/24時間比+1.70% | 9/18 6:12 JST頃・CoinGlass |
| BTC先物OI/24時間清算 | 513.27億ドル/3,475.4万ドル | 主要取引所集計、9/18 6:12 JST頃・CoinGlass |
| 米BTC/ETH現物ETF | 9/16取引分:-2億9,590万ドル/-2億2,410万ドル | 確定値。9/17分は未確定・Farside BTC、Farside ETH |
| 日経平均/TOPIX | 64,136.25(+0.33%)/4,094.19(+0.80%) | 9/17終値・日経平均公式、Google Finance |
| S&P500/Nasdaq/ダウ | 7,637.74(+1.14%)/26,418.30(+1.69%)/51,779.85(+0.62%) | 米9/17終値・Reuters |
| 米2年/10年金利 | 4.717%/4.949% | 米9/17終盤・WSJ 2年、Reuters 10年 |
| DXY/ドル円 | 100.23/156.06円 | 米9/17終盤・Reuters |
| Brent/WTI原油 | 104.82ドル(-0.95%)/101.91ドル(-0.50%) | 米9/17清算値、1バレル・Reuters |
| 金現物 | 4,350.37ドル/+2.07% | 米9/17終盤、1トロイオンス・Reuters |
日本株はFOMC後の取引ですが、その後の米国株反発は反映していません。暗号資産価格とデリバティブは9月18日朝、ETFフローは9月16日の米国取引分で、同一時点ではありません。Farsideの9月17日欄は全銘柄が未入力のため、表示上の合計0.0を純流入ゼロとは扱っていません。
Funding、現物CVD、ステーブルコイン供給は、前回と同一条件で比較できる最新値を確認できず、方向判断から外しました。
原油104.82ドルと米10年4.95%がFOMC売りを巻き戻す
株高でも10月追加利上げの織り込みは残っている
米主要3指数は3日続落を止め、半導体指数は3%超上昇しました。値上がり銘柄はNYSEで値下がりの2.38倍、Nasdaqで2.21倍となり、時価総額の大きい銘柄だけの反発でもありません。Reuters
買い戻しを許したのは、Brent原油が前日の105.83ドルから104.82ドルへ下がり、米10年金利も5.00%から4.949%へ戻ったことです。高金利が消えたのではなく、原油と金利が同時に上がり続ける最悪の組み合わせが一日緩みました。
新規失業保険申請件数は前週から1万件減の19万6,000件で、市場予想の20万8,000件を下回りました。4週平均も20万3,250件へ減っています。ただし祝日前後の季節調整が数字を押し下げた可能性があり、一週だけで雇用再加速とは決められません。Reuters
強い雇用は企業利益には安心材料ですが、FRBが物価抑制を優先できる材料でもあります。市場が織り込む10月の0.25ポイント追加利上げ確率は53.1%と、1週間前の27.2%を上回りました。今回の株高は金融緩和への転換ではなく、「景気は崩れておらず、原油と長期金利が今日は下がった」という買い戻しです。
SECの5年特例で関連株が上がり、BTCはETF流出
株主権を持つトークンだけが実験の対象に
SECは、トークン化された米国上場株をオンチェーンで取引する基盤に対し、取引所登録などの一部要件を5年間免除する「Innovation Exemption」を公表しました。SEC公式
全面的な規制撤廃ではありません。対象は配当・議決権など通常株式と同じ権利を持つトークンで、値動きだけを再現する合成商品は対象外です。銘柄数と取引量に上限があり、発行企業は第三者によるトークン化へ異議を唱えられます。原株が売買停止になれば、トークンも止める必要があります。
それでも、CLARITY Actの審議入り失敗から2日後に、行政権限で実験可能な枠ができた意味は大きく、CoinbaseとCircleは各5.8%高、Robinhoodは5.2%高となりました。Reuters
ただし、この特例は暗号資産市場全体の監督区分を定める法律の代わりではありません。今回は「暗号資産そのもの」より、「既存株式をBlockchain上で扱う事業」の見通しが改善しました。
2日で7.46億ドルの流出を残しBTCの反発は限定的にとどまる
9月16日の米BTC現物ETFは2億9,590万ドルの純流出で、9月15日の4億5,040万ドルに続く2日連続流出です。合計は7億4,630万ドルとなりました。ETHも2日合計で3億6,610万ドルの流出です。Farside BTC、Farside ETH
BTC先物OIは前回締切の521.61億ドルから513.27億ドルへ約1.6%減り、24時間清算は8,571万ドルから3,475万ドルへ縮小しました。価格を崩さず建玉が減ったため、FOMC前後のレバレッジ整理は進んでいます。
ただし、価格安定を「新しい現物買い」と結論づける根拠はまだありません。ETFは資金流出、OIも減少しており、確認できる範囲では売買の混雑が和らいだ状態です。9月17日のETFが流入へ変わるかが、次の判断材料になります。
AI資金は計算需要を認めても調達方法を選別する
39億ドルが新興クラウドへ入り、上場企業は調達負担で売られる
AIインフラ企業Crusoeは39億ドルを調達し、資金調達後の企業価値は309億ドルとなりました。契約済み金額は1,400億ドル超、契約電力は6GW超で、うち1GWが稼働中です。Reuters
一方、CoreWeaveは30億ドルの転換社債と最大3,500万株の市場売却枠を発表し、株価は4.2%下落しました。受注残は1,042億ドル、契約電力は4.2GWへ増えていますが、投資家は需要の大きさと同時に、利払いと将来の株式希薄化を見ています。Reuters
AI計算能力の不足も数字に表れています。Nebiusは一部Nvidia GPUの従量料金を10月から17〜21%引き上げます。GlobalFoundriesとMarvellは光通信半導体の生産能力を増やす複数年契約を拡大し、発表後の午前取引ではそれぞれ約4%、6.3%上昇しました。Nebius、GlobalFoundries・Marvell
需要は弱まっていません。しかし金利が約5%ある環境では、「計算資源を確保できる企業」と「その設備費を既存株主や債権者へどれだけ負担させる企業か」が別々に評価されます。次は契約額だけでなく、設備の稼働率、資金調達コスト、1MW当たりの売上とキャッシュフローが焦点です。
前日までとの差分が日銀後の確認順序を変える
危機解消ではなく二つの圧力が一日緩む
前日はFRBが年内の追加利上げを示し、米10年金利は5.00%、BTC ETFは9月15日に4億5,040万ドル流出していました。今回は原油と長期金利が下がり、米国株と半導体株は反発しました。
一方、BTC ETFの流出は9月16日も続きました。原油も、サウジの東西パイプラインで従来認識より多い3カ所のポンプ施設が損傷し、修理に5〜6週間かかるとの推計があります。半分の能力を早期に戻すとの報道はありますが、サウジ当局は再開時期を示していません。Reuters
Brentの下落はオマーン経由の代替輸送を評価したもので、供給網の復旧ではありません。欧米の軽油先物も記録的な水準にあり、先物原油だけでインフレ圧力の解消を判断できません。
日銀は9月17〜18日に会合を開いており、調査締切時点では結果発表前です。日本銀行 1.00%から1.25%への利上げが中心予想ですが、ドル円は156円台にあります。Reuters 予想どおりの利上げより、その後の追加利上げにどこまで踏み込むかが、円と日本株の反応を分けます。
BTC中心の条件付きシナリオが次の判断を分ける
- 反発の質が改善する条件:米10年金利が5%未満を保ち、Brentの下落に軽油価格と輸送コストの低下も続くことです。BTCが7万6,000ドル台を維持してもOIが再膨張せず、9月17日以降のETFで複数商品への流入が確認できれば、価格と現物需要が同じ方向を向き始めます。
- 慎重姿勢を強める条件:米10年金利が再び5%を超え、原油も今週高値方向へ戻ることです。BTCが7万5,000ドル台を維持できないままOIと清算が増え、ETF流出が3日以上続けば、金利・供給不安・現物需要の弱さが重なります。
- 判断を保留する条件:Coinbaseなど関連株が上昇してもBTC ETFの流出が続く場合です。これはBlockchainインフラへの選好であり、BTCへの資金回帰とは異なります。日銀後も円安が続く場合を含め、株価だけで決めず、米金利、原油、ETF確定値の順に確認します。
Take-home message
- S&P500は1.14%高、Nasdaqは1.69%高となりましたが、金融緩和への転換ではありません。原油と米10年金利が一日下がり、強い雇用を背景にFOMC後の売りが買い戻された動きです。
- SECの5年特例でCoinbase、Circle、Robinhoodは5%台上昇しました。一方、BTC ETFは2日で7億4,630万ドル流出しています。Blockchain事業への期待とBTC現物需要は分けて確認する必要があります。
- AIではCrusoeへ39億ドルが入り、計算資源の価格も上昇していますが、CoreWeaveは大型資金調達で売られました。需要の有無より、設備費を誰が負担し、いつキャッシュへ変えられるかが選別軸です。
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