BTCは6.5万ドル定着ならず、それでもETFとETH・RWAは前進|7月13日〜19日の暗号資産市場
7月13日から19日の暗号資産市場では、米CPI・PPIの鈍化を受けて金利上昇への警戒が和らぎ、BTCは一時6万5,000ドル台まで上昇しました。
しかし、週末まで6万5,000ドル台を維持することはできず、価格は6万4,000ドル台へ戻っています。
今週の特徴は、暗号資産市場全体へ資金が一斉に戻ったことではありません。米国の現物ETF、ETH、RWA、認可を取得した事業者など、資金の入口や利用目的が比較的明確な場所へ動きが偏りました。
一方、ステーブルコイン供給は中期的に減少し、Coinbase Premiumも明確な強さを示していません。BTCの反発には現物ETFの支えがありましたが、短期の値幅にはOpen Interestの増加や清算も影響しています。
この記事では、今週のBTC反発の中身、ETHとRWAが注目された理由、制度・セキュリティ面の変化、来週に確認したい価格条件を整理します。
今週末の暗号資産市場・主要指標
※価格とデリバティブは7月20日週末スナップショットです。ETFは7月13〜17日の週間合計です。
| 指標 | 週末時点・週間状況 | 見方 |
|---|---|---|
| BTC価格 | 約64,482ドル | 週中の6.5万ドル台から押し戻される |
| ETH価格 | 約1,871ドル | 週後半に反発するも2,000ドルには届かず |
| ETH/BTC | 約0.0290 | 0.03が引き続き上値の確認点 |
| Fear & Greed Index | 28/Fear | 週中のExtreme Fearから小幅改善 |
| BTC Funding Rate | 平均約+0.0059% | ロング優位だが過熱は限定的 |
| BTC Open Interest | 約214億ドル | 価格の戻りとともに建玉も増加 |
| BTC清算額 | 約1,260万ドル/24時間 | 約77%がショート清算 |
| BTC現物ETF | 週間+7,550万ドル | 週初の大幅流出を後半4日で吸収 |
| ETH現物ETF | 週間+1億550万ドル | BTC ETFを上回る週間純流入 |
| ステーブルコイン供給 | 約3,101億ドル | 7日−0.44%、30日−1.41% |
BTC現物ETFは7月13日に4億2,470万ドルの大幅流出となりましたが、14日から17日まで4営業日連続で流入し、週間では7,550万ドルのプラスへ戻しました。
ETH現物ETFも7月16日は2,800万ドルの流出でしたが、週間では1億550万ドルの純流入となっています。週を通して見ると、ETH ETFへの資金流入はBTC ETFを上回りました。
BTCはマクロの追い風だけでは上へ抜けなかった
CPI・PPI鈍化で利上げ観測は後退
今週は米CPIに続いてPPIも市場予想を下回り、7月の追加利上げ観測が後退しました。
金利上昇への警戒が和らいだことで、BTCは一時6万5,000ドル台、ETHは1,900ドル台まで上昇しています。
最初は、インフレ鈍化によって暗号資産の上昇条件が整ったように見えました。
ただし、物価を押し下げた要因の一つはガソリン価格の下落です。その後はホルムズ海峡を巡る緊張によって原油価格が上昇しており、次回以降の物価統計には再び上昇圧力がかかる可能性があります。
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ETF流入は反発を支えた
BTC ETFは週初に大きく流出しましたが、その後は4営業日連続で純流入となりました。
大口ウォレットによるBTC取得も確認され、週の途中までは価格上昇、ETF流入、Open Interest増加が同時に起きていました。
このため、今週の反発をショートカバーだけで説明することはできません。ETF経由の現物資金が下値を支えていたことは、週間データからも確認できます。
一方、週末の反発時にはショート清算とOI増加も起きています。現物ETFが土台を作り、その上でデリバティブが短期の値幅を広げた構図です。
6.5万ドルと6.9万ドルの意味
BTCは何度か6万5,000ドル台へ上昇しましたが、そのたびに売りに押されました。
短期保有者の平均取得価格は約6万9,000ドルとされ、この付近には損益分岐で売却したい保有者が多いと考えられます。
6万5,000ドルの回復は短期反発の確認になりますが、相場の上値構造が変わるには、6万9,000ドル付近の売りを現物需要で吸収する必要があります。
ETHはアルト市場全体より先に資金を集めた
大口取得と取引所流出
今週は複数の新規ウォレットが約5万ETHを取引所から引き出し、BitMineによる6,000 ETHの追加取得も確認されました。
先物Open Interestも増え、ETH/BTCは週の途中で上昇しています。
先物建玉だけでなく、現物の取引所流出も同時に起きたため、ETHへの資金集中にはショートスクイーズ以外の要素も含まれていました。
ETFでもETHへの資金が上回った
ETH ETFは週間で約1億550万ドルの純流入となり、BTC ETFの週間流入額を上回りました。
ただし、ETHは1,900〜2,000ドル付近で上値を抑えられています。先物参加とETF資金は増えましたが、価格を2,000ドルより上へ定着させるほど現物出来高が広がった状態ではありません。
また、アルトコインシーズン指数は低いままでした。
今週起きたのは、BTCからアルトコイン全体への一斉な資金移動ではなく、BTC以外へ向かった資金が最初にETHへ集まった動きと考えられます。
RWAとウォール街がETHを支える長期材料
Ondoは、DTCが保管するCircle株とSPYに連動するトークン化商品を発表しました。DTCCでは30社超が参加し、担保、証券貸借、株式決済を含む実取引テストも進められています。
RWA市場は600億ドルを超えましたが、約329億ドル相当の資産は1週間の移転実績がありませんでした。
発行額が増えても、取引、担保、決済で利用されなければ、オンチェーン上の流動性にはなりません。
関連:OndoとDTCCのトークン化株式
関連:RWA市場に残る流動性不足
Ethereumについても、金融機関が関連技術を利用することと、ETH価格へ価値が還元されることは分けて見る必要があります。
ガス、手数料、担保としてETHが継続的に必要になるかが、RWA拡大を価格材料として判断するポイントです。
制度化は認可件数から事業の結果へ進んだ
MiCAは事業拡大と退出を同時に進める
Ripple Payments EuropeはMiCA登録に加わり、欧州約30カ国へ決済事業を広げやすくなりました。
一方、オランダの取引所KnakenはMiCA認可を取得できず破綻し、約800万ドルの顧客資金不足が明らかになりました。
同じ規制の下で、認可を維持できる企業は事業を拡大し、顧客資産管理や財務体力に問題のある企業は退出しています。
関連:Ripple Payments EuropeのMiCA登録
関連:Knakenの破綻と顧客資金不足
Rippleの事業拡大は好材料ですが、直接的な恩恵を受けるのは決済サービスやRLUSDです。XRPの取引需要へどれだけつながるかは、認可後の利用量を確認する必要があります。
ステーブルコインは制裁インフラにもなった
米財務省がイラン関連アドレスを制裁対象に加えた後、Tetherは約1億3,100万ドルのUSDTを凍結しました。
USDTは世界中へドル流動性を運ぶ一方、発行体が特定アドレスの利用を停止できる資産です。
犯罪・制裁資金を止められることは利点ですが、発行体や政府の判断によって利用できなくなる中央集権リスクもあります。
関連:イラン関連USDTの凍結
セキュリティはコードから組織運営へ
Ostiumではオラクル署名鍵の侵害によって約1,800万ドル、Summer.fiでは約610万ドルの被害が発生しました。
週末には、MetaMaskの開発へ偽名を使った北朝鮮籍の人物が約1カ月関与していたことも明らかになっています。
今週の事件を並べると、スマートコントラクト監査だけでは安全性を判断できないことが分かります。
秘密鍵、オラクル、採用審査、外部委託、アクセス権限、事故後の補償余力までが、プロジェクトのファンダメンタルズに含まれます。
株式市場のリスク選好は暗号資産へそのまま移らなかった
AI需要は残るが、利益の向かう先が変わった
TSMCは2026年の売上成長率見通しを40%超へ引き上げ、AI半導体の実需が強いことを示しました。
一方、SK hynix、キオクシア、米国半導体株では大幅な下落が起きました。中国のKimi K3など、安価で性能の高いオープンモデルの登場も、閉鎖モデルや高額な計算資源が利益を独占できるという前提を弱めています。
AI需要が消えたのではなく、半導体、データセンター、モデル、アプリケーション、金融サービスの間で、資金の向かう先が変化しています。
株高でもBTCは上がらなかった
株式ファンドの比率は過去最高水準に達しましたが、暗号資産市場は第2四半期も縮小しました。
投資家がリスクを取れなくなったわけではありません。株式、AI、未上場企業などへ向かう資金が、暗号資産市場へ十分に戻っていないということです。
今週のETFフローは改善しましたが、ステーブルコイン供給は7日・30日の両方で減少しました。
暗号資産市場全体が上昇するには、ETFという特定の入口だけでなく、ステーブルコイン供給や現物取引量にも資金増加が現れる必要があります。
来週のBTC価格シナリオ
メインシナリオ:63,800〜66,900ドル
6万3,800〜6万4,000ドルを維持できれば、6万5,000〜6万5,500ドルの回復を試す展開が想定されます。
ETF流入は下値を支えていますが、Open Interestも増えているため、6万6,900ドルを超えるまではレンジ内の反発として見ます。
強気シナリオ:68,000〜69,000ドル
6万5,500ドルを維持し、6万6,900ドルを現物出来高とともに突破することが条件です。
ETF流入の継続、Coinbase Premiumの改善、ステーブルコイン供給の増加が確認できれば、6万8,000〜6万9,000ドルが次の目標になります。
6万9,000ドルの売りを吸収できれば、1週間から1カ月では7万2,000〜7万5,000ドルも視野に入ります。
弱気シナリオ:62,500〜63,300ドル
6万4,000ドルを割り、6万3,800ドルを回復できない場合は、6万3,300ドル、次に6万2,500ドルが意識されます。
6万2,500ドルも割れると、6万1,000〜6万1,700ドル、さらに6万ドルまで下値余地が広がります。
ETFフローのマイナス転換、原油高によるインフレ懸念、OI増加を伴う価格下落が、このシナリオを強めます。
Take-home message
今週はCPI・PPI鈍化とETF流入がBTCを支えましたが、6万5,000ドル台を定着できず、市場全体の現物資金回帰までは確認できませんでした。
ETHとRWAでは大口取得、ETF流入、既存金融との連携が進みましたが、実際の取引・担保・手数料需要へつながるかが次の確認点です。
来週はBTCが6万4,000ドル台を維持できるか、6万6,900ドルを現物需要とともに突破できるか、下方向では6万2,500ドルを守れるかが重要になります。
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