米国のBTC現物ETFには2億3,310万ドルが流入しましたが、BTCは7月31日23時16分頃に約62,700ドルまで下落しました。

ETFだけを見れば、機関投資家の需要が戻ったように感じます。しかし直近5営業日の合計はまだマイナスで、Coinbase Premiumも低迷しています。さらに、ステーブルコイン供給は縮小し、現物より先物の取引が大きい状態です。

一方、価格下落と同時にOpen Interestも減少しました。今回の下落は、新しいショートが一方向に積み上がったというより、既存ロングの手仕舞いや清算を伴うデレバレッジとして読む余地があります。

この記事では、ETF流入がありながらBTCが下落した理由、反発を現物主導と判断するための条件、そして1週間から1か月の価格シナリオを整理します。

7月31日の主要指標

観測時刻は原則として7月31日23時前後(JST)です。ETFフローは米国市場で確定している7月30日分を使用しています。

指標数値・状況現時点での見方
BTC価格約62,681ドル、24時間−3.26%63,800〜64,000ドルの短期支持帯を下回りました
ETH価格約1,868ドル、24時間−3.31%BTCよりやや下落率が大きく、アルト側の弱さが残っています
Fear & Greed Index25・Extreme Fear前日の28から悪化しました
BTC現物ETF+2億3,310万ドル2営業日連続の流入ですが、直近5営業日は−3,620万ドルです
ETH現物ETF+1,280万ドルプラスへ戻りましたが、直近5営業日は−6,970万ドルです
BTC Open Interest約471.9億ドルCoinalyze対象市場では24時間−1.83%でした
ETH Open Interest約262.6億ドルCoinalyze対象市場では24時間−3.89%でした
Funding RateBTC・ETHともに概ね−0.003〜+0.010%/8時間取引所ごとに方向が分かれ、過度なロング偏重は見られません
24時間清算BTC約6,780万ドル、ETH約3,770万ドルポジション整理は進んでいますが、全面的な投げ売りとは異なる規模です
Coinbase Premiumマイナス圏米国の取引所現物需要はまだ弱い状態です
現物CVD比較可能な最新終値を確認できず推定で補わず、ETF・Premium・出来高で現物需要を確認します
ステーブルコイン供給約3,074.9億ドル7日−0.69%、30日−1.03%と縮小しています
BTC取引所ネットフロー3日間で約+2,900 BTC短期的な売却余力として意識される数字です

価格・OI・清算はCoinGlassのBTCデータおよびETHデータ、センチメントはAlternative.me、ステーブルコイン供給はDefiLlamaを参照しています。

Open Interestの金額はCoinGlass、24時間変化率はCoinalyzeの対象市場を使用しているため、集計範囲は一致しません。変化率はポジション方向を確認する補助データとして扱っています。

ETFの2.33億ドル流入は、どこまで信じられるか

1日では改善、5営業日では回復途中

7月30日の米国BTC現物ETFには、合計2億3,310万ドルが流入しました。IBITが1億8,340万ドル、FBTCが1,550万ドル、BITBが2,070万ドルの流入です。

前日の3,210万ドルに続くプラスであり、機関投資家の需要が改善したこと自体は確認できます。ただし、7月24日から30日までの5営業日を合計すると、まだ約3,620万ドルの流出超過です。

ETH ETFも7月30日は1,280万ドルの流入へ戻りましたが、同じ5営業日では約6,970万ドルの流出超過でした。FarsideのBTC ETFフローETH ETFフローを見る限り、最新日の買いだけで流れが完全に変わったとは判断しにくいところです。

ETFとCoinbaseの温度差

ETFには資金が入った一方、Coinbase Premiumはマイナス圏にあります。ETF経由の買いが存在しても、Coinbaseを利用する米国投資家全体の現物需要まで強くなったわけではない可能性があります。

また、ステーブルコイン供給は1日で0.25%、7日で0.69%、30日で1.03%減少しました。暗号資産へ振り向けられる待機資金が増えていないため、BTCからETH、さらに小型アルトへ買いが広がるには、まだ流動性が不足しています。

6.3万ドル割れの中で、レバレッジは増えていない

価格下落とOI減少が同時に進む

BTCは約62,700ドルまで下落しましたが、OIも約471.9億ドルへ減少しました。Coinalyzeの対象市場では24時間で1.83%減り、ETHは3.89%減少しています。

価格が下がりながらOIが増える場合、新しいショートが積み上がっている可能性を考えます。今回は価格とOIが同時に低下したため、ロングの手仕舞い、清算、両方向のポジション縮小が中心だったと考える方が自然です。

Funding Rateも取引所によってプラスとマイナスが混在しています。ロングが極端に混み合った状態ではなく、下落後のレバレッジ整理が段階的に進んでいるように見えます。

売買の重心はまだ先物側

CoinGlassの観測範囲では、BTCの24時間出来高は現物約35.5億ドルに対し、先物約535億ドルでした。ETHも現物約13億ドルに対し、先物は約313億ドルです。

集計対象が異なるため市場全体の厳密な比率ではありませんが、売買の重心がデリバティブ側にあることは読み取れます。

今後の反発で価格とOIが同時に急増すれば、レバレッジによる戻りになる可能性があります。反対に、OIを増やさず価格が戻り、Coinbase Premiumや現物CVDが改善すれば、反発の信頼度は高まりそうです。

金利と収益性が、暗号資産の期待値を測り直す

長期金利はBTCの上値を重くする

30年物米国債利回りは5.20%、10年債利回りは4.67%まで上昇しました。30年債は2007年7月以来の高水準です。

さらにFOMCでは3人が0.25ポイントの利上げを主張し、WTI原油は84.46ドルまで6.6%上昇しました。長期金利と原油の記事を合わせると、インフレが再加速する可能性と、高金利が長引くリスクの両方が残っています。

利回りを生まないBTCにとって、安全資産の米国債で5%前後の利回りを得られる環境は無視できません。ETF流入が下値を支えても、65,000ドルより上を継続的に買うには、金利面の負担を上回る現物需要が必要になります。

「期待」から「収益」へ視線が移る

MicrosoftやAmazonの決算では、AIへの期待が続く一方、実際の利益を支えたのはAzureやAWSといったクラウド事業でした。投資家は将来性を否定しているのではなく、現在どこで収益が生まれているかを以前より細かく確認しています。

この構図は暗号資産にも重なります。

Strategyは第2四半期に82.2億ドルの純損失を計上し、BTC Yieldの4.5%は、新たに示した10.8%のハードルを下回りました。Strategyの決算は同社がBTCを手放す話ではありませんが、BTCを保有するだけで資本コストを上回れるのかが問われ始めています。

Coinbaseも3億5,950万ドルの純損失を計上し、売上高は市場予想を下回りました。その一方、収益の88%はBTC現物取引以外から生まれ、Base上のステーブルコイン取引量は前年比7倍に増えています。

AIではクラウド、暗号資産ではステーブルコインや決済、カストディなど、すでに利用と収益がある領域が相場の次の土台になる可能性があります。

オンチェーンは底値圏、ただし完成前

オンチェーンでは、長期保有者がマイナーの新規発行を上回るBTCを吸収しています。長期保有者市場インフレ率は約−0.02で、価格温度も過去の底値圏で見られたゼロ付近です。

一方、短期保有者と長期保有者のコスト基準比率は、大底の目安となる1まで低下していません。オンチェーン分析からは、割安感は強まっているものの、保有者のコスト調整は完了していないと読めます。

3万5,000ドルは1週間から1か月の基本シナリオには入れません。ただし、58,300ドルを下回り、さらに53,000ドルも維持できなければ、4万ドル台の長期シナリオを再検討する必要が出てきます。

昨日から変化したポイント

昨日までは、FOMC後もBTCが64,000ドル付近を維持し、出来高不足の中で相場が耐えている状態でした。

今日変わったのは、63,800〜64,000ドルの短期支持帯を実際に下回ったことです。警戒材料だった薄商いと金利上昇が、価格の下落として表れました。

ただし、OIも同時に減少しています。昨日まで意識されていた「レバレッジが残ったままの下落」から、今日は一部のポジションが整理された状態へ進みました。

ETFも前日の小幅流入から2億3,310万ドルへ増えています。価格は弱くなりましたが、下値で受け止める資金は前日より厚くなりました。このため、現時点では上昇再開よりも、ETF需要とマクロ負担がぶつかるレンジを中心に考えます。

BTC価格予想――1週間から1か月

メインシナリオ:61,300〜65,200ドル

60,000ドルを日足で維持し、ETF流入が途切れなければ、61,300〜65,200ドルを中心とした持ち合いが想定されます。

まずは62,500ドル前後を維持し、64,000ドルを取り戻せるかが焦点です。65,200ドル付近では、長期金利、Coinbase Premiumの弱さ、ステーブルコイン供給の縮小が戻り売りの理由になりそうです。

強気シナリオ:68,000〜72,200ドル

65,200ドルを日足終値で回復し、ETF流入が複数営業日続くことが最初の条件です。

Coinbase Premiumのプラス転換とステーブルコイン供給の下げ止まりも重なれば、68,000ドル、その先は短期保有者のコスト基準に近い72,200ドルが視野に入ります。

ただし、価格より先にOIが急増する場合は、レバレッジ主導の上抜けとして慎重に確認したいところです。

弱気シナリオ:58,300ドル、さらに53,000〜56,000ドル

61,300ドルを日足で下回ると、60,000ドル、次に58,300ドルを試す可能性が高まります。

ETFが再び流出へ転じ、長期金利の上昇とステーブルコイン供給の減少が続けば、58,300ドルの支持も弱くなります。その場合は56,000ドルから53,000ドルが次の価格帯です。

ETH/BTCは0.02963まで改善しましたが、0.030を維持できず、BTCも支持線を割る場合、小型アルトはBTCやETH以上に下落しやすくなります。アルトの反発には、BTCのレンジ安定とETH/BTCの0.030回復を同時に確認したいところです。

Take-home message

  • BTC ETFへの2億3,310万ドル流入は下値を支える材料ですが、5営業日の累計、Coinbase Premium、ステーブルコイン供給を見ると、現物主導の反転はまだ確認できません。
  • 価格とOIが同時に低下したため、今回の6.3万ドル割れには新規ショートだけでなく、既存ポジションを整理するデレバレッジの要素が含まれています。
  • 1週間から1か月は61,300〜65,200ドルを中心に考え、65,200ドル回復なら68,000〜72,200ドル、61,300ドル割れなら58,300ドルを次の確認地点とします。

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