Strategy売却・ETF流入・ステーブル供給から見る反発継続の条件

BTCは7月7日、StrategyによるBTC売却のニュースを受けて一時的に下落しましたが、その後は64,000ドル台を回復しました。

今回の相場で大事なのは、売却ニュースそのものだけではありません。
大きな売り材料が出たあと、価格がそのまま崩れるのか、それとも下で買いが入り、もう一度上値を試せるのか。

短期相場では、この「材料に対する価格反応」が重要になります。

7月7日時点では、BTC現物ETFへの流入も戻り始めています。
Fear & Greed Indexも改善しました。

一方で、ステーブルコイン供給やCoinbase Premiumを見ると、市場全体に新しい資金が力強く戻っているとはまだ言い切れません。

今回は、7月7日のニュースと数値データをもとに、BTCの反発がどこまで続く可能性があるのかを整理します。


主要指標:7月8日未明時点

指標現在の状況見方
BTC価格約63,500〜63,700ドル64,000ドル台を一度回復し、その後は63,000ドル台後半で推移
ETH価格約1,770〜1,790ドル台ETHも反発しているが、今回の主役はBTC
Crypto Fear & Greed Index27、Fear前日の24から改善。Extreme FearからFearへ
BTC Funding Rate約+0.0039〜+0.0046%小幅プラス。過熱感はまだ強くない
BTC Open Interest約466億ドルレバレッジは積み上がっており、上下に振れやすい
BTC 24時間清算額約2.43億ドルショート清算が約1.50億ドルと多く、反発にはショートカバーも入っている
BTC現物ETF約+2.6569億ドルの純流入ETFフローは改善。継続するかが焦点
ステーブルコイン供給約3,119億ドル1日・7日・30日で小幅減少
Coinbase Premium50日連続でマイナス米国現物需要はまだ弱い可能性

参考:
Crypto Fear & Greed Index
BTC ETFフロー
ステーブルコイン供給


StrategyのBTC売却と市場の反応

3,588 BTCの売却は大きな材料

7月7日の大きなニュースは、Strategyが3,588 BTCを売却したことです。

市場では491 BTC程度の売却が噂されていたため、実際の売却規模はそれよりかなり大きいものでした。

売却資金は、Digital Credit securitiesの配当原資に使われたとされています。
一方で、売却後もStrategyは843,775 BTCを保有しています。

つまり、今回の売却は「StrategyがBTCを見限った」という話ではありません。
ただし、BTCを大量に保有する企業でも、必要に応じて一部を売却し、配当や資本政策に使う可能性があることは示されました。

これまでは「どれだけBTCを持っているか」が注目されやすかったですが、今後は「どんな条件で売る可能性があるか」も、市場が見る材料になりそうです。

参考:
StrategyのBTC売却記事

BTCは売却後に64,000ドル台を回復

Strategyの売却ニュースを受け、BTCは一時61,391ドルまで下落しました。
しかし、その後は64,000ドル台を回復しています。

この反応は、短期的には重要です。

大きな売り材料が出たとき、価格がそのまま下を掘る場合は、買い手が弱い状態です。
一方で、一度下げても下で買いが入り、再び上値を試す場合は、市場がその材料をある程度吸収している可能性があります。

今回のBTCは、少なくとも売却ニュースだけで崩れ続けたわけではありません。

64,000ドル台を回復したことで、短期の目線は少し改善しています。
ただし、ここからさらに上へ進むには、64,000ドル台を維持できるかが重要です。

参考:
BTCの64,000ドル回復記事


ETF流入は改善、現物需要はまだ確認中

BTC現物ETFには大きめの流入

BTC現物ETFには、米国時間月曜に約2.6569億ドルの純流入が入りました。
7月2日にも約2.2億ドルの純流入が確認されており、10営業日続いた流出はいったん止まっています。

ETFから資金が戻り始めている点は、BTCにとってポジティブです。

特に64,000ドル台を試す局面では、ETFフローが継続するかどうかが価格の支えになります。

ただし、1日、2日の流入だけで本格的な資金回帰と判断するのは早いと思います。
この流入が数日続くかを確認したいところです。

ステーブル供給とCoinbase Premiumは弱い

一方で、ステーブルコイン供給は約3,119億ドルですが、1日・7日・30日で小幅に減少しています。

ステーブルコインは、暗号資産市場に入る待機資金の目安として見られます。
ここが増えていないということは、市場全体に新しいドル流動性が強く戻っているわけではない、という見方になります。

さらに、Coinbase Premiumは50日連続でマイナスとされています。
これはBTCがCoinbaseでBinanceより安く取引されている状態で、米国勢の現物需要がまだ強くない可能性を示します。

つまり現在のBTCは、ETF流入とショートカバーで反発している一方で、ステーブル供給や米国現物需要はまだ追いついていない状態です。


暗号資産市場のシステムリスク

BONK DAOとウォレット脆弱性

7月7日は、価格材料だけでなく、暗号資産のシステムリスクも目立ちました。

BONK DAOでは、悪意あるガバナンス提案によって約2,000万ドルが流出しました。
これは、DAOが分散型であっても、投票権やトレジャリー管理の設計に問題があれば、資金流出につながることを示しています。

また、Ill Bloom脆弱性では、弱い乱数生成によって予測可能なシードフレーズが作られ、431ウォレットから約310万ドルが流出しました。
偽HyperSwapエアドロップでも、ウォレット承認後に短時間で資金が抜かれる被害が起きています。

参考:
BONK DAO攻撃
Ill Bloom脆弱性

価格が戻る局面ほど守りも重要

相場が戻り始めると、エアドロップ、ミームコイン、DeFi、DAO関連の活動も増えやすくなります。

その一方で、詐欺リンク、ウォレット承認、ガバナンス攻撃、シード生成の脆弱性といったリスクも表に出やすくなります。

価格上昇を狙う局面ほど、資金をどこに置くか、どの承認を出すか、どのプロトコルに触るかが重要になります。

BTCの価格が戻っても、暗号資産市場全体が安全になったわけではありません。
ここは投資判断とは別に、資産防衛として意識しておきたい点です。


資金の行き先:半導体とSolana

半導体は上半期に暗号資産を上回った

7月7日の記事では、2026年上半期に半導体株がビッグテックや暗号資産を上回ったことも報じられています。

これは、リスク資金が暗号資産だけに向かっているわけではないことを示しています。
AIインフラや半導体は、引き続き市場の大きなテーマです。

BTCが反発していても、投資家は暗号資産だけを見ているわけではありません。
AI半導体、金、米株、ドル、ETFフローなど、複数の資産を比較しながら資金を動かしています。

参考:
半導体株と暗号資産の比較

SolanaはTVL回復が注目材料

暗号資産内部では、SolanaのTVL回復が目立ちます。
SolanaのTVLは約51億ドルまで戻り、5週間ぶりの高水準となりました。

価格だけでなく、ネットワーク内にどれだけ資金が戻っているかを見るうえで、TVLは重要です。

SOLの反発が単なる短期的な買い戻しではなく、ネットワーク利用やDeFi資金の回復を伴うなら、アルト市場の中でも注目度は上がります。

参考:
Solana TVL回復


昨日までとの差分

ここからは、昨日までの流れとの比較です。

昨日までは、Strategyの売却がBTCの上値を抑えるかどうかが焦点でした。
7月7日は、その売却材料を受けたあとにBTCが64,000ドル台を回復したことが大きな違いです。

論点は「売却ニュースが出た」ことから、売却ニュースを価格がどこまで消化できるかに移っています。

また、ETFフローも改善しています。
前日は反発の確認段階でしたが、7月7日はBTC現物ETFへの大きめの流入が確認され、少し支えが増えました。

ただし、ステーブルコイン供給やCoinbase Premiumを見ると、市場全体のドル流動性や米国現物需要はまだ弱い状態です。

このため、昨日よりBTCの短期目線は改善していますが、まだ本格反転を宣言するには早いと思います。


BTC価格予想:64,500ドルを超えられるか

現時点でのBTCは、63,000ドル台後半で推移しています。
ここからの焦点は、64,500ドルを明確に超えられるかです。

64,500ドルを超えて維持できれば、次は65,500〜66,500ドル方向を試す余地があります。
さらに66,500ドルを突破し、ETF流入や現物買いが続くなら、68,000ドル前後まで上値を広げられる可能性があります。

一方で、62,500ドルを割る場合は注意が必要です。
その場合、今回の反発は短期的な買い戻しにとどまり、60,000〜61,500ドル方向を再び試しやすくなります。

シナリオ条件BTC想定レンジ
強気寄り64,500ドルを明確に突破、ETF流入継続65,500〜66,500ドル
さらに強い形66,500ドル突破、現物買いも増加68,000ドル前後
メイン63,000ドル台を維持し、64,500ドルで攻防62,500〜64,500ドル
弱気寄り62,500ドル割れ、ETF流入鈍化60,000〜61,500ドル
かなり弱い形60,000ドル割れ58,300ドル再テスト

今のBTCは、強気転換を断言する場面ではありません。
ただし、Strategy売却という大きな材料を受けても64,000ドル台を回復したことで、短期の見方は改善しています。

ここからは、64,500ドルを超えられるか、そしてETF流入が続くかを確認する局面です。


Take-home message

  1. Strategyは3,588 BTCを売却しましたが、BTCはその後64,000ドル台を回復しており、売り材料をある程度吸収した形になっています。
  2. BTC現物ETFへの流入は改善しています。一方で、ステーブルコイン供給やCoinbase Premiumを見ると、市場全体の現物需要はまだ確認中です。
  3. BTCは64,500ドルを明確に超えられれば65,500〜66,500ドル方向を試す余地があります。逆に62,500ドル割れは、反発失敗のサインとして注意したい価格帯です。

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