BTCは6.4万ドル台、ETFはETH優位へ|長期保有と資金移動から読む7月25日の暗号資産市場
7月25日の暗号資産市場では、BTCが6万4,000ドル台を維持し、ETHも1,880ドル前後まで戻しました。
価格だけを見ると、直近の下落から反発し始めたように見えます。しかし、ETFフロー、Funding Rate、現物CVD、Coinbase Premiumを並べると、現段階は「短期的な安定」と「中期的な回復確認」の間にあります。
BTCでは長期保有者の供給量が過去最高を更新し、売り急がない保有者が増えています。一方、米国現物ETFは週全体では小幅な純流入にとどまり、直近2営業日は大幅流出でした。
そのなかで、BTCよりもETHのETFフローが強くなり、ETH/BTCも約1年続いた下降チャネルを上抜けています。今回の記事では、この動きを広いアルトコイン上昇へ直結させず、BTCの回復条件とETHへの資金移動を分けて整理します。
主要指標から確認する反発の中身
| 指標 | 現在の状況 | 見方 |
|---|---|---|
| BTC価格 | 約64,100ドル | 6万4,000ドル台を維持していますが、6万5,000〜6万7,000ドルに上値抵抗があります |
| ETH価格 | 約1,881ドル、24時間で+1.21% | BTCより強いものの、1,940〜2,000ドルの回復が次の確認点です |
| Fear & Greed Index | 26・Fear | 価格は戻しても、市場心理はまだ恐怖圏にあります |
| BTC現物ETF | 週間+3,390万ドル、7月24日は−2億4,010万ドル | 週全体では純流入ですが、直近2日合計では−4億6,520万ドルです |
| ETH現物ETF | 週間+1億380万ドル、7月24日は−7,070万ドル | 週単位ではBTCを上回り、相対的な資金移動が確認できます |
| Funding Rate | BTC・ETHとも取引所間でプラスとマイナスが混在 | ロングへの一方向の過熱は限定的です |
| Open Interest | BTC約489億ドル、ETH約270億ドル | ポジション規模は大きいものの、Fundingとの組み合わせでは極端な強気傾斜ではありません |
| 清算 | 市場全体で約7,620万ドル、BTC・ETHは各約770万ドル | 大規模な強制清算による反発ではなく、値動きは比較的落ち着いています |
| 現物CVD | 小中口注文帯が持ち直し、大口注文帯は横ばい | 現物買いはありますが、大口投資家が強く追随した状態ではありません |
| Coinbase Premium | 直近確認ではマイナスが累積900時間超 | 米国現物市場の買い需要はまだ弱い状態です |
| ステーブルコイン供給 | 約3,104.9億ドル、7日間で+0.12% | 待機資金は微増していますが、30日では−1.03%です |
| BTC取引所残高 | 約271.2万BTC、直近+0.32% | 長期では低下基調ですが、短期的にはわずかに増えています |
レバレッジ主導の急反発ではない
BTCの先物出来高は約194億ドル、現物出来高は約13億ドルです。先物市場の方が大きい状況は続いていますが、Funding Rateは取引所間で方向が揃っていません。
BTCではBinanceが+0.0039%、Bybitが−0.0012%、OKXが−0.0001%で、強気ポジションへの過度な偏りは見られません。ETHもプラスとマイナスが混在しています。
そのため、今回の反発はロングの積み上がりによって無理に押し上げられた形ではありません。一方で、大口現物CVDが横ばいであることから、機関投資家の買いが主導する力強い反転とも言い切れません。
市場心理は価格ほど回復していない
Fear & Greed Indexは26で、前日の27から1ポイント低下しました。BTCが6万4,000ドル台を維持しても、市場参加者の警戒は残っています。
悲観が強いこと自体は、売り余力が減る可能性につながります。ただし、恐怖圏にあるだけで反転が決まるわけではありません。ETFフローや現物CVDが改善し、実際の買い需要が価格を支えられるかを組み合わせて確認する必要があります。
BTCの長期保有とETHへの資金移動
約1,500万BTCが155日以上動いていない
フィデリティ・デジタル・アセットによると、少なくとも155日間動いていないBTCは約1,500万枚に達し、長期保有者の供給量は過去最高を更新しました。
さらに、この長期保有層の約40%が含み損であるにもかかわらず、多くの保有者がポジションを維持しています。フィデリティが注目する長期保有者データは、価格が下落しても市場へ戻ってこないBTCが増えていることを示しています。
最初は、長期保有量の増加をそのまま強気材料と捉えたくなります。しかし、過去には弱気相場でも長期保有量が増えてきました。取引可能な供給を減らす効果は期待できますが、価格を上げるには新しい買い手も必要です。
今回のBTCは、「売られにくい供給」は増えている一方、「新たに買い上げる需要」はまだ十分ではないという組み合わせです。
ETFではETHがBTCを上回った
7月20日から24日までの米国現物ETFフローを合計すると、BTCは約3,390万ドルの純流入、ETHは約1億380万ドルの純流入でした。
BTCは週前半に資金が入りましたが、23日と24日の2営業日で合計4億6,520万ドルが流出しました。ETHも24日は7,070万ドルの流出でしたが、週全体ではBTCを上回っています。
ETH価格の上昇だけでなく、規制されたETFを通じた資金配分でもBTCとの相対差が生まれたことは重要です。単日の価格上昇よりも、資金の置き場所が少し変わり始めた可能性を示しています。
ETH/BTC改善とアルトコイン全体は分けて考える
ETH/BTCは約1年続いた下降チャネルを上抜けし、0.0289付近まで上昇しました。次の上値候補は0.0316、その先は0.0352とされています。
一方、BTCドミナンスは依然として約60%です。59.6%付近で押し戻され、58%を下回るなら資金がBTC以外へ広がりやすくなります。反対に61%を回復すれば、BTC中心の状態が続く可能性があります。
現状は、ETHの相対的な改善が始まった段階です。ETH ETFへの流入が続き、ETH/BTCが0.0316を回復し、BTCドミナンスが58%を割るまでは、ETHの強さとアルトコイン市場全体の上昇を同じものとして扱わない方が整理しやすいでしょう。
規制の進展と市場インフラのリスク
CLARITY法案は内容から成立時期の確認へ
CLARITY法案は下院を通過しましたが、上院指導部は8月休会前の可決が難しいとの見方を示しました。
下院では民主党議員78人も賛成しましたが、上院本会議では60票が必要です。200以上の暗号資産関連団体が採決を求める一方、政治家の暗号資産利益をめぐる倫理規則が争点として残っています。
法案の方向性が消えたわけではありません。ただ、市場が期待していた成立時期は後ろへずれる可能性があります。規制明確化を前提に評価されていた米国取引所や関連銘柄には、短期的な期待調整が入りやすくなります。
BitMEX閉鎖は取引所の体力差を映している
BitMEXは9月23日に運営を終了する予定です。かつて3万7,795BTCあった保険基金は約3,694BTCまで減少し、市場シェアは0.01%未満、1日当たりの取引量は約40万ドルまで縮小しました。
一見すると、古い取引所が一つ閉鎖する話です。しかし数字を並べると、流動性、規制対応、資本力を維持できない取引所が淘汰される過程と読めます。
さらに、Triple-Aでは約900万ドルのウォレット流出を伴うセキュリティ事故も報じられました。価格が安定している局面でも、保管先や接続するプロトコルのリスクは残っています。
昨日までとの差分
7月24日までは、BTCのオンチェーン反発、Ethereumの手数料・ステーキング活動、Solanaのトークン化株式出来高など、「ネットワーク上で何が増えているか」が中心でした。
7月25日は、長期保有者が約1,500万BTCを動かしていないこと、ETF資金がBTCよりETHへ多く入ったことが加わりました。焦点がネットワーク活動から、「誰が保有を続け、次の資金がどこへ向かっているか」へ一歩進んでいます。
規制面でも、昨日まではCLARITY法案の条文や支持拡大が中心でしたが、今日は8月休会前の成立が難しいという時間軸が示されました。内容への期待は残るものの、短期的な価格材料としては実現時期を慎重に見積もる必要が出てきました。
BTC価格予想――1週間から1カ月の3シナリオ
現在のBTCは約6万4,500ドルです。短期指標は改善していますが、テクニカル評価では日足が中立、週足・月足は弱い状態が続いています。
| シナリオ | 条件 | 想定レンジ |
|---|---|---|
| 強気 | 67,000ドルを日足で突破し、69,000ドルにも定着。ETFフローとCoinbase Premiumが改善 | 69,000〜75,000ドル |
| メイン | 63,000ドル前後を維持する一方、66,300〜67,000ドルでは売りが出る | 63,000〜67,000ドル |
| 弱気 | 62,000ドルを日足で割り、ETF流出と現物売りが重なる | 60,000〜61,300ドル。下振れ時は58,000〜59,000ドル |
強気シナリオ
まず6万6,300〜6万7,000ドルを回復し、6万9,000ドルを日足で維持できることが条件です。
長期保有者によって流通供給が抑えられた状態で、ETF流入と米国現物買いが戻れば、少ない売り物に新規需要がぶつかります。その場合は7万2,000〜7万5,000ドルまで上値余地が広がります。
メインシナリオ
現時点では、6万3,000〜6万7,000ドルのレンジを中心に考えます。
Funding Rateに過熱はありませんが、BTC ETFは直近2日で大幅流出し、Coinbase Premiumも弱い状態です。6万3,000ドル付近では長期保有と取引所残高の低さが支えになり、6万6,300〜6万7,000ドルでは戻り売りが出やすい構造です。
弱気シナリオ
6万2,000ドルを日足で割り、ETF流出が続く場合は、6万〜6万1,300ドルが次の確認帯になります。
この価格帯でも現物買いが増えず、取引所残高が上昇する場合は、5万8,000〜5万9,000ドルまで調整範囲が広がります。反対に、価格下落時に大口現物CVDが上向けば、下落の途中で買い手が変化した可能性を確認できます。
ETHは1,850ドルが短期サポートです。1,940〜2,000ドルを回復すれば2,100〜2,200ドル、1,850ドルを割れば1,770ドル前後への再調整を想定します。
Take-home message
BTCは6万4,000ドル台を維持していますが、長期保有の増加に対して新しい現物需要はまだ十分ではありません。
ETHはETFフローとETH/BTCで相対的な改善が見られますが、BTCドミナンス約60%が示す通り、資金移動はまだ広いアルトコイン市場へ波及した段階ではありません。
BTCは6万7,000ドル突破で強気側、6万2,000ドル割れで弱気側へ比重を変え、価格とETF・現物需要が同じ方向を向くかを確認していきます。
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