BTCはFOMC後に64,000ドル台を回復 出来高と現物フローが示す次の条件
7月30日の暗号資産市場では、BTCがFOMC後に63,000ドル台から64,000ドル台後半へ戻しました。イベントを通過して売りを吸収した点には底堅さがありますが、現物出来高やETF、ステーブルコインまで確認すると、本格的な上昇を支える資金が十分に戻ったとは言いにくい状況です。
今日の結論は、BTCが過度なレバレッジに依存せず反発している一方、現物買いの裏付けはまだ弱く、当面は63,000ドルを下値、65,000〜66,500ドルを上値として意識しやすい、というものです。
この記事では、FOMC後の反応、暗号資産関連企業の決算、ETF・Funding・Open Interestから見た反発の質を整理し、1週間から1カ月の価格シナリオへつなげます。
※数値は7月30日22時45分頃(JST)までに確認できたデータです。米国ETFフローは、集計が完了した7月29日分を使用しています。
| 指標 | 現在の状況 | 見方 |
|---|---|---|
| BTC価格 | 約64,850ドル | FOMC後に63,000ドル台から反発 |
| ETH価格 | 約1,923ドル | BTCとともに戻すも、ETFフローは弱い |
| Fear & Greed Index | 28(Fear) | 前日29から小幅低下。反発しても慎重姿勢が残る |
| BTC現物ETF | 7月29日:+3,210万ドル | 純流入だが、IBIT流入をFBTC・ARKBの流出が一部相殺 |
| ETH現物ETF | 7月29日:-3,290万ドル | 前日までのBTCとの優位差は一服 |
| BTC Funding Rate | 主要取引所平均 約+0.0017% | 低いプラス圏で、ロング過熱は見えにくい |
| BTC Open Interest | 約75万BTC、約490億ドル | コイン建てでは6月初旬以降おおむね横ばい |
| 24時間清算額 | 市場全体 約6.04億ドル | FOMCを挟んで両方向のポジションが整理された |
| BTC清算 | 約6,611万ドル | ロング3,397万ドル、ショート3,214万ドルとほぼ均衡 |
| Spot CVD/Net Taker | 売り優勢/-3.43 | 成行の現物買いはまだ弱い |
| Coinbase Premium | マイナス圏 | 米国現物需要の改善は未確認。厳密値ではなく方向のみ採用 |
| ステーブルコイン供給 | 約3,081.99億ドル | 7日間で0.89%減、30日間で1.03%減 |
| BTC取引所残高 | 約270.49万BTC | ほぼ横ばいからわずかに減少 |
価格とテクニカルはInvesting.com、センチメントはAlternative.me、Funding・OI・清算はCoinGlass、ETFはFarside Investors、ステーブルコイン供給はDeFiLlamaを参照しています。
金利据え置き後も、長期金利の負担は残った
BTCは発表直後の売りを吸収
FRBは政策金利を3.50〜3.75%に据え置きましたが、決定は9対3で、3人が0.25ポイントの利上げを主張しました。BTCは発表後、およそ63,700ドルから64,700ドル近くまで上昇しています。
一見すると、不確実性の後退でリスク資産に資金が戻ったように見えます。ただ、FOMC後の市場反応を見ると声明は大きく変わらず、委員会内のインフレ警戒は強まっています。金融緩和への転換というより、直前までの利上げ警戒がいったん後退した反応と捉える方が自然です。
政策金利より先に、債券市場が警戒を示した
米10年債利回りは約4.67%、30年債利回りは約5.21%まで上昇し、後者は2007年以来の高水準に達しました。長期金利上昇を扱った記事が示す通り、政策金利が動かなくても借入コストは上がっています。
インフレ不安はBTCや金を支えることがありますが、高い国債利回りはドル資産の魅力を高めます。原油高が再燃し、インフレ懸念と長期金利が同時に上がる場合、65,000ドルより上では買いが続きにくくなる可能性があります。
暗号資産への入口と、実際の取引活動には距離がある
ロビンフッドの決算が示した利用者行動
ロビンフッドの第2四半期決算では、暗号資産収益が1億ドルとなり、市場予想の8,660万ドルを上回りました。一方、前年同期比では38%減少し、アプリ内の暗号資産取引高も35%減の180億ドルでした。
最初は「予想を上回った好決算」と読めます。しかし、イベント契約の収益は1億5,600万ドルと前年の10倍以上に増え、暗号資産部門の売上比率は8%未満まで低下しました。利用者が金融市場から離れたというより、取引先を変えている様子です。
ロビンフッド・チェーンや株式トークンの開発は進んでいますが、サービス拡張と現物売買の増加は同じ意味ではありません。シュワブの関連株ETFもBTCを直接保有する商品ではないため、入口の増加とBTC現物需要は分けて考える必要があります。
小さな数字から見える実需と需給
TRONでは、新規アカウント数が1日で23万862件増え、ネットワーク上のUSDT供給も900億ドルを超えています。TRONの新規アカウント増加は、送金やステーブルコイン利用が伸びている場所もあることを示しています。
対照的に、XRPの反発にはショートカバー、SOLには72〜73ドルのダブルトップ分岐、HYPEには米国ファンドから2,700万ドル流出という個別条件があります。新規買い、売り手の買い戻し、ネットワーク利用を分けることで、上昇が続きやすいかを判断しやすくなります。
BTC反発の質をフローから確かめる
レバレッジの過熱は見られない
BTCのFunding Rateは平均+0.0017%程度で、ロングが高いコストを払っている状態ではありません。Open Interestも約75万BTCで大きく増えておらず、今回の反発は先物ロングだけで作られたものではなさそうです。
市場全体の24時間清算額は約6.04億ドルでした。BTCではロング3,397万ドル、ショート3,214万ドルとほぼ均衡し、FOMC前後の上下動で両側が整理されています。FundingやOIも急増していないため、ロング過熱による崩れへの警戒は限定的です。
現物市場は、まだ上昇を主導していない
一方、Spot CVDは売り優勢で、Net Taker Positionも-3.43まで低下しています。Coinbase Premiumもマイナス方向にあり、米国の現物投資家が積極的に成行買いへ動いたとは判断しにくい状況です。
BTC現物ETFは7月29日に3,210万ドルの純流入でしたが、IBITへの流入をFBTCとARKBの流出が削っています。ステーブルコイン供給は7日間で0.89%減り、BTC取引所残高も約270.49万BTCでほぼ横ばいです。大規模な売却準備も供給不足も、まだ表れていません。
7月のBTCは9.3%上昇した一方、1日平均の現物取引高は約22億ドルと、2023年11月以来の低水準になる見通しです。価格は回復しても、市場参加はまだ追いついていません。
今回の反発はレバレッジだけに依存していませんが、現物資金が主導する上昇とも言い切れません。イベント通過で売りが減ったことと、新しい買いが増えたことは分けて考える必要があります。
昨日から変化したポイント
FOMC前の予想から、実際の市場反応を確認できる段階へ移りました。 BTCは利上げ見送りを受けて反発しましたが、長期金利はむしろ上昇しており、安心材料だけが残ったわけではありません。
ETFの優位関係は小幅に入れ替わりました。 昨日まで目立っていたBTC流出・ETH流入に対し、直近の完了セッションではBTCが+3,210万ドル、ETHが-3,290万ドルとなりました。ただし、規模が小さいため継続確認が必要です。
金融商品やインフラの拡張に加えて、実際の利用量が確認できました。 ロビンフッドでは暗号資産収益と取引高が前年を下回り、TRONではアカウントとUSDT利用が拡大しています。同じ「暗号資産の利用拡大」でも、売買需要と送金需要では価格への伝わり方が異なります。
BTC価格予想 63,000ドルと66,500ドルが分岐点
BTCは短期移動平均線が集まる64,100〜64,600ドルを上回っています。RSIはデータ元や時間軸によって51〜62程度で、中立からやや強気です。一方、ストキャスティクス系の指標は買われ過ぎ圏にあり、65,000〜66,500ドルでは短期的な利益確定も出やすいと考えられます。
14日ATRは約2,000ドルです。そのため、重要水準への一時的な到達だけではシナリオを変更せず、日足終値と現物フローを合わせて確認する方がよさそうです。
| シナリオ | 1週間の想定レンジ | 1カ月の想定レンジ | 条件 |
| 強気 | 68,000〜72,000ドル | 72,000〜76,000ドル | 66,500ドルを日足で突破し、68,000ドルを維持。Spot CVD・Coinbase Premium・ETFフローも改善 |
| メイン | 62,500〜68,000ドル | 60,000〜70,000ドル | 63,000ドルを支えながら、65,000〜66,500ドルで売買が交錯 |
| 弱気 | 60,000〜62,500ドル | 57,500〜60,000ドル | 63,000ドルを割り、62,000ドル以下で日足が確定。ETF流出や長期金利上昇も継続 |
現時点では、メインシナリオを優先します。63,000ドルを維持できれば、65,000〜66,500ドルを再び試す余地があります。ただし、現物出来高が細いため、最初の上値試しでは押し戻される可能性も残ります。
強気シナリオへ進むには、66,500ドルの突破後に68,000ドルを支えへ変える必要があります。その際、FundingとOIだけが急増するのではなく、ETFへの連続流入やSpot CVDのプラス転換が伴えば、72,000ドル以降の上昇を考えやすくなります。
反対に、63,000ドルを割り、62,000ドル以下で日足が確定した場合は、60,000〜61,000ドルが次の支持候補です。長期金利の上昇、株式市場の下落、ETF流出、取引所へのBTC流入が重なれば、1カ月では57,500〜60,000ドルまで調整幅が広がる可能性があります。
Take-home message
- BTCはFOMC後の売りを吸収しましたが、長期金利と現物出来高を踏まえると、反発の持続性はまだ確認途中です。
- FundingとOIは過熱していない一方、Spot CVD、Coinbase Premium、ETF、ステーブルコイン供給には強い現物買いの裏付けが表れていません。
- 63,000ドルの維持、66,500ドルの日足突破、68,000ドルへの定着という順番で確認すると、次の価格シナリオを整理しやすくなります。
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