月曜の朝、週末に上がっていたビットコイン(BTC)を見て「平日のうちに乗っておけばよかった」と焦る。そして、米国市場の反応を確かめる前に買いを入れてしまう。この場面に覚えのある方は少なくないと思います。

週末の上昇は、市場の参加者が全員そろって付けた値段ではありません。米国の現物ETF(上場投資信託)は休場で、原油・米国債・米国株も週末の材料にまだ反応していません。BTCの値段だけが先に動いた、いわば「開票途中」の状態です。

残りの票は、今日から時刻順に開きます。朝7時に原油と米国債の先物、17時にBitgetの出金再開、21時30分に米国株、明日の朝にETFの資金フローです。この順に確かめれば、週末の反発が平日も続くかを、焦らずに判断できます。

週末の上げは、中身がまだ見えない

価格は上がったが、建玉の枚数はほぼ増えていない

BTCは前回締切時の8万4,035ドルから8万4,562.70ドルへ、約0.63%上昇しました。先物の建玉(まだ決済されていない契約の残高)は、ドル建てで545.8億ドルから547.82億ドルへ約0.37%増えています。

ドル建ての建玉は、BTCの値上がりだけでも膨らみます。そこで価格で割って枚数ベースに直すと、概算でほぼ横ばい(約0.3%減)です。週末の上げは、レバレッジをかけた新しい買いが一気に積み上がったものではなかった、というところまでは言えます。

直近24時間の清算(証拠金不足などによる強制決済)は1,838万ドルで、前回の約695万ドルより増えました。ただ、集計の24時間がずれているうえ、ロングとショートの合計額なので、清算が上げを押したかどうかまでは読めません。

出典:CoinGlass BTC、CoinGlass・建玉データの単位

ステーブルコインの総額は、買い待ちのお金とは限らない

ステーブルコイン(米ドルなどに価値を連動させた暗号資産)の時価総額は約3,066億ドルでした。ただ、ステーブルコインは送金や決済にも使われるため、総額のすべてがBTCの購入を待っているわけではありません。

現物CVD(現物市場の成行買いと成行売りの差の累積)とFunding(無期限先物の資金調達料)も、比較できる値がそろいませんでした。現物と先物のどちらが上げを主導したかは、今日の材料を待って判断します。

出典:DefiLlama Stablecoins

朝7時、原油と米国債の先物が最初の票を開く

イランをめぐる交渉は、合意に至っていない

トランプ米大統領は、ホルムズ海峡の再開を含むイラン側の案を拒否したと述べました。一方、イランは外交による解決を主張し、仲介国から正式な拒否回答は受け取っていないとも説明しています。交渉の余地は残っていますが、合意は確認できていません。

金曜の原油安は、交渉への期待がまだ優勢だった時点の値段です。9月25日の清算値は、WTIが92.41ドル、Brentが104.32ドルで、ともに前日比で約2%下落していました。週末に期待が後退したあと、この下落が保たれるかが最初の確認点です。

出典:Reuters配信・イラン情勢、Reuters・原油

原油高は、金利とドルを通ってBTCに届く

原油が上がると、インフレが再び強まるという懸念から米国の長期金利が上がります。金利が上がるとドルが買われ、将来の成長を先に織り込んでいるAI株や、利息を生まないBTCから資金が抜けやすくなります。今日いちばん確かめたいのは、この連鎖が始まるかどうかです。

ただし、地政学リスクが強まると、逃げ場として米国債が買われ、金利がむしろ下がることもあります。原油と金利を一緒くたにせず、原油だけが上がるのか、長期金利とドルも上がるのか、そこにBTCの下落まで重なるのかを分けて見ます。

WTI原油先物と米国債先物は、夏時間の現在、日本時間の月曜朝7時に取引を再開します。夜まで待たなくても、最初の反応は朝のうちに見られます。朝の動きが欧州・米国時間にも続くかを、あわせて確認します。

金利の水準は、米財務省の9月25日の日次値で10年債が5.17%でした。売買の境界線ではなく、ここから上がるか下がるかを見るための基準値です。

出典:CME・WTI原油先物、CME・米10年国債先物、米財務省

17時、Bitgetの出金再開を実績で確かめる

再開の発表と、実際に引き出せることは別

Bitgetは、9月24日のセキュリティ事案で止めた出金を、段階的に再開すると発表しています。BTC(Bitcoinネットワーク)は本日17時の予定です。続いてETHが29日17時、USDTが30日17時、その他のトークン・法定通貨・P2Pが10月2日17時です。ETHとUSDTは対象ネットワークが指定されているため、利用する方は公式発表と自分の出金画面を照らし合わせてください。

17時以降に確かめるのは、受付が始まるか、出金が実際に完了するか、遅れや再停止がないかです。BTCの出金が戻っても、すべての資産が復旧したことにはなりません。

出典:Bitget公式・出金再開日程

被害額が増えたのは、流出が増えたからではない

Bitgetは、攻撃者の管理するアドレスへの移転額を約3.516億ドルから約3.875億ドルに修正しました。ZcashとTRON上の資産を集計に加えたためで、新たな不正流出ではないと説明しています。ユーザー残高に影響はなく、損失は保護基金でカバーするとしています。

ただし、どれも会社側の説明です。BTC相場が落ち着いていても、使っている取引所から資産を動かせるとは限りません。同社に資産を置いている方は、出金状況を価格と同じ重さで確認したいところです。

出典:Bitget公式・被害額の更新

21時30分、米国株でAIの追い風と逆風がぶつかる

中国がNVIDIAを買う、という観測が出た

中国政府が、ByteDanceやAlibabaなどにNVIDIAの業務用GPU「RTX PRO 5500」の購入を認める可能性があると、The Informationが報じ、Reutersが9月27日に伝えました。各社に購入計画の報告を求め、一部には承認の方針を伝えたとされています。

Reutersは独自に確認できておらず、米国の輸出規制との関係も決まっていません。今の段階では受注ではなく、観測です。

出典:Reuters・NVIDIA製品の購入観測

AIエージェントの事故が、監督のコストを持ち込んだ

豪州上院のAI調査は、OpenAIのSam Altman氏とAnthropicのDario Amodei氏に公聴会への出席を求めました。背景には、OpenAIのエージェントが豪州の医療システムに不正にアクセスしたとされる事案があります。OpenAIは、意図的ではなく、個人情報も侵害されなかったと説明しています。

調査は、AIやデータセンターが地域社会・水・エネルギーに与える影響も対象です。出席要請の段階なので、新しい規制や追加費用が決まったわけではありません。

中国需要の観測は半導体に追い風、監督の負担はAIプラットフォームやデータセンターに逆風です。今夜の米国株では、半導体株が買われたときに、その買いがAIソフトウェアやデータセンター関連にも広がるか、半導体だけにとどまるかを見ます。そのときBTCが上げを保てるかも、あわせて確認します。

出典:Reuters配信・豪州のAI調査、NYSE・取引時間

明日の朝、ETFの資金が週明けの需要を示す

金曜までの流入は、週末の上げとは別

米BTC現物ETFは9月25日に1億3,450万ドルの純流入で、7営業日連続の流入でした。ただ、日次の流入額は21日の9億9,900万ドルから4営業日続けて縮んでいます。ETH現物ETFは25日に8,700万ドルの純流入でした。

どれも金曜までの取引日の数字で、週末の上げの説明には使えません。次に見る28日取引分は、日本時間29日の朝から順に集計されます。まだ出ていない銘柄は、流入ゼロではなく未集計として扱います。

出典:Farside・BTC現物ETF、Farside・ETH現物ETF

資金と値動きが、そろって初めて反発が確かなものに

月曜のETF流入が増え、BTCが直近の戻り高値(下げの途中で一度付けた高値)を超え、その後の押し目(上昇途中の一時的な下げ)でも前の安値を割らないなら、資金と価格の両面から反発を確かめられます。

反対に流入が細っても、それだけで週末の上げが先物主導だったとは言えません。ETF以外にも現物の買い手はいるため、現物の出来高やCVDと合わせて判断します。また、流入があっても価格が伸びないなら、それを上回る売りが出ているということです。

見る場所は、時刻順に四つ

日本時間確認すること
本日朝7時以降WTI原油先物・米国債先物の初動と、欧州・米国時間まで同じ方向が続くか
本日17時BitgetのBTC出金が予定どおり再開し、実際に完了するか
今夜21時30分以降米国株でAIの買いが半導体の外に広がるか。原油・長期金利・ドルとBTCの反応
明日29日朝以降28日取引分の米BTC・ETH現物ETFフロー(集計状況も確認)

見方を変える条件も、三つに絞っておきます。

確認できたこと読み方
ETF流入が持ち直し、BTCの戻り高値と押し安値が切り上がる。原油や金利も落ち着く反発が続くと評価する材料が増えます
ETFには流入が残るが、BTCは戻り高値を超えられない判断を進めず、価格の反応を待ちます
原油高・長期金利上昇・ドル高が重なり、BTCが週末の安値を割る外部環境の悪化と価格の下振れが重なったとして、警戒を強めます

Bitgetの出金状況は、これとは別に、取引所ごとの信用リスクとして確認します。

待っている間に、価格が先に上がることもあります。それでも、何を確かめてから買うのかを先に決めておけば、「置いていかれそう」という焦りだけで動く場面は減らせます。票が出そろうのは、明日の朝です。


参考:主要指標(調査締切時点)

指標水準・変化基準時点・注記
BTC84,562.70ドル、24時間+0.73%9月28日6:15頃の取得記録、CoinGlass
ETH2,687.00ドル、24時間+0.58%同上
BTC先物建玉547.82億ドルCoinGlass対象市場の集計、同時点
BTC先物清算1,838万ドル直近24時間、ロング・ショート合計
ETH先物建玉/清算341.83億ドル/1,549万ドル同時点/直近24時間
ステーブルコイン時価総額3,066.08億ドルDefiLlamaの取得記録
米BTC現物ETF+1億3,450万ドル9月25日取引分、掲載銘柄の集計済み値
米ETH現物ETF+8,700万ドル同上
S&P500/ナスダック総合/ダウ7,743.41/27,068.72/51,828.629月25日終値。前日比+0.51%/+0.48%/+0.93%
米国債2年/10年/30年4.81%/5.17%/5.49%米財務省の9月25日日次値
ドル円157円台前半9月25日NY時間のReuters報道値。終値ではありません
WTI/Brent92.41ドル/104.32ドル9月25日清算値。前日比約-2.3%/-2.1%

暗号資産の取得時刻と、株式の終値・債券の日次値・原油の清算値は異なります。ETF集計は後日修正される可能性があります。ステーブルコインの1日騰落率は、前回取得した総額との整合が取れないため掲載していません。

出典:CoinGlass BTC、CoinGlass ETH、DefiLlama、Farside BTC、Farside ETH、米財務省、Reuters・米国株、Reuters・為替、Reuters・原油

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ABC Ledger 編集部
暗号資産・AI・米国株を、資金フローや需給、マクロ環境から分析するABC Ledger編集部です。ETFフロー、Funding Rate、Open Interest、現物CVDなどを組み合わせ、市場の背景を分かりやすく整理しています。

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