BTCは64,000ドル台を維持|ホルムズ海峡リスクでも崩れにくい反発は本物か
7月12日の暗号資産市場では、BTCが64,000ドル前後を維持しています。
今日の記事で注目したいのは、ホルムズ海峡をめぐる地政学リスクが再び意識されるなかでも、BTCが大きく崩れていないことです。
イランによるホルムズ海峡封鎖宣言や、米軍の追加空爆が報じられても、BTCは63,914ドル付近で推移し、下落は0.33%にとどまりました。
一見すると、地政学リスクと原油高はBTCにとって重い材料です。原油価格が上がればインフレ警戒が強まり、FRBの利下げ期待は後退しやすくなります。
ただ、数字を並べると、今回のBTCは以前より崩れにくくなっています。BTC現物ETFは最新営業日で流入に戻り、Fear & Greed IndexもExtreme FearからFearへ改善しています。
この記事では、BTCの反発が現物買いによるものなのか、それとも短期的な戻りにすぎないのかを、ETFフロー、ステーブルコイン供給、清算、Funding、Open Interestなどから整理します。
主要指標
| 指標 | 現在の状況 | 見方 |
|---|---|---|
| BTC価格 | 約64,000ドル前後 | 地政学リスクが残るなかでも64,000ドル台を維持 |
| ETH価格 | 約1,800ドル台 | 主要価格サイトでは1,800ドル台。取引所価格の最終確認は必要 |
| Crypto Fear & Greed Index | 26・Fear | 先月の12・Extreme Fearから改善。ただし強気圏ではない |
| BTC現物ETFフロー | 7月10日 +9,040万ドル | 7月8日、9日の流出からプラスへ反転 |
| ETH現物ETFフロー | 7月10日 +1,840万ドル | 小幅ながらETH ETFも流入へ回復 |
| ステーブルコイン総供給 | 約3,122億ドル | 7日では増加、30日ではまだ減少 |
| 24時間清算額 | 約1.28億ドル | 大規模清算というより通常のポジション調整に近い |
| Long / Short | ほぼ中立 | 極端なロング偏重ではない |
| Funding Rate | 明確な最新値は未確認 | 過熱判断には投稿前の確認が必要 |
| Open Interest | 明確な最新値は未確認 | レバレッジ主導かどうかの判断材料として要確認 |
| Coinbase Premium / Spot CVD | 明確な最新値は未確認 | 現物主導の反発かを見るうえで重要 |
参考:Crypto Fear & Greed Index
https://alternative.me/crypto/fear-and-greed-index/
参考:BTC ETF Flow
https://farside.co.uk/btc/
参考:Stablecoin Supply
https://defillama.com/stablecoins
地政学リスクでもBTCは大きく崩れていない
ホルムズ海峡リスクに対する市場の反応
今日の記事で最も価格に近い材料は、ホルムズ海峡をめぐる地政学リスクです。
イランがホルムズ海峡の封鎖を宣言し、米軍が追加空爆を行ったにもかかわらず、BTCは63,914ドル付近で推移し、下落は0.33%にとどまりました。
6月の緊張時には、BTCが約2%下落して61,000ドル台まで落ちていました。今回も地政学リスクそのものは重い材料ですが、値動きだけを見ると、BTCは以前より耐えています。
参考:ホルムズ海峡リスクと暗号資産市場
https://jp.beincrypto.com/crypto-markets-resilient-strait-of-hormuz-closure/
確認したいのは「上がった理由」ではなく「下げなかった理由」
ここで大事なのは、「地政学リスクでも上がったから強い」と単純に見ることではありません。
確認したいのは、なぜ下げにくくなっているのかです。
ETF経由の買いが戻っているのか。
ステーブルコイン供給が増えているのか。
先物のショートカバーで一時的に戻しているだけなのか。
それとも、現物市場で買いが入っているのか。
価格が64,000ドル台を維持していることは良い材料です。
ただし、反発の質を確認しないまま強気転換と見るのは早いです。
ETFフローは支えに戻ったが、継続確認が必要
BTC現物ETFは流入へ反転
BTC現物ETFは、7月10日に約9,040万ドルの純流入となりました。
7月8日、9日は流出でしたが、最新営業日では再びプラスに戻っています。
ETH現物ETFも、7月10日に約1,840万ドルの純流入となりました。
これは素直に良い材料です。
ETFフローは、BTCやETHの現物需給を見るうえで重要です。特にBTCは、ETF経由の買いが続けば、短期の下支えになりやすいです。
参考:BTC ETF Flow
https://farside.co.uk/btc/
1日だけの流入か、継続する流入か
ただし、ここで確認したいのは「1日だけの流入」ではありません。
大事なのは、流入が続くかどうかです。
7月10日の流入が単発で終われば、BTCは64,000ドル台で足踏みしやすくなります。一方で、ETF流入が複数日続くようなら、65,500ドル突破を試す材料になります。
ETHについても同じです。
ETH ETFが小幅でも流入を続け、ETHが1,800ドル台を維持できれば、アルト市場全体の雰囲気も少し改善しやすくなります。
ステーブルコイン供給とデリバティブで反発の質を見る
ステーブル供給は短期改善、月間ではまだ弱い
ステーブルコイン総供給は約3,122億ドルです。
7日では増加していますが、30日ではまだマイナスです。
これは、短期では市場内の買い余力が少し戻っている一方、月間ベースではまだ完全に回復していないことを示します。
参考:DeFiLlama Stablecoins
https://defillama.com/stablecoins
BTC価格が64,000ドル台を維持し、ETFフローもプラスに戻っている。ここまでは良い流れです。
ただ、ステーブルコイン供給が30日ベースでも増加に転じてこないと、市場全体に新しい資金が厚く戻ってきたとは言いにくいです。
FundingとOpen Interestでレバレッジ主導かを見る
24時間清算額は約1.28億ドルで、Long / Shortもほぼ中立です。
現時点では、極端なロング偏重で上がっているというより、比較的落ち着いたポジション調整に見えます。
一方で、Funding RateとOpen Interestは、レバレッジ主導かどうかを見るうえで重要です。
Fundingが高すぎる場合、ロングが積み上がりすぎて、下落時に清算が出やすくなります。
Open Interestが価格上昇と同時に急増している場合は、現物買いというより、レバレッジ主導の戻りである可能性があります。
今回、FundingとOpen Interestの明確な最新値を揃えきれない部分があるため、ここは断定しない方が安全です。
Coinbase PremiumとSpot CVDで現物需要を確認する
もう一つ確認したいのが、Coinbase PremiumとSpot CVDです。
Coinbase Premiumが改善していれば、米国勢の現物買いが入り始めている可能性があります。
Spot CVDが上向けば、先物主導ではなく、現物市場で実際に買われていることを確認しやすくなります。
今のBTCは、反発の形は見えています。
ただし、その反発がどれだけ厚い買いに支えられているのかは、まだ確認中です。
マクロはまだ上値の重しになる
原油高はインフレ再燃につながりやすい
今日の記事では、地政学リスクだけでなく、マクロ面の重さも出ています。
Trump氏のイラン停戦終了発言などを受けて原油価格が上昇し、インフレ再燃リスクが意識されています。
原油高は、FRBの利下げ期待を弱めやすい材料です。
参考:Trump発言と市場への影響
https://jp.beincrypto.com/trump-market-moves-this-week/
景気は持つが、利下げは遠い
米国の景気後退確率は25%へ低下した一方、2026年インフレ見通しは3.4%へ上方修正されています。
景気後退リスクが下がること自体は、リスク資産にとって悪くありません。
しかし、インフレが粘るなら、FRBは利下げしにくくなります。
参考:景気後退リスク・インフレ・Fed
https://jp.beincrypto.com/recession-risk-inflation-fed-bitcoin/
つまり、BTCは地政学リスクに耐えていますが、上値を伸ばすにはマクロの重しを消化する必要があります。
今の市場は、下に崩れにくくなった一方で、上に走るにはETF流入と現物需要の継続が必要な局面です。
昨日までとの差分
今日の主材料は「悪材料への耐性」
今日の記事だけを主材料にすると、中心は「ホルムズ海峡リスクでもBTCが崩れにくかったこと」と「原油高・インフレ・Fedの重さが残っていること」です。
昨日までの流れでは、RWAやトークン化資産、ETF流入、BTC対金での売られすぎなどが注目されていました。
今日の差分は、そこに地政学リスクが加わっても、BTCが大きく崩れていない点です。
これは、昨日までの「BTCの下値確認」から一歩進んで、悪材料をどこまで吸収できるかを見る段階に入ったと考えられます。
資金回復だけでなく、悪材料の消化力を見る段階へ
ただし、原油高やインフレ見通しの上方修正は、FRBの利下げ期待を弱めます。
したがって、今日の変化は全面的な強気転換ではありません。
整理すると、こうです。
昨日まで:ETF流入やRWA成長を背景に、資金回復の有無を確認する局面。
今日:地政学リスクを受けてもBTCが64,000ドル台を維持できるかを見る局面。
この違いは重要です。
資金の回復だけでなく、悪材料への耐性も確認する段階に入っています。
BTC価格予想
現在のBTCは、少し強気寄りの中立で見ています。
64,000ドル台を維持できていること、ETFフローがプラスに戻ったこと、Fear & Greed IndexがExtreme Fearから改善していることは前向きです。
一方で、ステーブルコイン供給は30日ではまだマイナスで、Funding、Open Interest、Coinbase Premium、Spot CVDの確認も残っています。原油高とインフレも上値の重しです。
メインシナリオ:63,500〜65,500ドル
メインは、63,500〜65,500ドルのレンジ確認です。
64,000ドル台を維持できる限り、短期の底堅さは残ります。
ただし、65,500ドルを明確に突破するには、ETF流入の継続と現物需要の確認が必要です。
強気シナリオ:66,500〜68,000ドル
65,500ドルを明確に突破し、ETF流入が複数日続く場合、BTCは66,500〜68,000ドル方向を試しやすくなります。
さらに、Coinbase PremiumやSpot CVDが改善し、Fundingが過熱しないまま価格が上がるなら、70,000ドル再挑戦も視野に入ります。
弱気シナリオ:62,000〜62,500ドル
63,500ドルを明確に割る場合は、62,000〜62,500ドルの再確認を見たいです。
ETF流入が続かず、ステーブルコイン供給が短期でも悪化し、原油高や金利上昇が強まる場合は、BTCの戻りは失速しやすくなります。
62,000ドルを明確に割ると、60,000〜61,000ドル方向まで警戒が必要になります。
| シナリオ | 条件 | BTC価格の目安 |
| メイン | 64,000ドル台を維持、ETF流入はあるが現物需要は確認中 | 63,500〜65,500ドル |
| 強気 | 65,500ドル突破、ETF流入継続、現物需要改善 | 66,500〜68,000ドル |
| かなり強気 | 68,000ドル突破、Funding過熱なし、CVD改善 | 70,000ドル再挑戦 |
| 弱気 | 63,500ドル割れ、ETF流入が続かない | 62,000〜62,500ドル |
| かなり弱気 | 62,000ドル割れ、原油高・金利・清算が悪化 | 60,000〜61,000ドル |
Take-home message
BTCはホルムズ海峡リスクが出ても64,000ドル台を維持しており、短期の底堅さは確認できます。
ただし、ETF流入が戻っても、ステーブルコイン供給やCoinbase Premium、Funding、Open Interestを見ないと、反発の質はまだ断定できません。
65,500ドルを明確に突破できれば66,500〜68,000ドル方向、63,500ドルを割るなら62,000ドル台前半の再確認を見たいです。
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