BTCは約6万4,700ドル、ETHは約1,888ドルまで下落しました。

7月23日の記事で最も重要なのは、米国のCLARITY法案が「成立への期待」から「具体的な条文を評価する段階」へ進んだことです。ただし、法案全文の公開後も民主党議員の反対が残っており、規制期待だけでBTCを押し上げ続ける状況ではありません。

市場の数字を見ると、ETFへの資金流入は続いています。一方、Coinbase Premiumはマイナス圏、現物取引もわずかに売り優勢であり、積極的な現物買いが反発を主導しているとは言いにくい状態です。

この記事では、政策・暗号資産の評価基準・ネットワークの安全性という今日のニュースを整理したうえで、ETF、Funding、Open Interest、清算、ステーブルコイン供給を組み合わせ、BTCの次の価格帯を考えます。

※数値は2026年7月24日1時56分頃(日本時間)を基準としています。ETFフローは米国市場の最新確定日である7月22日の数値です。

指標最新値見方
BTC価格約64,700ドル24時間で約2.3%下落。20日線付近を試す展開
ETH価格約1,888ドル24時間で約3.1%下落。1,900ドルを下回る
Fear & Greed Index31(Fear)前日の33から低下し、心理は再び慎重
BTC現物ETFフロー+6,910万ドル流入継続。ただし前日の+2億320万ドルから減速
BTC Funding Rate+0.0011%プラスですが、ロング過熱を示す水準ではない
ETH Funding Rate+0.0032%BTCより高いものの、極端な偏りはない
BTC Open Interest約483億ドル建玉は大きく、値動きが増幅される余地が残る
24時間清算額約1億6,550万ドルポジション整理は進んだが、全面的なレバレッジ解消ではない
現物成行比率買い49.55%/売り50.45%小幅ながら売り優勢。現物CVDも弱含みと推測
Coinbase Premium-0.042改善しているが、米国現物需要はまだ割引状態
ステーブルコイン供給約3,110億ドル7日間で0.45%増、30日間では1.19%減
取引所BTC残高約270万BTC長期では低水準。市場で売却可能な供給は限定的

価格はCoinGecko、市場心理はAlternative.me、デリバティブはCoinGlassを参照しています。

CLARITY法案は前進したが、成立確率はまだ固まっていない

616ページの全文が公開された

上院共和党は、デジタル資産市場の包括的な規制を定めるCLARITY法案の全文を公開しました。

法案は616ページに及び、SECとCFTCの監督範囲を分けるほか、大統領、副大統領、連邦議員とその配偶者が、在任中に報酬を受け取って暗号資産を発行・支援することを禁止します。

最初は「法案全文が出たため成立が近づいた」と見えます。実際、規制対象と監督機関が明確になれば、銀行、運用会社、カストディアンが暗号資産事業へ参入する際の法的リスクは下がります。

必要な60票には届いていない

一方、民主党議員7人は、消費者保護、不正資金対策、市場の健全性、倫理規定の執行方法が不十分だと表明しました。上院通過には60票が必要であり、共和党だけでは可決できません。

また、今回の倫理規定は2029年1月20日に失効する予定です。法案が公開されたことと、成立に必要な合意が整ったことは分けて考える必要があります。

規制の明確化は中長期的にはプラスですが、短期価格には「成立するか」「いつ採決されるか」「修正でどこまで内容が変わるか」が反映されます。

暗号資産は雇用政策にも関係し始めた

全米暗号通貨協会が委託した米国の経済効果に関する報告書では、暗号資産業界が3万4,000人を直接雇用し、関連雇用を含めると23万2,000人を支えていると試算されました。経済への寄与額は550億ドル、平均年収は13万3,000ドルとされています。

業界団体が委託した推計である点には注意が必要ですが、暗号資産規制が投資家保護だけでなく、雇用や産業政策として議論される段階に入ったことは確認できます。

暗号資産の評価軸が時価総額から収益へ広がる

BTCを除外したS&Pの新指数

S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスとパンテラは、18種類のトークンで構成する新たな暗号資産指数を開始しました。

条件は、プロトコルが継続的に収益を上げ、その利益が買い戻し、ステーキング報酬、分配などを通じて保有者へ還元されることです。S&Pの幅広い指数に含まれる196銘柄のうち、この基準を満たしたのは18銘柄だけでした。

BTCはプロトコル収益を保有者へ還元しないため、指数から除外されています。しかし、これはBTCの価値が否定されたという話ではありません。BTCを通貨・準備資産として評価する基準と、アプリやネットワークを収益事業として評価する基準が分かれたということです。

価格以外の数字が重くなる

新指数では、ETH、BNB、SOL、TRX、HYPEが上位を占めています。構成銘柄18種は、直近2四半期の年率換算で合計30億ドルを超える収益を生み出したとされています。

Bitwiseのマット・ホーガンCIOも、次の成長分野として、実際に収益を生み出すアプリと、ブロックチェーン上で事業を展開する既存企業を挙げました。

今後は「利用者が増えた」「取引件数が増えた」だけでなく、その利用が収益となり、トークン価値へ戻る仕組みまで確認する必要があります。

ソラナは実装段階へ進む

ソラナでは、Alpenglowアップグレードに向けたバリデータ登録が始まりました。

現在約12秒かかるファイナリティを約150ミリ秒まで短縮し、投票データを電子証明書へ集約する計画です。2026年8月から10月にかけて段階的に導入される予定です。

決済や取引アプリにとって150ミリ秒という速度は魅力的ですが、価格への反映には、導入完了、障害の有無、実際の利用増加まで確認する必要があります。

反発の質は、まだ現物主導と呼べない

ETFは流入を維持している

米国現物BTC ETFは、最新確定日の7月22日に6,910万ドルの純流入となりました。Farside Investorsによると、前日の2億320万ドルから規模は縮小しましたが、流出には転じていません。

これはBTCの下値を支える材料です。ただし、Coinbase Premiumは-0.042で、米国の現物価格は依然として他市場より安い状態です。

ETFからの資金は残っている一方、取引所で積極的に買い上げる需要は十分に戻っていないと考えられます。

Fundingは低いが、建玉は大きい

BTCのFunding Rateは+0.0011%です。ロング側がわずかにコストを支払っていますが、過熱と呼ぶほどではありません。

一方、Open Interestは約483億ドルあります。CoinGlassの掲載範囲では、24時間の先物出来高が約432億ドル、現物出来高が約32億ドルでした。

清算額は市場全体で約1億6,550万ドル、BTCで約4,840万ドルです。一定のポジション整理は起きていますが、大規模なレバレッジ一掃ではありません。

つまり、今回の下落を「過熱したロングが清算されただけ」と片づけるには、現物需要が弱すぎます。

待機資金は短期増加、中期では縮小

DefiLlamaによると、ステーブルコイン供給は約3,110億ドルです。7日間では0.45%増えましたが、30日間では1.19%減少しています。

短期的には暗号資産市場へ投入できる資金が少し増えています。しかし、1か月単位で資金が持続的に流入している状態には戻っていません。

現物成行比率も買い49.55%、売り50.45%で、わずかに売りが優勢です。反発の質が変わるには、ETF流入の継続に加え、Coinbase Premiumのプラス転換と現物買い比率の50%回復が欲しいところです。

また、イラン情勢を受けた原油価格の上昇は、インフレと金利を通じてBTCの上値を抑える可能性があります。規制期待があっても、マクロ環境が逆方向へ動けば価格への反映は遅れます。

昨日までとの差分とBTC価格予想

昨日までとの差分

昨日は、ホワイトハウスがCLARITY法案の倫理パッケージに合意し、成立まで「あと1ヤード」との期待が中心でした。BTCも6万7,000ドル付近まで上昇しました。

今日変わったのは、616ページの具体的な条文が公開され、その内容を確認した民主党議員7人が依然として反対を表明したことです。

法案が止まったわけではありませんが、「倫理合意によって成立がほぼ見えた」という解釈から、「修正と票数を確認する必要がある」という解釈へ変化しました。BTCが6万4,700ドル付近へ戻った背景には、規制期待の再評価に加え、原油高と現物需要の弱さがあります。

メインシナリオ:63,200〜68,100ドル

BTCは約6万4,700ドルで、20日移動平均線の6万4,232ドルと、50日線の6万3,171ドルに近づいています。

この6万3,200〜6万4,200ドル帯を維持できれば、6万3,200〜6万8,100ドルのレンジを中心に考えます。

ETF流入が継続しても、Coinbase Premiumと現物CVDが改善しなければ、6万6,800〜6万8,100ドルでは再び売りが出やすくなります。

強気シナリオ:70,000〜73,000ドル

6万6,800ドルを日足で回復し、6万8,100ドルを上抜けた場合は、7万ドルが次の目標になります。

さらにETF流入の再加速、Coinbase Premiumのプラス転換、現物買い比率の50%超えが重なれば、100日線付近の7万ドルから、200日線が位置する7万2,600〜7万3,000ドルまで上値余地が広がります。

CLARITY法案について超党派の合意が確認されれば、強気シナリオを補強する材料になります。

弱気シナリオ:58,000〜61,500ドル

6万3,171ドルを日足で下回ると、短期の回復構造は弱まり、次は6万1,500ドルが意識されます。

原油高、米金利上昇、ETFの純流出が重なった場合は、6万1,500ドルを下回り、6月安値に近い5万9,000ドルを試す可能性があります。

その場合の下値レンジは5万8,000〜6万1,500ドルです。Fear & Greed Indexが低いことだけを反発理由にせず、現物資金が下落を吸収しているかを確認したいところです。

Take-home message

CLARITY法案の全文公開は具体的な前進ですが、必要な60票と倫理規定への反対が残っており、成立を完全に織り込める段階ではありません。

ETF流入と低いFunding Rateは下支えになる一方、Coinbase Premiumと現物売買比率は、積極的な現物買いの回復をまだ示していません。

BTCは6万3,200〜6万4,200ドル帯を維持できれば6万6,800〜6万8,100ドルを再び試せますが、6万3,171ドル割れでは6万1,500ドルから5万9,000ドルへの下落に注意が必要です。

この記事が参考になった方は、Xでも最新の市場メモを更新しています。
暗号資産・AI・米国株を、資金フローと需給の視点から読みたい方はぜひフォローしてください。