BTCは64,000ドルを回復、FOMC後に問われる反発の中身――ETH ETFとRWAへ向かう資金
BTCは64,000ドル前後まで戻しました。ただしOpen Interest(OI)は減少し、Funding Rateも低い水準です。今回の上昇には、新規のレバレッジロングより、ショートカバーや既存ポジションの整理が含まれていると考えられます。
一方、BTC現物ETFは流出、ETH現物ETFは流入となりました。モルガン・スタンレーはETH・SOL現物ETFを投入し、RWAトークンは7月のテーマ別リターンで首位となっています。資金はBTC、ETH、RWA、トークン化商品を選びながら動いています。
7月29日の記事を主材料に、反発の中身、ETHへの相対的な資金流入、トークン化市場の成長とリスクを整理し、FOMC後のBTCを3つのシナリオで確認します。
※市場データは2026年7月29日、ETFは集計が完了している7月28日の米国市場分です。
主要指標
| 指標 | 現在の数値 | 見方 |
|---|---|---|
| BTC価格 | 約63,989ドル | 20日移動平均の64,006ドル付近。64,000ドルを挟んだ攻防です |
| ETH価格 | 約1,897ドル | 1,900ドル前後。BTCよりETFフローは良好です |
| Fear & Greed Index | 29(Fear) | 昨日も29。価格ほど心理は改善していません |
| BTC現物ETF | −4,970万ドル | 7月28日確定分。2営業日合計では−6,130万ドルです |
| ETH現物ETF | +940万ドル | 2営業日合計で+2,110万ドル。小規模ながら流入が続いています |
| BTC Funding | +0.0043〜+0.0100% | 8時間換算。ロング優位ですが過熱水準ではありません |
| ETH Funding | −0.0024〜+0.0100% | 取引所によって方向が分かれています |
| BTC OI | 210億ドル、24時間−1.16% | 価格上昇と同時にレバレッジが減少しました |
| ETH OI | 115億ドル、24時間−0.96% | ETHも新規ロングの急増は確認できません |
| 24時間清算 | 市場全体で約6.04億ドル | BTC・ETHではショート清算がロングを上回りました |
| ステーブルコイン供給 | 3,084.84億ドル | 1日−0.47%、7日−15.04億ドル。待機資金は短期的に減少しています |
| 取引所BTC残高 | 約270.5万BTC | 7月28日時点。集計対象により水準差があるため、変化率と併せて見ます |
Fear & Greed Indexは29で前日から変わらず、センチメントはFearに残っています。価格の反発だけで市場心理が強気へ転じたわけではありません。
64,000ドル回復の内側で、ポジション整理が進む
FOMCは「据え置きなら安心」とは限らない
7月29日のFOMCを前に、CME FedWatchでは据え置き68.5%、25bp利上げ31.5%と、市場の見方が大きく分かれました。
FOMCを扱った記事では、据え置きならドルロングの巻き戻しがリスク資産を支える可能性が示されています。ただし据え置きはすでに本命です。会見で9月利上げが意識されれば、声明後の上昇が押し戻される可能性があります。
BTCの14日RSIは48.33、ADXは16.75です。20日移動平均は64,006ドル、50日移動平均は65,207ドルで、現在値は短期と中期の境目です。テクニカル指標も、イベント後の終値を待つ形を示しています。
上昇した価格と、減少したOI
BTCは上昇しましたが、OIは24時間で1.16%減少しました。Fundingも主要取引所で8時間あたり0.01%以下です。さらにBTCの清算はショート1,680万ドル、ロング890万ドルとなり、ショート側が約1.9倍でした。
この組み合わせは、ショートカバーとポジション整理を伴う反発を示しています。ロングが混雑していない点は、その後の清算リスクを抑える材料です。
ただし、現物CVDの同時刻値は確認できず、Coinbase Premiumも明確に回復していません。現物主導と判断するには、ETFフローと米国時間の買い越しを確認する必要があります。
BTCからETHへ、ETFフローに小さな温度差
BTCは流出、ETHは流入
Farsideの集計では、7月28日のBTC現物ETFは4,970万ドルの純流出でした。前日の1,160万ドルと合わせると、2営業日で6,130万ドルが流出しています。
一方、ETH現物ETFは940万ドルの純流入で、2営業日合計は2,110万ドルです。規模は大きくありませんが、BTCとETHで資金の向きが分かれました。
ETHのOIは0.96%減少し、Fundingも取引所ごとに方向が分かれています。ETHロングの急拡大ではなく、ETFを通じた相対需要が少し優位になった段階です。
モルガン・スタンレーの参入は「入口」を増やす
モルガン・スタンレーはETHとSOLの現物ETFを手数料0.14%で投入しました。約1万6,000人のアドバイザーが担当する9兆3,000億ドル規模の顧客資産に接点を持ちます。
上場だけで大規模流入が決まるわけではありません。価格へ効くのは、数週間後に純資産がどこまで積み上がるかです。
Strategyは5週連続で追加購入を見送り、37億5,000万ドルの現金準備を優先しました。Strategyの記事からは、売却必要性が低下する一方、定期的な大口買いも止まったことが分かります。
トークン化市場は、規模と運用品質を同時に問われる
RWAは7月の首位、ただし利用量には差
RWAトークンの7月中央値リターンは+10.7%となり、オンチェーン時価総額は322億ドルへ拡大しました。月初比では12.3%増え、過去最高を更新しています。
ただし、910のトークン化資産、合計329億ドル相当で1週間の移転がありませんでした。時価総額の増加と実際の利用は同じではなく、RWAの上昇も限られた銘柄が中心です。
ロビンフッドは開始4週間で保有者の44%を獲得し、バイナンスのbStocksは開始15日で運用資産1億ドルを突破しました。トークン化は実験から流通競争へ移りつつあります。
SKハイニックス清算が示した価格参照の弱点
市場が広がるほど、価格をどこから取得し、異常値をどう処理するかが重要になります。
Hyperliquid上のSKハイニックス無期限契約では、流動性の薄い韓国市場の異常値をオラクルが参照し、契約価格が17.9%下落しました。960口座、約5,740万ドルのロングが清算されています。
制限幅は異常値の影響を抑えましたが、クロスマージンによって他のポジションの担保も影響を受けました。取引時間が広がる一方、価格参照、運営者の責任、証拠金設計が新しいリスクになります。
昨日から変化したポイント
- FOMCは「利上げの可能性がある」という一般論から、据え置き68.5%、利上げ31.5%という具体的なイベントリスクへ進みました。
- ETHはクジラや期待の話から、BTC ETF流出・ETH ETF流入という実際の資金差と、モルガン・スタンレーの商品投入へ進みました。
- トークン化は商品の拡大だけでなく、SKハイニックス契約の清算を通じて、オラクルと証拠金設計の問題が表面化しました。
- Strategyの購入停止は5週連続となり、BTCを増やす局面から現金準備を優先する局面へ移っています。
今日の記事では、期待や構想だったテーマが、ETFフロー、商品残高、清算額、企業の現金準備という測定可能な数字へ置き換わりました。
BTC価格予想:FOMC後は65,200ドルと62,500ドルを確認
| シナリオ | 条件 | 1週間 | 1カ月 |
| 強気 | 65,200ドルを回復し、66,100ドルを日足終値で突破。ETF流入と現物買いを伴う | 66,500〜68,000ドル | 68,000〜72,000ドル |
| メイン | FOMC据え置きでも会見はややタカ派。ETFは流出入が混在 | 62,500〜66,000ドル | 61,000〜68,000ドル |
| 弱気 | 利上げ、または追加利上げを強く示唆。62,500ドルを日足終値で割る | 60,000〜62,500ドル | 58,000〜61,000ドル |
強気シナリオの条件は、50日移動平均の65,207ドルを回復し、66,100ドルを終値で越えることです。ETF流入、Coinbase Premiumの中立圏復帰、現物CVDの買い越しが重なれば、68,000〜70,000ドルへ進む可能性があります。
メインシナリオは62,500〜66,000ドルです。据え置きは織り込まれており、会見がタカ派なら上昇を維持できない可能性があります。ステーブルコイン供給も7日で15.04億ドル減少しています。
弱気シナリオでは、62,500ドルを日足終値で割ると60,000〜61,000ドルが次の確認帯です。ETF流出と現物売りが重なれば、58,000ドル前後、さらに下振れすれば55,000〜57,000ドルが候補になります。
ETHは1,930ドルを突破できれば2,000〜2,080ドル、1,850ドルを割れば1,780〜1,820ドルが次の価格帯です。BTCがレンジを維持し、ETH ETFの流入が続く場合には、ETHの相対優位が残る可能性があります。
Take-home message
① BTCの64,000ドル回復はOI減少とショート清算を伴っており、レバレッジ過熱の小さい反発ですが、現物需要の継続はまだ確認が必要です。
② BTC ETFが流出する一方でETH ETFは流入し、RWAとトークン化商品にも資金が向かっていますが、残高の増加と実際の利用を分けて考える必要があります。
③ FOMC後は65,200〜66,100ドルの上抜け、または62,500ドルの下抜けを日足終値とETFフローで確認すると、次の方向を判断しやすくなります。
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