ETF流出・ETH弱さ・マクロの重さから見る反発の条件

BTCは一時61,600ドル台まで下げたあと、執筆時点では63,000ドル前後まで戻しています。

短期的には、62,000ドル台を回復したことはポジティブです。
ただし、今回の相場は「価格が戻ったから安心」とはまだ言いにくい状況です。

7月9日の記事では、BTCに底打ちを示すような材料も出てきました。
長期保有者の損失が拡大し、投げ売りに近い動きが出ているためです。

一方で、BTC現物ETFは再び流出し、Fear & Greed IndexはExtreme Fear圏です。
ETHも大型アップグレードを控えながら価格は弱く、マクロ面ではFOMCと原油高が重しになっています。

今回は、7月9日のニュースと最新の数値データをもとに、BTCが本当に底打ちへ向かっているのか、それともまだ確認段階なのかを整理します。


主要指標:執筆時点

指標現在の状況見方
BTC価格約63,000ドル62,000ドル台を回復。短期的には少し改善しています。
ETH価格約1,625ドル記事内の1,730ドル付近から見ても弱く、まだ反発力は限定的です。
Crypto Fear & Greed Index22、Extreme Fear価格は戻しても、市場心理はまだかなり弱い状態です。
BTC Funding Rate約+0.006〜+0.007%前後ロング優勢ですが、極端な過熱ではありません。
ETH Funding Rate約+0.005%前後小幅プラス。方向感はまだ強くありません。
BTC Open Interest約456.6億ドルレバレッジは残っていますが、過度に膨らんでいる印象ではありません。
ETH Open Interest約237.9億ドルETHもデリバティブ参加は大きい状態です。
BTC 24時間清算額約5,595万ドル大規模清算ではないものの、ポジション調整は続いています。
ETH 24時間清算額約2,575万ドルこちらも極端な崩れではありません。
BTC現物ETFフロー7月8日:約-8,490万ドル前日の流入から再び流出へ。ETFの支えは不安定です。
ETH現物ETFフロー7月8日:約+7,050万ドル価格は弱い一方、ETFフローはBTCより良いです。
ステーブルコイン総供給約3,118.5億ドル1日・7日は小幅改善、30日ではまだ減少傾向です。

参考:
Crypto Fear & Greed Index
BTC ETF Flow – Farside Investors
ETH ETF Flow – Farside Investors
ステーブルコイン供給 – DeFiLlama


BTCは底打ち条件が出始めている

長期保有者の損失は底打ちサインになりやすい

7月9日の中で、BTC価格に最も直接関係するのは、底打ちプロセスの記事です。

記事では、長期保有者の損失が1日あたり2.8億ドルに達し、2022年12月以来の高水準になったとされています。

参考:
ビットコイン底打ちプロセス、回復はなお不透明

一見すると、かなり弱い材料です。
長期保有者が損失を出しているということは、それだけ相場が追い込まれているということだからです。

ただし、相場ではこうした投げ売りが、底打ちに近づくサインになることもあります。
持ちこたえていた投資家が売り始める局面は、弱い参加者の整理が進んでいるとも読めます。

ただし、底打ちと反転は別

ここで分けて考えたいのは、底打ち条件反転確認です。

長期保有者の損失拡大は、底に近づいている可能性を示します。
しかし、それだけで上昇トレンドに戻ったとは言えません。

記事では、CryptoQuantのブルスコアが20にとどまっていることも示されています。
つまり、相場の痛みはかなり出ている一方で、回復を確認する材料はまだ弱いということです。

今のBTCは、強い反転局面というより、底打ちを確認している途中と見た方が自然です。


マクロ環境はまだ軽くない

FOMC議事要旨は金利警戒を残した

BTCが63,000ドル近辺まで戻した一方で、マクロ環境はまだ軽くありません。

FOMC議事要旨では、政策金利は据え置きながらも、19人中9人が2026年末までに1回の利上げを予想しています。
BTCはタカ派的な内容を受けて2.8%下落し、62,200ドル付近で推移したとされています。

参考:
FOMC議事要旨、利上げリスクとAIインフレを示唆

金利の重さは、BTCのようなリスク資産には上値の抑制要因になります。

特に今は、価格が底打ちを探っている局面です。
この段階で金利警戒が残ると、反発しても上値が伸びにくくなります。

原油高もBTCの上値を抑える

原油価格も重要です。

米イラン停戦終了をめぐる記事では、原油が79ドル超まで上昇したと報じられています。
別記事でも、原油が74ドル台へ急反発したことが示されています。

参考:
7月市場クラッシュ懸念、イラン停戦終了と原油高
原油価格反発、オンチェーンシグナルも示唆

原油高はインフレ警戒につながります。
インフレ警戒は、金利の高止まりや利上げ警戒につながります。

つまり、BTCにとって原油高は単なる外部ニュースではなく、
原油高 → インフレ警戒 → 金利の重さ → リスク資産の上値抑制
という形で効いてきます。


反発の質はまだ確認中

BTC ETFは再び流出へ

BTCは63,000ドル前後まで戻していますが、資金フローを見るとまだ慎重です。

BTC現物ETFは7月8日に約-8,490万ドルの純流出となりました。
7月6日の大きな流入、7月7日の小幅流入のあと、再び流出に戻っています。

これは、BTCの反発をETFが力強く支えているとはまだ言いにくい状況です。

価格が戻っていること自体は良い材料です。
ただし、現物ETFから資金が抜けている中での戻りなら、その反発がどこまで持続するかは確認が必要です。

ステーブル供給は短期改善、30日ではまだ減少

ステーブルコイン供給は、短期では少し改善しています。
DeFiLlamaでは、総供給が約3,118.5億ドルで、1日・7日では小幅プラスです。

ただし、30日ではまだマイナス圏です。

ステーブルコインは、暗号資産市場内の待機資金として見られます。
ここがしっかり増えてくると、BTCやETHを買うための資金が戻ってきたと判断しやすくなります。

しかし、今は短期では改善しているものの、まだ完全な回復とは言えません。

価格、ETF、ステーブル供給、Coinbase Premiumを合わせると、BTCの反発はまだ現物需要が太く戻った反発とは判断しにくいです。


ETHとAI資金の動きも確認したい

ETHはETF流入が良い一方、価格は弱い

ETHは大型アップグレードを控えていますが、価格は弱い状態です。

7月9日の記事では、ETHが1,730ドル付近まで下落し、2023年3月以来の安値圏にあることが示されました。
さらに、アップグレードを控えているにもかかわらず、ソーシャル関心は低下しています。

参考:
ETHは1,730ドル付近、大型アップグレード前でも弱さ

最新の取得価格では、ETHは約1,625ドルです。
記事時点よりもさらに弱い位置にあります。

一方で、ETH現物ETFは7月8日に約+7,050万ドルの純流入です。
価格は弱いものの、ETFフローだけを見るとBTCより良い状況です。

つまりETHは、価格は弱いが、ETFフローには少し支えがあるという分裂した状態です。

AI資金の再配置は継続テーマ

AI資金については、昨日までの流れを引き継ぐ形です。

AI株の熱狂が少し冷め、資金がAI本命株からインフラ・半導体・電力関連へ移る流れはすでに見えていました。

7月9日の記事では、その見方を補強する材料が出ています。

BlackRockは、AIに最も直接関係する銘柄を一部減らし、インフラなど割安なAI関連へリバランスしていると説明しています。
また、BTCマイナー株も、BTC価格ではなくAIインフラ材料で買われています。

参考:
BlackRock、AI株を一部縮小
ビットコインマイナー株、AIインフラ材料で上昇

ここから言えるのは、AI資金が消えているわけではないということです。
ただし、その資金がBTCやETHの現物買いとして本格的に入っているとは、まだ言いにくい状況です。


昨日までとの差分

昨日までの焦点は、BTCの反発が現物買いなのか、レバレッジ主導なのかでした。

7月9日の記事では、そこから少し進んでいます。

今日の差分は、底打ち条件は出始めたが、回復確認はまだ弱いという点です。

長期保有者の損失拡大は、底に近づいている可能性を示します。
ただし、ブルスコアは20にとどまり、BTC現物ETFも再び流出しています。

ETHはETF流入こそありますが、価格は弱いままです。
AI資金の再配置も続いていますが、BTC現物へ本格的に向かっているとはまだ言えません。

つまり、昨日は「反発の中身」を見ていました。
今日はそこに加えて、本当に底打ちと言えるだけの確認材料が揃っているかを見る局面です。


BTC価格推移:63,000ドルを維持できるか

現時点のBTCは、63,000ドル前後で推移しています。

短期的には、61,600ドル台から戻しているため、少し改善しています。
ただし、BTC現物ETFが再び流出しているため、強い反転と見るにはまだ早いです。

ここからは、まず63,000ドルを維持できるかが焦点です。
63,000ドルを維持し、64,000ドル台を明確に回復できれば、64,500〜65,500ドル方向を試す余地があります。

さらに65,500ドルを突破し、ETF流入、ステーブル供給、Coinbase Premiumが改善するなら、66,500〜68,000ドル方向も視野に入ります。

一方で、62,000ドルを再び明確に割る場合は注意が必要です。
その場合は、60,000〜61,500ドルを再確認しやすくなります。

シナリオ条件BTC想定レンジ
強気寄り63,000ドルを維持し、64,000ドル台を明確に回復。ETF流入も再開64,500〜65,500ドル
さらに強い形65,500ドルを突破し、現物需要・ETF・ステーブル供給が改善66,500〜68,000ドル
メイン62,000〜63,000ドル台で粘るが、64,000ドル台を維持できない61,800〜64,000ドル
弱気寄り62,000ドルを再び明確に割る60,000〜61,500ドル
かなり弱い形60,000ドル割れ、ETF流出継続、マクロ悪化58,300〜59,500ドル

今は、強気転換を断言する局面ではありません。
ただし、底打ちに近づいている材料は出ています。

そのため、次に見るべきなのは価格だけではありません。

BTC現物ETFが再び流入に戻るか。
ステーブル供給の短期改善が続くか。
Coinbase Premiumが改善するか。
Fundingが過熱しないか。
ETHが1,600ドル台前半で下げ止まれるか。

ここが、BTC反発の持続力を判断する材料になります。


Take-home message

  1. BTCは63,000ドル前後まで戻していますが、BTC現物ETFは再び流出しており、まだ強い反転確認とは言いにくい状況です。
  2. 長期保有者の損失拡大は底打ち条件の一つですが、ブルスコアやETFフローを見ると、回復を信じるにはまだ確認材料が足りません。
  3. BTCは63,000ドルを維持し、64,000ドル台を回復できれば64,500〜65,500ドル方向を試せます。逆に62,000ドルを割ると、60,000〜61,500ドル再確認に注意したい局面です。

この記事が参考になった方は、Xでも最新の市場メモを更新しています。
暗号資産・AI・米国株を、資金フローと需給の視点から読みたい方はぜひフォローしてください。