BTCは6.4万ドル台、ETHは相対優位へ|ETF・OI・原油から読む7月26日の暗号資産市場
BTCは6万4,000ドル台を維持し、ETHはBTCを上回る上昇率を記録しました。
一見すると、米国とイランの攻撃停止を受けたリスク回避の後退に見えます。しかし、Fear & Greed Indexは26にとどまり、BTC現物ETFは直近2日間で4億6,520万ドルの流出、ステーブルコイン供給も週間で0.08%しか増えていません。
一方、価格上昇に対してOpen Interestは減少し、Funding Rateも過熱していません。今回の反発はレバレッジの積み上がりが主因とは考えにくいものの、新しい現物資金が広く流入した証拠もまだ不足しています。
この記事では、週末反発の中身、原油・FRB・日銀がBTCへ与える影響、ETHとトークン化資産の動き、今後1週間から1か月の価格シナリオを整理します。
主要指標
※価格・デリバティブは7月26日23時44分JST時点。ETFフローは米国市場の最新取引日である7月24日分です。
| 指標 | 現在の状況 | 見方 |
|---|---|---|
| BTC価格 | 64,620ドル、24時間で+0.76% | 6.4万ドル台を維持。ただし50日線は未回復 |
| ETH価格 | 1,894ドル、24時間で+1.53% | BTCを0.77ポイント上回る |
| Fear & Greed Index | 26「Fear」 | 前日27から1ポイント低下 |
| BTC ETFフロー | 7月24日-2.401億ドル、週計+3,390万ドル | 週前半の流入を後半の流出が相殺 |
| ETH ETFフロー | 7月24日-7,070万ドル、週計+1.038億ドル | 単日は流出でも週計はBTCを上回る |
| Funding Rate | BTC・ETHとも主要市場の多くで小幅プラス | ロング優位だが、広範な過熱は見られない |
| Open Interest | BTC 484.3億ドル、ETH 268.6億ドル | 同日13時12分比でBTC約-0.97%、ETH約-0.62% |
| 24時間清算 | BTC 673万ドル、ETH 1,175万ドル | ETHのポジション調整が相対的に大きい |
| ステーブルコイン供給 | 3,103.98億ドル、週間+0.08% | 待機資金の拡大は限定的 |
| Spot CVD・Coinbase Premium・取引所残高 | 7月26日の更新値を再検証できず | 前回値を流用せず、今回の判定から除外 |
価格、OI、清算額はCoinGlass、Funding RateはCoinalyze、市場心理はAlternative.me、ETFフローはFarside Investors、ステーブルコイン供給はDefiLlamaを参照しています。
週末反発の中身を数値で確認する
ETHがBTCを上回る反発
BTCは6万4,620ドル、ETHは1,894ドルまで上昇しました。上昇率はBTCの0.76%に対してETHが1.53%となり、ETHの強さが目立ちます。
BTCは20日移動平均線の6万3,315ドルを上回っていますが、5日線の6万5,347ドルと50日線の6万5,982ドルには届いていません。14日RSIも48.78と中立圏です。
つまり、6万4,000ドル台の回復は短期的な改善ですが、6万5,300〜6万6,000ドルを越えるまではレンジ内の反発として扱うのが自然です。
OIは増えず、Fundingも小幅プラス
BTCのOIは同日13時12分から約0.97%、ETHは約0.62%減少しました。価格が上昇する一方で、未決済ポジションは増えていません。
Funding Rateは主要なステーブルコイン建て市場で、BTCが概ね+0.001〜+0.010%、ETHが-0.0001〜+0.010%の範囲です。ロング寄りではありますが、上昇を追うレバレッジが全面的に膨らんだ状態ではありません。
この組み合わせは、少なくとも新規ロングの積み上がりだけで価格が押し上げられた形ではないことを示します。ただし、最新のSpot CVDやCoinbase Premiumを確認できていないため、現物買い主導とまでは断定できません。
新規資金の確認(月曜以降)
BTC ETFは7月23日と24日の2日間で合計4億6,520万ドル流出しました。週計では3,390万ドルのプラスを維持しましたが、週後半に機関投資家の需要が弱まったことは無視できません。
ETH ETFは24日に7,070万ドル流出したものの、週計では1億380万ドルの流入です。価格だけでなくETFフローでもETHの相対優位が残っています。
一方、ステーブルコイン供給は週間で2億4,166万ドル、率にして0.08%の増加にとどまりました。待機資金は減っていませんが、市場全体を押し上げるほど増えているわけでもありません。
原油・FRB・日銀が次の値動きを左右する
攻撃停止を最初に織り込んだ暗号資産市場
米国とイランは週末に互いへの攻撃を停止しました。株式と原油市場が閉まっていたため、このニュースを最初に価格へ反映したのが暗号資産市場です。
BTCは6万4,000ドル台を保ちましたが、今回の停止は正式な停戦ではありません。米国による港湾封鎖も継続しています。
ブレント原油は木曜日に100.69ドルまで上昇した後、金曜日には約96.7ドルへ下落しました。米国とイランの攻撃停止を受け、月曜日に原油がさらに下がれば、インフレ懸念とリスク資産への圧力は和らぎます。
ただし、ホルムズ海峡の本格再開は2027年にずれ込む可能性があり、約1,500万バレル/日の輸出停止も続いています。原油が再び100ドルを超える場合、週末のBTC上昇は巻き戻される可能性があります。
FRBは金利より声明と会見が重要
市場は次回FOMCでの据え置きを中心に予想していますが、利上げ確率は一時38%まで上昇し、その後も34.2%が残りました。
今回の会合では新しい経済見通しが発表されないため、声明と記者会見の内容が重要になります。原油高によるインフレ再加速を強調すれば、米金利上昇を通じてBTCの上値を抑えます。
反対に、原油上昇を一時的と評価し、追加利上げへの慎重姿勢が示されれば、6万6,000ドル方向を試す余地が生まれます。
日銀は円とキャリートレードを確認
日銀も政策金利を1%で据え置く見通しです。ただし、ドル円は163円台まで上昇し、約40年ぶりの円安水準となっています。
日銀や政府が円安是正へ強い姿勢を示すと、円で資金を調達して海外のリスク資産を買うキャリートレードが巻き戻される可能性があります。
据え置きそのものより、為替介入や今後の利上げにどこまで踏み込むかがBTCへの実質的なリスクです。
ETHとトークン化資産に資金が向かう理由
ETHはセンチメントと資金フローが逆方向
ETHに対する肯定・否定コメント比率は1.089まで低下し、1か月で3回目の強い弱気水準となりました。過去2回は、その後に14%と7%の反発が起きています。
弱気センチメントだけで反発を予想することはできません。しかし今回は、週次ETF流入が1億380万ドル、ETH価格が20日線と50日線を上回り、14日RSIも53.44まで改善しています。
ETHの実現価格は2,304ドルとされ、現在値は約17%下です。割安という評価だけで2,304ドルへ戻るわけではありませんが、1,934〜1,960ドルを越えれば、2,000ドル台を試す根拠は強まります。
トークン化資産は価格ではなく発行量が増加
CryptoRankの集計では、トークン化資産は1年間で267%増加しました。
トークン化された金の保有量は52万4,000オンスから100万オンス超へ倍増し、トークン化株式とETFは分野全体の23%まで拡大しています。
重要なのは、成長の中心がトークン価格の上昇ではなく、新規発行だったことです。既存の株式や金をブロックチェーン上で扱う需要が、実際の供給増加として現れています。
利用実態には投機需要も混在
Robinhood Chainは、週間アプリ手数料が2,500万ドルとなり、ETHの4,500万ドル、Solanaの3,900万ドルに次ぐ3位となりました。
一方で、RWAの日次取引額6,110万ドルのうち、ミームコインとトークン化株式のペアが4,610万ドル、約75%を占めています。RWA総額は2,540万ドルまで増えていますが、現在の手数料成長をRWA需要だけで説明することはできません。
同時にDangoは運営終了を決め、BitMartの事業終了報道ではBMXが46%急落しました。発行や取引量が伸びる領域と、事業継続が難しくなる領域が、同じ市場内で並行しています。
昨日までとの差分と価格シナリオ
昨日までとの違い
昨日まで確認されていたETH ETFへの相対的な資金流入は、今日はETHの価格上昇率がBTCを上回る形で継続しました。新しいテーマが生まれたというより、資金フローの差が価格にも表れ始めた段階です。
今日新しく加わったのは、米国とイランの攻撃停止を暗号資産だけが先に織り込んだことです。この解釈が正しかったかは、月曜日の原油・株式・米金利の反応で確認できます。
また、トークン化資産については「RWAが成長している」という話から、金のオンチェーン供給量や株式トークンの発行増加が成長源だったという具体的な理解へ一歩進みました。
BTCの1週間〜1か月予想
| シナリオ | 条件 | 想定レンジ |
|---|---|---|
| 強気 | 66,600〜67,500ドルを日足で突破し、ETF・現物需要が回復 | 68,000〜70,000ドル。70,000ドル定着なら1か月で72,000〜75,000ドル |
| メイン | 63,200ドルを維持する一方、ETF流入は限定的 | 62,400〜67,500ドル |
| 弱気 | 63,200ドルを割り、原油上昇や金融引き締め懸念が再燃 | 62,400ドル、次に61,100ドル。さらに割れば58,000〜60,000ドル |
現在のBTCは20日線より上、50日線より下にあり、RSIも中立圏です。そのため、現時点ではメインシナリオのレンジ継続が最も自然です。
ETHの確認水準
ETHは1,934〜1,960ドルを越えると、100日線が位置する2,022ドル、さらに2,100ドル方向が見えてきます。
下は1,834ドルが最初の支えです。ここを割る場合は1,808ドル、次に1,770ドル付近まで調整余地が広がります。
ETFフローと短期構造ではBTCより強いものの、BTCが6万3,200ドルを明確に割る局面では、ETHも単独では支えにくくなります。
Take-home message
- 週末の反発はOIの増加を伴っておらず、レバレッジの過熱は限定的ですが、新規現物資金の流入もまだ確認できていません。
- ETHは価格、ETFフロー、短期テクニカルでBTCを上回っていますが、1,934〜1,960ドルの突破が次の確認点です。
- BTCは6万3,200ドルを支えに6万6,600〜6万7,500ドルを試せるか、月曜日の原油とFRB・日銀の発信が方向を決めます。
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