7月22日の暗号資産市場では、BTCとETHが反発し、Fear & Greed Indexも25から33へ改善しました。米国の現物BTC ETFには6営業日連続で資金が入り、クジラや長期保有者の動きにも変化が見られます。

最初は、現物資金を伴う強い反発に見えます。

しかし数値を並べると、Open Interestは減少し、Funding Rateと清算はほぼ中立です。レバレッジの過熱は見られない一方、Coinbase Premiumはマイナス圏にあり、ステーブルコイン供給も直近30日では減少しています。

今回の記事では、反発が現物買いによるものなのか、売り圧力の後退によるものなのかを整理します。さらに、BTCトレジャリー企業の方針転換、ステーブルコイン競争、アルトコインの収益性を確認し、最後にBTCの1週間~1カ月程度の価格シナリオへつなげます。

指標現在の数値見方
BTC価格66,555.8ドル、前日比+1.99%66,000ドル台へ反発。ただし上値では供給壁を確認
ETH価格1,929.86ドル、前日比+1.33%1,900ドル台を回復。ETF流入も継続
Fear & Greed Index33、前日25「極度の恐怖」から「恐怖」へ改善
BTC ETFフロー+2億320万ドル6営業日連続流入、累計約9億3,020万ドル
ETH ETFフロー+3,750万ドルETHAへの流入が中心
Coinbase Premium約-0.062米国現物需要は依然として弱い
Funding Rate小幅な正負が混在ロングへの一方向の偏りは見られない
Open Interest216億ドル、24時間で-3.44%価格を維持しながらレバレッジが減少
BTC清算額1,780万ドルロング940万ドル、ショート840万ドルで拮抗
ステーブルコイン供給約3,099.7億ドル7日で-0.12%、30日で-1.51%

※価格とFear & Greed Indexは7月22日0時UTC、ETFは米国市場7月21日確定分、デリバティブとステーブルコインは7月23日確認時点です。清算額はデータ提供元によって集計範囲が異なります。

BTC反発の中身を数値から確認する

価格とセンチメントは改善

BTCは66,000ドル台、ETHは1,900ドル台へ戻り、Fear & Greed Indexも25から33へ上昇しました。

一見すると、市場が再びリスクを取り始めたように見えます。

ただし、33はまだ「恐怖」の範囲です。価格が上がっている一方で、市場参加者が強気へ大きく傾いた状態ではありません。

これは過熱感が小さいというメリットがあります。一方で、価格を継続的に押し上げるほど投資家心理が改善していない可能性もあります。

ETF流入とCoinbase Premiumのずれ

米国の現物BTC ETFには、7月21日に2億320万ドルが流入しました。これで6営業日連続の純流入となり、期間中の合計は約9億3,020万ドルです。

IBITへの流入は1億6,390万ドル、FBTCは2,310万ドルでした。ETH ETFにも3,750万ドルが入り、ETFを通じた資金はBTCとETHの両方へ戻っています。

ただし、Coinbase Premium Indexは約-0.062です。マイナス圏は累計900時間を超え、米国の現物市場ではCoinbase価格がBinanceを下回る状態が続いています。

ETF流入は特定の規制商品への需要です。Coinbase Premiumは、より広い米国現物市場の強さを示します。

したがって、現在は「ETFが下値を支えているが、米国の現物買いが市場全体へ広がった状態ではない」と読むのが自然です。

レバレッジ主導の反発ではない

BTCのOpen Interestは216億ドルで、24時間では3.44%減少しました。無期限先物に限ると206億ドルで、3.62%減っています。

Funding RateもBinanceが+0.0014%、Bybitが-0.0022%、OKXが-0.0002%など、取引所ごとに正負が分かれています。

さらに、24時間の清算額は1,780万ドルで、ロング940万ドル、ショート840万ドルとほぼ拮抗しています。

価格を維持しながらOIが減り、Fundingも中立にあるため、今回の反発はレバレッジを積み上げただけの上昇ではなさそうです。

一方、OIの減少は市場参加の縮小でも起こります。反発の質をさらに確認するには、現物出来高とCoinbase Premiumの改善が必要です。

今日のニュースが示したファンダメンタルズの変化

BTCトレジャリー企業は収益性を重視

Tetherが支援するTwenty Oneは43,514 BTCを保有していますが、追加購入だけを中心とした戦略から、BTC担保融資、買収、キャッシュフローを生む事業へ方針を広げます。

一方、Satsumaは資本返還と上場廃止を90%超の賛成で承認しました。

これは企業のBTC保有が一斉に終わるという話ではありません。BTCを保有するだけでは、株価や企業価値を維持できない事例が出てきたということです。

収益事業を持てれば、BTCを安値で売却せずに済む可能性があります。その反面、営業キャッシュフローが弱い企業では、保有BTCが資本返還や債務返済の原資として意識されやすくなります。

BTC価格にとっては、目先の売却額だけでなく、企業による将来の追加購入余力も重要になります。

ステーブルコイン競争は決済網へ

Circleの第1四半期収益6億9,400万ドルのうち、94%は準備資産収入でした。USDTの規模は約1,840億ドル、USDCは約730億ドルで、発行残高ではTetherが大きく先行しています。

CircleはArcを通じて決済・清算・プライバシーを含む金融基盤を構築し、USDCを金融機関の裏側で使われるデジタル現金へ近づけようとしています。

Open USDには140社超が参加し、準備資産収益を流通事業者と共有します。KuCoin Payは50種類超の暗号資産を既存のQRコードや地域決済網へ接続します。

今日の記事から見えるのは、競争の中心が発行残高から、取引所・加盟店・銀行・決済網を押さえる力へ移っていることです。

ただし、ステーブルコイン全体の供給は30日で1.51%減っています。利用先は広がっていますが、暗号資産市場へ入る新しい待機資金が増えたとは、まだ判断できません。

アルトコインは収益と継続性が価格差を生む

S&Pの新しい暗号資産指数はBTCを除外し、ETH、BNB、SOL、TRX、HYPEなど18資産を採用しました。評価基準にはプロトコル収益が使われています。

これだけを見ると、機関投資家がBTCよりアルトコインを重視し始めたように見えます。

しかし、この指数が測っているのはネットワークが生み出す手数料収益です。通貨・準備資産として評価されるBTCとは、そもそもの役割が異なります。

同時に、2024年以降に登場した主要113銘柄のうち、TGE価格を上回っているのは8銘柄だけでした。中央値は約95.7%下落しています。

アルトコイン全体へ同じように資金が入る状況ではなく、利用量、収益、買い戻し、供給増加を吸収できる需要が価格差につながっています。

昨日までと何が変わったのか

BTCは供給側の改善が加わった

昨日までのBTCでは、ETF流入の再開とレバレッジ整理が反発材料として確認されていました。

今日はそれに加えて、クジラの取引所流入が2026年最低水準まで低下し、長期保有者の純ポジションが1日で約47%増加しました。

ETFという外部からの買いだけでなく、既存保有者から市場へ出てくるBTCが減ったことが新しい材料です。

ただし、Coinbase Premiumがマイナスであるため、売り手の減少を強い現物需要の増加と同じように扱うことはできません。

トレジャリー企業の論点が変化

昨日までの企業保有では、Strategyや優先株を使った資金調達方法が中心でした。

今日はTwenty Oneの経営方針変更とSatsumaの資本返還が加わり、議論が「どのようにBTCを買うか」から「企業として継続できるか」へ進みました。

今後はBTC保有量に加えて、資金調達コスト、営業キャッシュフロー、mNAV、売却条件を確認する必要があります。

ステーブルコインは構想から決済導線へ

昨日まで続いていたステーブルコイン拡大のテーマに対し、今日はArc、Open USD、KuCoin Payという具体的な流通・決済インフラが示されました。

その一方、供給量はまだ増加へ転じていません。

用途の拡大が先行し、資金量の増加が後から続くのか。それとも既存のステーブルコインが複数サービス間を移動するだけなのかが、次の確認点です。

BTC価格予想:1週間~1カ月の3シナリオ

強気シナリオ:68,647~72,000ドル

66,900ドル付近の供給壁を、現物出来高を伴って上回ることが条件です。

ETF流入が続き、Coinbase Premiumがゼロ方向へ改善し、Fundingが中立を維持したままOIが緩やかに増える場合、68,647ドルから71,947~72,000ドルが次の範囲になります。

72,000ドルを日足で維持できれば、1カ月程度では74,000~76,000ドル方向を試す余地も出てきます。

メインシナリオ:64,823~68,647ドル

現時点では、このシナリオを中心に考えます。

ETF流入と長期保有者の買い増しが下値を支える一方、Coinbase Premiumのマイナスとステーブルコイン供給の減少が上値を抑える展開です。

66,284ドル前後を挟みながら、65,465ドルから68,647ドルの間で供給を吸収する時間が必要になる可能性があります。

弱気シナリオ:62,800~64,823ドル

66,284ドルを維持できず、ETF流入の鈍化、Coinbase Premiumのマイナス拡大、下落中のOI増加、ロング清算の増加が重なる場合は注意が必要です。

まず65,465ドル、次に64,823ドルが確認水準になります。

64,823ドルを明確に割れた場合は、直近安値を含む62,800~64,000ドルが次の範囲です。さらにステーブルコイン供給の減少や企業保有BTCの売却が重なる場合、60,000~61,500ドル方向も視野に入ります。

Take-home message

  1. BTCはETF流入と売り圧力の低下に支えられていますが、Coinbase Premiumは米国現物需要の弱さを示しています。
  2. OI減少、Funding中立、清算の拮抗から、今回の反発はレバレッジの過熱を伴っていません。
  3. 66,900ドルを越えるにはETFだけでなく、現物出来高、Coinbase Premium、ステーブルコイン供給の改善が必要です。

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