先週の暗号資産市場は、BTCが大きく崩れずに64,000ドル前後を維持した一方で、上値を追うにはまだ確認材料が残る展開でした。

一見すると、BTCが64,000ドル台を保っているため、相場はかなり改善したように見えます。実際、Fear & Greed IndexはExtreme FearからFearへ改善し、BTC現物ETFも最新営業日で流入に戻っています。

ただし、数字を並べると、まだ全面的な回復とは言い切れません。ステーブルコイン供給は短期では改善していますが、30日ではまだ弱さが残ります。Funding、Open Interest、Coinbase Premium、Spot CVDなども、反発が現物買い主導なのか、レバレッジ主導なのかを確認するうえで重要です。

今週の記事では、RWA・トークン化資産の拡大、BTC/ETH ETFの流入回復、BTCが金に対して売られすぎになっていること、そしてホルムズ海峡リスクでもBTCが大きく崩れなかったことが目立ちました。

この記事では、今週のニュースと主要数値をもとに、BTCの反発の中身と、来週に向けて確認すべき価格帯を整理します。

主要指標

指標現在の状況見方
BTC価格約64,000ドル前後地政学リスクが残るなかでも64,000ドル台を維持
ETH価格約1,600〜1,800ドル台取得ソース間で差があるため、投稿前に取引所価格の最終確認が必要
Crypto Fear & Greed Index26・FearExtreme Fearからは改善。ただし強気圏ではない
BTC現物ETFフロー7月10日 +9,040万ドル7月8日、9日の流出からプラスへ反転
ETH現物ETFフロー7月10日 +1,840万ドル小幅ながらETH ETFも流入へ回復
ステーブルコイン総供給約3,122億ドル7日では増加、30日ではまだ減少
24時間清算額約1.28億ドル大規模清算というより通常のポジション調整に近い
Long / Shortほぼ中立極端なロング偏重ではない
Funding Rate明確な最新値は未確認過熱判断には投稿前の確認が必要
Open Interest明確な最新値は未確認レバレッジ主導かどうかを見るうえで重要
Coinbase Premium / Spot CVD明確な最新値は未確認現物主導の反発かを確認する材料

BTC価格は金融データ上で約64,000ドル前後を維持しています。Fear & Greed Indexは26でFear圏にあり、極端な恐怖からは改善しているものの、強気圏にはまだ入っていません。

ETFフローでは、BTC現物ETFが7月10日に+9,040万ドルの純流入へ戻りました。Farsideのデータでは、7月8日と9日は流出でしたが、10日にプラスへ反転しています。

ステーブルコイン供給は、DeFiLlama上でUSDTが約1,841億ドル、USDCが約734億ドルです。短期では大きく崩れていませんが、USDT・USDCともに1カ月ではマイナスが残っており、市場全体のドル流動性が完全に戻ったとは言いにくい状況です。

今週のBTCは「上がった」より「崩れにくくなった」

64,000ドル台維持は前向きだが、強気転換の決め打ちは早い

今週のBTCでまず確認したいのは、64,000ドル台を維持していることです。

ホルムズ海峡をめぐる地政学リスクが再び意識され、米国とイランの緊張が高まるなかでも、BTCは大きく崩れていません。BeInCryptoの記事では、イランが海峡封鎖を宣言し、米軍による追加空爆があったにもかかわらず、BTCは63,914ドル付近で、下落は0.33%にとどまったと報じられています。6月の緊張時には約2%下落して61,000ドル台まで下げていたため、今回は値動きの耐性が目立ちました。

ここで大事なのは、「地政学リスクでも上がったから強い」と単純に見ることではありません。

むしろ確認したいのは、なぜ崩れにくくなっているのかです。

ETF経由の現物買いが戻っているのか。
ステーブルコイン供給が増えているのか。
ショートカバーで戻しているだけなのか。
それとも、現物市場で継続的な買いが入っているのか。

BTCが64,000ドル台を維持していることは前向きです。ただし、反発の質を見ないまま、強気転換と決め打ちするのはまだ早いと思います。

Fearは改善したが、まだ強気ではない

Crypto Fear & Greed Indexは26・Fearです。

先月のExtreme Fearからは改善しています。これは、投資家心理が最悪期から少し戻っていることを示します。

ただし、26はまだFear圏です。つまり、投資家が積極的にリスクを取り始めたというより、極端な恐怖が少し和らいだ段階です。

BTCの価格が維持され、心理も改善している。ここまでは良い流れです。

次に必要なのは、その改善が実際の買い資金に支えられているかどうかです。

ETF流入は戻ったが、ステーブル供給はまだ完全回復ではない

BTC/ETH ETFは8週ぶりに流入へ

今週の大きな前進は、BTCとETHの現物ETFが流入に戻ったことです。

BeInCryptoは、BTC・ETH現物ETFが8週間の流出局面を経て、7月10日までの週でプラスに転じたと報じています。記事では、BTCファンドが1.974億ドル、ETHファンドが8,442万ドルの流入だったとされています。

日次で見ても、FarsideのBTC ETFフローは7月10日に+9,040万ドルの純流入を示しています。7月8日、9日の流出からプラスへ戻った点は、短期の需給にとって支えになります。

これは素直に良い材料です。

ただし、ここで確認したいのは、1日だけの流入ではありません。

ETF流入が複数日続くか。
流入の中心が一部ETFだけに偏っていないか。
BTC価格が上がるなかで、流入が追随するか。

ここが来週の確認ポイントです。

ステーブルコイン供給は短期改善、月間ではまだ弱い

ETFが戻っても、ステーブルコイン供給が弱ければ、市場全体の買い資金はまだ厚くありません。

DeFiLlamaでは、USDTが約1,841億ドル、USDCが約734億ドルです。USDTは1カ月で-1.40%、USDCは1カ月で-2.26%と、月間では減少が残っています。

これは、短期では反発の形が見えていても、市場内のドル流動性が完全に戻ったとは言いにくいことを示します。

BTC価格が64,000ドル台を維持し、ETF流入も戻っている。

ここまでは良いです。

ただ、ステーブル供給が30日でも改善し始めるかを確認できれば、反発の信頼度はかなり上がります。

RWA・トークン化資産は、話題から数字の段階へ進んだ

rTokenとトークン化株式の成長

今週のニュースでかなり目立ったのが、RWA・トークン化資産です。

BitgetのrTokenは、開始5週間で運用資産1億ドル規模に到達したと報じられました。これは、トークン化株式が単なる話題ではなく、実際の取引需要を伴い始めていることを示します。

また、CEXの上場トレンドでも変化が出ています。

2026年前半、主要な中央集権型取引所で最も多く上場されたカテゴリーはトークン化資産でした。新規上場の約19%を占め、2025年の7%未満から大きく増えています。一方で、ミームコイン上場は2024年第4四半期のピークから79%減少しました。

これは、資金の入口が少し変わってきていることを示します。

以前は、短期資金がミームや話題性の高い銘柄へ向かいやすい局面がありました。今週の記事を見る限り、取引所側はトークン化株式やRWAのように、現実資産と結びついたテーマをより重視し始めています。

BTCへの直接効果と間接効果

RWAやトークン化資産の成長は、BTC価格に直接効く材料ではありません。

ただし、間接的には重要です。

なぜなら、暗号資産市場に入ってくる資金の種類が変わる可能性があるからです。

投機的な短期資金だけでなく、株式、債券、ETF、トークン化預金、ステーブルコインなど、より金融商品に近い資金がオンチェーンに入ってくる。

この流れが続けば、BTCは単なるリスク資産としてだけでなく、暗号資産市場全体の基軸資産として再評価されやすくなります。

ただし、注意点もあります。

トークン化資産が銀行主導、許可型チェーン主導で進む場合、必ずしもBTCやパブリックチェーンの流動性に直結するとは限りません。

ここは、今後も見たいポイントです。

反発の質は、現物買いかレバレッジ主導かで変わる

清算とポジションはまだ過熱していない

今週のBTCは、価格だけを見ると改善しています。

ただ、価格が上がったかどうかよりも大事なのは、何が価格を支えているかです。

24時間清算額は約1.28億ドルで、Long / Shortもほぼ中立でした。現時点では、極端なロング偏重で上がっているというより、比較的落ち着いたポジション調整に近い印象です。

これは悪くありません。

ただし、Funding RateとOpen Interestの明確な最新値は確認しきれていません。ここは来週に向けて必ず確認したいです。

Fundingが高すぎれば、ロングが積み上がりすぎている可能性があります。Open Interestが価格上昇と同時に急増していれば、現物買いというよりレバレッジ主導の戻りかもしれません。

Coinbase PremiumとSpot CVDを確認したい

もう一つ重要なのが、Coinbase PremiumとSpot CVDです。

Coinbase Premiumが改善していれば、米国勢の現物買いが入っている可能性があります。Spot CVDが上向けば、先物ではなく現物市場で実際に買われていることを確認しやすくなります。

今のBTCは、反発の形は見えています。

ただし、その反発が現物買いに支えられているのか、先物主導の戻りなのかは、まだ確認が必要です。

来週は、BTC価格そのものよりも、反発の中身を見ることが重要になります。

週前半から週末までの変化

週前半:不安材料を消化できるか

週前半は、BTCが悪材料を消化できるかが中心でした。

ETF流出、アルトの実需低下、企業によるBTC保有削減、AI資金への再配置など、価格の上値を抑える材料が複数ありました。

この段階では、BTCが反発しても、それが本当に現物需要に支えられているのかはまだ不透明でした。

週後半:ETF流入とRWAの数字が出てきた

週後半になると、BTC/ETH ETFが流入に戻り、RWA・トークン化資産の成長も数字で確認されました。

ここで相場の見方は少し変わりました。

単なる反発ではなく、ETFとトークン化資産という、より金融市場に近い資金の動きが確認できるようになったからです。

週末:地政学リスクでもBTCが崩れなかった

週末には、ホルムズ海峡リスクが再び出ました。

通常であれば、原油高、インフレ警戒、FRBの利下げ後退という流れは、BTCにとって重い材料です。

それでもBTCは64,000ドル台を維持しました。

今週の差分を一言で整理すると、こうです。

週前半は、BTCが下値を確認する局面。
週後半は、ETF流入とRWA拡大で資金の戻りを見る局面。
週末は、地政学リスクでもBTCが崩れにくいかを確認する局面。

この流れを見ると、BTCは少しずつ底堅さを増しています。

ただし、来週も強気一辺倒ではなく、現物需要の継続確認が必要です。

BTC価格予想

現在のBTCは、少し強気寄りの中立で見ています。

64,000ドル台を維持していること、ETFフローがプラスに戻ったこと、Fear & Greed IndexがExtreme Fearから改善したことは前向きです。

一方で、ステーブルコイン供給は30日ではまだ弱く、Funding、Open Interest、Coinbase Premium、Spot CVDの確認も残っています。原油高とインフレも上値の重しです。

メインシナリオ:63,500〜65,500ドル

メインは、63,500〜65,500ドルのレンジ確認です。

64,000ドル台を維持できる限り、短期の底堅さは残ります。

ただし、65,500ドルを明確に突破するには、ETF流入の継続と現物需要の確認が必要です。

強気シナリオ:66,500〜68,000ドル

65,500ドルを明確に突破し、ETF流入が複数日続く場合、BTCは66,500〜68,000ドル方向を試しやすくなります。

さらに、Coinbase PremiumやSpot CVDが改善し、Fundingが過熱しないまま価格が上がるなら、70,000ドル再挑戦も視野に入ります。

弱気シナリオ:62,000〜62,500ドル

63,500ドルを明確に割る場合は、62,000〜62,500ドルの再確認を見たいです。

ETF流入が続かず、ステーブルコイン供給が短期でも悪化し、原油高や金利上昇が強まる場合は、BTCの戻りは失速しやすくなります。

62,000ドルを明確に割ると、60,000〜61,000ドル方向まで警戒が必要になります。

シナリオ条件BTC価格の目安
メイン64,000ドル台を維持、ETF流入はあるが現物需要は確認中63,500〜65,500ドル
強気65,500ドル突破、ETF流入継続、現物需要改善66,500〜68,000ドル
かなり強気68,000ドル突破、Funding過熱なし、CVD改善70,000ドル再挑戦
弱気63,500ドル割れ、ETF流入が続かない62,000〜62,500ドル
かなり弱気62,000ドル割れ、原油高・金利・清算が悪化60,000〜61,000ドル

Take-home message

BTCは64,000ドル台を維持し、ETF流入も戻っているため、今週は下値の底堅さを確認できる週でした。

ただし、ステーブルコイン供給やCoinbase Premium、Funding、Open Interestを見る限り、反発の質はまだ確認段階です。

来週は65,500ドル突破とETF流入の継続が焦点で、そこを超えられない場合は63,500ドル割れから62,000ドル台前半の再確認を見たいです。

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