7月28日の暗号資産市場では、BTCが一時62,742ドルまで下落した後、63,000ドル台後半へ戻しました。世界的な債券利回りの上昇やアジア株の急落、米連邦準備制度理事会(FRB)の金利決定を控えた警戒が重なり、リスク資産全体にポジションを落とす動きが広がっています。

最初は、株式市場から暗号資産へ売りが波及したように見えます。しかし数字を並べると、BTCとETHのOpen Interestは減少し、Funding Rateも低水準にとどまっています。新しいショートが積み上がったというより、イベント前に既存のレバレッジが整理された面が強そうです。

一方、現物CVDやETFフローからは、BTCの現物需要がまだ十分に戻っていないことも確認できます。ETHには中期的な資金流入が残っていますが、短期の売り圧力と2,000ドルの上値抵抗には注意が必要です。

この記事では、価格下落の中身を現物とレバレッジに分け、BTCが現在の支持帯を維持できる条件を整理します。

主要指標

※価格・デリバティブは7月29日0時48〜57分ごろ(JST)、ETFは米国市場で確定している7月27日分です。

指標現在の数値見方
BTC価格約63,850ドル62,742ドルから反発。重要な支持帯を試しています
ETH価格約1,916ドルBTCより相対的に底堅い一方、2,000ドルが上値抵抗です
Fear & Greed Index29「Fear」前日の30から1ポイント低下しました
Funding RateBTC +0.0066%、ETH +0.0021%/8時間プラスですが、ロングの過熱感は限定的です
Open InterestBTC 476.1億ドル、ETH 271.2億ドル前回比でBTC約−1.7%、ETH約−4.6%です
24時間清算BTC 1.53億ドル、ETH 9,934万ドルBTCは前回観測の約2.9倍に増えました
24時間現物CVDBTC −1,101万ドル、ETH −3,016万ドルBinance現物では両方とも成行売り超過です
米国ETFフローBTC −1,160万ドル、ETH +1,170万ドル7月27日の最新確定値です
ETF直近5営業日BTC −2.05億ドル、ETH +7,750万ドルBTCとETHで資金方向が分かれています
ステーブルコイン供給3,099.14億ドル1日+0.01%、30日−0.80%です
Coinbase Premium−0.0884%数値を確認できた7月24日時点の値で、今回の現在値ではありません
BTC取引所準備高270.68万BTCCryptoQuant表示では−0.18%。変化期間は特定できないため方向のみ参考にします

高金利への警戒が、BTCを支持帯まで押し戻した

利上げ確率は1週間で上昇

世界の国債指数の平均利回りは3.68%に達し、2008年以来の高水準となりました。ドイツや日本を含む複数の国で長期金利が上昇しており、暗号資産だけでなく、株式や債券を含む幅広い市場で資金調達環境が厳しくなっています。

さらに、FRBが0.25ポイント利上げする確率は37.9%となり、1週間前の25.7%から上昇しました。予測市場では27〜28%程度にとどまっているため、利上げが市場の総意になったわけではありません。それでも、据え置きを前提にしていた市場が、利上げの可能性を無視できなくなったことは価格に影響します。

金利が高いほど、安全性の高い債券から得られる利回りが上がります。その結果、BTCを含む値動きの大きい資産へ資金を振り向ける条件は厳しくなります。

KOSPIが8.1%下落し、SKハイニックスやサムスン電子などのAI半導体株が急落したことも、今回の動きが暗号資産固有の売りではないことを示しています。

清算は増えましたが、OIは縮小

BTCの24時間清算額は約1.53億ドルまで増えました。一方、Open Interestは前回観測から約1.7%減少し、Funding Rateは+0.0066%/8時間にとどまっています。

価格下落と同時にOIが減ったため、今回の下落は新しいショートポジションが急増したというより、既存のポジションが閉じられた動きとして読む方が自然です。

レバレッジが軽くなったことは、その後の値動きを安定させる要素になり得ます。ただし、清算が増えたことだけで反発を予想することはできません。次に必要になるのは、現物市場からの買いです。

フローを追うと、BTCとETHの差が浮かぶ

BTCは現物需要の回復待ち

BTCの24時間現物CVDは約−1,101万ドル、30日では約−4.97億ドルでした。直近5営業日の米国現物ETFも約−2.05億ドルです。

短期と中期の両方で現物売りが買いを上回っているため、現在の反発を現物主導とは評価しにくい状況です。7月24日時点でCoinbase Premiumが−0.0884%だったことも、米国市場の買い需要が弱かったことを補足しています。ただし、現在値を確認できていないため、最新のETFフローを優先して判断します。

ステーブルコイン供給は1日ではほぼ横ばいですが、30日では0.80%減少しています。待機資金が急減しているわけではないものの、市場全体を押し上げるほど新しい流動性が増えている状態でもありません。

BTCが64,500ドルを回復しても、現物CVDとETFがマイナスのままであれば、66,500ドル前後では売りが出やすくなります。

ETHには中期の買いが残る

ETHは24時間現物CVDが約−3,016万ドルとなり、短期ではBTC以上の成行売りが出ています。一方、30日現物CVDは約+5,154万ドル、直近5営業日のETFフローは約+7,750万ドルでした。

短期では売られているものの、中期の現物需要まで崩れたわけではない可能性があります。

ETHのクジラアドレスも約4,750から4,850へ増え、ETFは3週連続で流入しました。ただし、アクティブアドレスは約40万で、2月の約80万を大きく下回っています。保有需要は改善していますが、ネットワーク利用の拡大による裏付けはまだ弱い状態です。

ETH/BTCは0.030まで上昇し、3カ月ぶりの高値圏にあります。バリデータの退出キューがゼロとなり、約250万ETHがステーキング待ちとなっている点も供給面ではプラスです。

一方、BitMartからのETH出金急増は、取引所のサービス終了に伴う資産移動です。通常のクジラ買いや長期保有目的の出金とは分けて考える必要があります。

CircleとIBMのステーブルコイン関連特許、Robinhood Chainのトークン化株式、中国のデジタル人民元を使った決済基盤など、金融インフラに関する材料も複数ありました。これらは利用経路を広げる可能性がありますが、今日のBTC価格には債券利回りやFed観測の方が直接的に作用しています。

昨日から変化したポイント

昨日のBTCは約65,200ドルでしたが、今回は62,742ドルまで下落し、200週線とボリンジャー下限に近い水準を試しました。価格がレンジ内で推移していた段階から、実際に支持帯の強さを確認する段階へ進んでいます。

BTCのOIは484.2億ドルから476.1億ドルへ減少し、清算額は5,287万ドルから1.53億ドルへ増加しました。昨日までよりも、レバレッジ整理が数字に表れています。

ETHではOIが284.4億ドルから271.2億ドルへ約4.6%減少しました。それでもETFの直近5営業日はプラスで、30日現物CVDも買い超過です。BTCとETHの違いが、価格だけでなく資金フローにも表れ始めました。

BTC価格は62,500〜63,500ドルの維持が分岐点

BTCの50日移動平均線は約63,340ドル、200週移動平均線は約63,550ドル、ボリンジャーバンド下限は約62,535ドルです。複数の支持候補が現在価格の近くに集まっています。

上値では20日線の約64,450ドルが最初の壁です。その上にはボリンジャーバンド上限と直近高値が重なる66,400〜67,000ドルがあります。

シナリオ条件想定レンジ
強気64,450ドルを回復し、66,500ドルを終値で突破。ETFと現物CVDもプラスへ転換1週間で66,500〜69,500ドル、1カ月で69,500〜72,500ドル
メイン62,500〜63,500ドルを維持。Fed通過後も現物買いは限定的1週間で62,500〜66,500ドル、1カ月で62,000〜69,500ドル
弱気日足で62,500ドルを割り、週足でも200週線を回復できない60,000〜61,300ドル、その下は57,800ドル前後

現時点では、62,500〜63,500ドルを維持しながら66,500ドルを試すメインシナリオが考えやすそうです。OIの減少と低いFundingは反発余地を残しますが、69,500ドル以上へ進むにはETFと現物CVDの改善が必要です。

ETHは1,950〜2,000ドルを終値で突破できれば、2,050〜2,130ドルが次の候補になります。1,848ドルを割れた場合は1,800ドル、その下は1,754ドルが支持候補です。記事で示された2,438ドルは、2,000ドルへの定着と現物需要の継続を確認した後の拡張シナリオとして扱うのが自然でしょう。

Take-home message

BTCは62,500〜63,500ドルに複数の支持材料が集まり、レバレッジ整理後の下げ止まりを確認している段階です。
現物CVD、BTC ETF、ステーブルコイン供給を見る限り、反発を支える新しい現物資金はまだ十分ではありません。
66,500ドル突破なら69,500ドル方向、62,500ドル割れなら60,000ドル方向を条件付きで想定し、ETHは2,000ドルを定着できるかを確認したいところです。

この記事が参考になった方は、Xでも最新の市場メモを更新しています。
暗号資産・AI・米国株を、資金フローと需給の視点から読みたい方はぜひフォローしてください。