RWAとETHは前進、BTCは6.5万ドルを維持できず 流動性と現物需要から市場の中身を読む
7月17日の暗号資産市場では、RWAとEthereumを巡る金融インフラの進展が目立ちました。OndoはDTC保管の株式と連動するトークン化商品を発表し、ウォール街がEthereum上へ金融商品を構築するという強気論も改めて示されています。
ただし、RWA市場では約329億ドル相当の資産が1週間動いておらず、発行額の拡大と実際の利用にはまだ距離があります。BTCも好材料の割に6万5,000ドルを維持できず、ロング清算を伴って6万3,000ドル台へ下落しました。
今日の市場では、金融インフラの前進と、現在の価格を押し上げる流動性を分けて考える必要があります。
この記事では、RWAとETHの成長余地、BTCが上値を抑えられる理由、ETFとデリバティブから見た反発の質、今後の価格シナリオを整理します。
7月17日の暗号資産市場・主要指標
※価格は7月18日。ETFフローは最新確定の7月16日分です。
| 指標 | 現在の状況 | 見方 |
|---|---|---|
| BTC価格 | 約63,373ドル | 高値64,588ドルから下落、安値は62,505ドル |
| ETH価格 | 約1,828ドル | 24時間−2.66%でBTCより弱い |
| ETH/BTC | 約0.0288 | 0.03から再び距離が開く |
| Fear & Greed Index | 27/Fear | 25から小幅改善も警戒感は強い |
| BTC Funding Rate | 平均約+0.0065% | ロング優位だが過熱は限定的 |
| BTC Open Interest | 約212億ドル、24時間+0.55% | 価格下落中も建玉は増加 |
| BTC清算額 | 約5,050万ドル | 約86.5%がロング清算 |
| BTC現物ETF | +4,570万ドル | 3日連続流入だが金額は縮小 |
| ETH現物ETF | −2,800万ドル | 2日連続流入から純流出へ転換 |
| ステーブルコイン供給 | 約3,102.5億ドル | 7日−0.03%、30日−1.32% |
| Coinbase Premium | 当日正確値は未確認 | 直近公開値はマイナス圏 |
Fear & Greed IndexはAlternative.me、Funding、Open Interest、清算はCoinalyze、ETFフローはFarside Investors、ステーブルコイン供給はDefiLlamaで確認できます。
RWAとETHは「発行」から実際の利用へ進めるか
OndoとDTCCの連携が示す一歩
Ondoは、DTCが保管するCircle株とSPYに1対1で紐づくトークン化商品を発表しました。DTCC側では30社超が参加し、担保差し入れ、証券貸借、株式決済を含む実取引テストも進んでいます。
発表だけを見ると、ONDOが一時17%上昇したことが目立ちます。
しかし今回の意味は、トークン化証券が「発行された商品」から、担保・貸借・決済で使われる資産へ近づいた点にあります。
600億ドル市場でも流動性は不足
RWA市場は600億ドルを超えましたが、市場価値の88%が62資産に集中しています。
さらに、10万ドル以上のトークン化資産1,289件のうち910件、約329億ドル相当は1週間の移転実績がありませんでした。
時価総額が増えても、売買、担保利用、金融機関間の移動が増えなければ流動性にはなりません。今後は取引回数や担保利用、投資家のアクセスを確認する必要があります。
Ethereumへの需要へ還元されるか
Ethereumについては、BlackRockのBUIDLが約26億ドルのトークン化国債を保有し、RobinhoodのチェーンがETHをガスとして使用することが強気材料として挙げられています。
金融機関の採用は長期的な追い風です。ただし、Ethereum関連技術の利用とETH価格の上昇は同じではありません。
手数料や担保需要がEthereumの基盤層へ戻るか、L2や独自チェーンだけが収益を得る構造にならないかが確認点です。
BTCは6.5万ドルより6.9万ドルが大きな壁
好材料があっても上昇時の売りが続く
BTCはCPIとPPIの鈍化を受けて6万5,000ドルを回復しましたが、短期・長期保有者の売却に押されました。
現在は約6万3,373ドルで、6万5,000ドルの定着から再び距離が開いています。
株式ファンドの比率は過去最高の64.7%に達した一方、BTCは前四半期に13.4%下落しました。
BTCの弱さは、投資家のリスク許容度だけでなく、暗号資産固有の資金流出や保有者の売りも影響しています。
6.9万ドルは短期保有者の損益分岐点
短期保有者の平均取得価格は約6万9,000ドルとされています。この付近まで価格が戻ると、含み損を解消したい保有者の売りが出やすくなります。
逆に6万9,000ドルを現物需要とともに回復できれば、損益分岐を理由にした売却圧力は弱まりやすくなります。
6万5,000ドルの回復は反発の確認ですが、相場の上値構造が変わるかを判断する水準は6万9,000ドルです。
ETFは支えを残す一方、デリバティブは不安定
BTC ETF流入は継続、ETH ETFは流出へ
最新確定の7月16日分では、BTC現物ETFへ4,570万ドルが純流入し、3日連続のプラスとなりました。
ただし、前日の1億770万ドルから流入額は縮小しています。
ETH現物ETFは2,800万ドルの純流出へ転じました。前日まで確認されていたETHへの大口買いとは別に、米国ETFからの短期的な支えは弱まっています。
ロング清算後もOpen Interestは増加
BTCの24時間清算額は約5,050万ドルで、そのうち約4,370万ドルがロングでした。価格下落によって、上昇を見込んだポジションが整理されています。
通常、価格下落とともにOpen Interestも減れば、レバレッジが抜けたと判断しやすくなります。しかし今回はOIが約212億ドルへ0.55%増加しました。
既存ロングが清算される一方で、新しいポジションが入り直しています。方向は断定できませんが、再び清算が連鎖する可能性は残ります。
市場全体の待機資金はまだ増えていない
ステーブルコイン総供給は約3,102.5億ドルです。1日では0.08%増えたものの、7日では0.03%減、30日では1.32%減となっています。
BTC ETFへの流入は続いていますが、市場全体の待機資金が継続的に増えている確認はありません。
直近のCoinbase Premiumもマイナス圏であり、米国現物市場が価格を積極的に押し上げる状態には至っていません。
現在はETFが下値を支える一方、デリバティブの新しいポジションが短期の値幅を広げやすい状態です。
昨日までとの差分
昨日は、PPI鈍化による金利リスクの後退と、ETF流入、ETHへの大口資金集中が中心でした。
今日は、ETHへ資金が向かう長期的な理由として、RWAやウォール街の金融インフラという材料が具体化しました。
一方、RWA市場の約329億ドル相当が1週間動いていないことも分かり、採用や発行だけでは価格需要へつながらないという課題も見えています。
BTCでは、前回の「価格下落とOI減少」から、「価格下落、ロング清算、OI増加」へ変化しました。
レバレッジが整理された後に建玉が入り直しており、下落後のポジション調整がまだ終わったとは言いにくい状況です。
また、BTC ETFは流入を維持しましたが金額は縮小し、ETH ETFは純流出へ転じました。昨日より現物側の支えは弱まり、戻りには新しい買い材料が必要です。
BTC価格予想
メインシナリオ:62,500〜65,500ドル
62,500ドルを維持できれば、すぐに下落が加速するより、64,600〜65,000ドルの回復を試す展開が想定されます。
ETF流入が下値を支える一方、OI増加とステーブルコイン供給の弱さが残るため、65,000ドルを回復するまではレンジ継続として見ます。
強気シナリオ:68,000〜69,000ドル
65,000ドルを維持し、66,900ドルを突破することが条件です。
ETF流入の再加速、Coinbase Premiumの改善、現物出来高の増加がそろえば、68,000〜69,000ドルが次の目標になります。
6万9,000ドルを現物需要とともに超えれば、1週間〜1か月では72,000〜75,000ドルも視野に入ります。
弱気シナリオ:61,000〜61,700ドル
62,500ドルを割り、62,000ドルを回復できない場合は、61,000〜61,700ドルまで下値余地が広がります。
60,000ドルも明確に割れると、次は58,000〜58,500ドルが意識されます。
ETF流入の停止やマイナス転換、ロング清算後もOIが増え続ける展開は、弱気シナリオを強めます。
Take-home message
RWAとEthereumでは既存金融との連携が進んでいますが、発行された資産が実際に取引・担保・決済で使われるかが、次の成長を判断するポイントです。
BTCはETF流入を維持している一方、ロング清算後もOpen Interestが増え、ステーブルコイン供給も弱いため、反発を支える現物需要はまだ限定的です。
当面は62,500ドルを守れるか、上方向では65,000ドルを回復し、最終的に6万9,000ドルの売りを現物買いで吸収できるかを確認したい局面です。
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