BTCは63,000ドル台を守れるか 大口保有・ETF流出・円介入から読む8月相場
8月1日の暗号資産市場では、BTCが約63,100ドル、ETHが約1,870ドルで推移しました。Fear & Greed Indexも25から27へ戻り、急落後の緊張はわずかに和らいでいます。
下値では、大口アドレスの保有増加や取引所残高の減少がBTCを支えています。一方、米国のBTC現物ETFは流入から流出へ反転し、Coinbase Premiumもマイナス圏です。価格は戻っていますが、米国の現物買いが反発を主導しているとは言いにくい状態です。
さらに、米国による1998年以来の円買い介入が、新しい変数として加わりました。現時点では大規模な清算に発展していませんが、円キャリートレードの巻き戻しが強まれば、暗号資産にも影響が広がる可能性があります。
1週間〜1か月のBTCは、61,800〜65,600ドルを中心とするレンジを想定します。63,600ドルを回復し、65,600ドルを日足で越えられるかが、次の方向を判断する分岐になりそうです。
主要指標
※数値は2026年8月2日0時11分頃(日本時間)を基準としています。
| 指標 | 現在の状況 | 見方 |
|---|---|---|
| BTC価格 | 約63,085ドル、24時間で約0.8%上昇 | 62,400ドルから反発したものの、50日線を下回っています |
| ETH価格 | 約1,873ドル、24時間で約0.81%上昇 | BTCと同程度の反発にとどまっています |
| Fear & Greed Index | 27「Fear」 | 前日の25から小幅改善しました |
| BTC現物ETF | 7月31日は2億6,540万ドル流出 | 前日の2億3,310万ドル流入から反転しました |
| ETH現物ETF | 7月31日は900万ドル流入 | BTCより相対的に安定しています |
| Funding Rate | BTC・ETHとも取引所ごとに方向が分散 | ロングへの極端な偏りは見られません |
| Open Interest | BTC約479.7億ドル、ETH約265億ドル | 価格反発とともに小幅増加しています |
| 24時間清算額 | BTC約499万ドル、ETH約408万ドル | 大規模な清算連鎖は起きていません |
| Coinbase Premium | 約マイナス0.096% | 米国の現物需要は弱い状態です |
| 現物CVD | 小口は買い、大口は横ばいから小幅売り | 反発を支える大口現物買いが不足しています |
| ステーブルコイン供給 | 約3,076億ドル、7日間で0.92%減少 | 待機資金はまだ拡大していません |
| 主要取引所BTC残高 | 約247.9万BTC、30日間で約5,200BTC減少 | 取引所で売却可能なBTCは減っています |
価格と出来高はCoinGecko、市場心理はAlternative.me、ETFフローはFarside Investorsを参照しています。
63,000ドル台への反発は、何によって支えられているのか
RSIは低下、ただし反転確認には届かず
BTCは約63,100ドルまで戻し、5日移動平均線の62,994ドルをわずかに上回りました。一方、50日移動平均線は約63,580ドルに位置しており、価格はまだその下にあります。
14日RSIは36.96まで低下しました。短期的な売り圧力はかなり進んでいますが、一般的な売られすぎの目安である30には届いていません。
一見すると、RSI低下とFear & Greed Indexの改善は反発の入口に見えます。ただ、63,600ドルを回復できなければ、現在の値動きは下落途中の買い戻しとして扱われやすいでしょう。
最初に確認したいのは63,600ドル、続いて64,600〜65,600ドルです。とくに65,600ドルは直近7日間の高値と重なるため、ここを日足で越えられるかが重要になります。
先物は動いているが、過熱はしていない
BTCの先物出来高は約316億ドルで、現物出来高の約14倍です。ETHも先物が現物の約20倍に達しています。
先物の比重は高いものの、Funding Rateは取引所ごとにプラスとマイナスが混在しています。Open InterestもBTCで約1.1%、ETHで約0.7%の増加にとどまりました。
したがって、今回の反発は過剰に積み上がったショートの清算だけで起きたものではなさそうです。その反面、現物の強い買いが市場全体を押し上げている状態でもありません。
価格は戻せても、上昇を継続させる燃料がまだ十分ではない。現在の63,000ドル台は、そのような位置に見えます。
大口はBTCを増やす一方、ETFは一日で向きを変えた
供給面では下値が少しずつ固くなる
大口アドレスの動向を扱った記事では、1,000〜10万BTCを保有する二つのグループの供給比率が、合計で約0.20ポイント増加しました。
供給比率から換算すると、約4万1,000BTCに相当します。ただし、これは特定の一日に4万1,000BTCが購入されたことを直接示す数字ではなく、対象アドレス群の保有比率の変化から算出した推計です。
主要取引所のBTC残高も、30日間で約5,200BTC減少しています。大口保有の増加と取引所残高の減少が同時に続くなら、62,000ドル前後では売却可能な現物が徐々に少なくなる可能性があります。
これはBTCの下値を支える材料ですが、それだけで上昇相場が始まるわけではありません。価格を上へ運ぶには、売り物の減少に加えて、新しい買い手が必要です。
ETFの記事と最新フローには一日の差がある
ブラックロックの顧客動向を見ると、7月29日と30日の2日間で約2億7,320万ドル相当のBTCが購入されました。7月30日のETF市場全体も2億3,310万ドルの流入となり、その約79%をIBITが占めています。
最初は、クジラの保有増加にETF資金も続いたように見えます。
しかし、最新の7月31日はBTC現物ETF全体で2億6,540万ドルの流出でした。前日から約4億9,850万ドル分、資金の方向が変わった計算になります。
Coinbase Premiumも約マイナス0.096%で、大口の現物CVDは横ばいから小幅な売り方向です。クジラの保有増加は確認できても、米国の現物需要が連続して強まったとは判断しにくいでしょう。
米国のBTC現物ETF投資家の平均取得価格は、記事によると約82,249ドルです。現在価格では平均的な投資家が20%を超える含み損を抱えているため、価格が戻る過程では解約や戻り売りが出る可能性も考えておく必要があります。
円介入とTetherは、BTCへ違う時間軸で影響する
円高が進むとキャリートレードが揺れる
米国は1998年以来となる円買いを実施しました。日本側が先にドル売り・円買いを行い、その翌日にニューヨーク連銀が米財務省のために円を購入したと報じられています。
ドル円は一時163.99円まで上昇した後、157.40円まで円高方向へ動きました。同じ日に米国株が上昇する一方、BTCは63,000ドル付近まで下落しており、暗号資産の反応が先行した形です。
円を低い金利で調達し、ドル建てのリスク資産を買う取引では、急激な円高が起きると返済負担が増えます。その結果、株式や暗号資産を売って円を買い戻す動きが発生する可能性があります。
ただし、BTCの24時間清算額は約499万ドル、ETHも約408万ドルにとどまっています。現時点では、大規模なキャリートレード解消が暗号資産市場を直撃したとは言えません。
今後はドル円の160円前後が一つの目安になりそうです。再び160円を明確に上回って介入観測が強まる場合も、追加介入によって急速な円高が進む場合も、BTCの短期変動率が高まる可能性があります。
Tetherの信用力と市場の待機資金は分けて考える
Tetherは第2四半期に約15億ドルの営業利益を計上しました。
総資産は1,877.5億ドル、負債は1,836.4億ドルで、超過準備は41.1億ドルです。担保付き貸付も前四半期比で15%減少し、金の保有量は14トン増えました。
USDTの裏付け資産に対する安心感は高まりやすい内容です。一方、ステーブルコイン市場全体の供給は7日間で約0.92%減少しています。
Tetherの財務が安定していることは、ステーブルコインに対する信用不安を抑えます。ただし、それだけでBTCを購入する待機資金が増えるわけではありません。短期価格に必要なのは、準備資産の強さに加えて、ステーブルコイン供給そのものが再び増加することです。
XRPでは利用者とトークン保有者の関係が変わる
アルトコインでは、XRP LedgerのSponsored Fees and Reservesが興味深い動きです。
銀行やプラットフォームが利用者に代わって手数料と口座準備金を負担できるため、利用者は最初にXRPを購入しなくてもXRPLを使えるようになります。導入時の負担を軽くできる点は、ネットワーク利用の拡大につながる可能性があります。
一方、XRPの保有が不要になるわけではなく、保有主体が多数の利用者からスポンサーへ移ります。ネットワークが使いやすくなることと、XRP価格への需要が増えることは同じではありません。
今後はアップグレードの承認だけでなく、スポンサーとなる金融機関やプラットフォームが実際に増えるかを確認する必要があります。
昨日から変化したポイントとBTC価格シナリオ
昨日までと比較した際に大きいのは、ETF資金の方向と円相場です。
7月30日までは、クジラの保有増加にIBITの流入が重なる形でした。しかし、31日はETF全体が流出へ転じ、米国の現物買いが続いていないことが分かりました。
また、円相場は警戒材料の段階から、日米による実際の円買いへ進みました。まだ大規模清算にはつながっていませんが、BTCの値動きを考えるうえで、ドル円とキャリートレードを無視しにくくなっています。
その一方で、Fear & Greed Indexは25から27へ改善し、Funding Rateにもロングの過熱はありません。市場が崩れ続けているというより、62,000ドル台の買いと65,000ドル前後の売りが向き合っている状態と考えられます。
1週間〜1か月の価格シナリオ
| シナリオ | 条件 | 想定価格帯 | 目安 |
|---|---|---|---|
| メイン | 62,400ドル付近を維持するものの、現物需要の回復は限定的 | 61,800〜65,600ドル | 50% |
| 強気 | 63,600ドルを回復し、65,600ドルを日足で上抜ける | 66,500〜68,500ドル | 20% |
| 弱気 | 62,400ドルを日足で割り、ETF流出や円相場の変動が続く | 60,000〜61,000ドル | 30% |
メインシナリオでは、61,800〜65,600ドルの往来を想定します。RSI低下と取引所残高の減少が下値を支える一方、ETF流出とマイナスのCoinbase Premiumが上値を抑える形です。
強気側へ移るには、63,600ドルの回復後、65,600ドルを日足で越える必要があります。ETF流入が再開し、Coinbase Premiumがゼロ付近まで改善すれば、66,500〜68,500ドルまでの反発が考えられます。
弱気側では、62,400ドルの日足割れが最初の警戒点です。ETF流出と急速な円高が重なれば60,000〜61,000ドル、60,000ドルも維持できなければ58,300〜59,500ドルまで下値余地が広がります。
ETH現物ETFは、BTC ETFが流出した日にも約900万ドルの流入を維持しました。BTCが62,400ドルを守る間は、一部のアルトコインが個別材料で反発する可能性があります。ただし、ステーブルコイン供給が減少しているため、広い範囲へ資金が波及するには追加の流動性が必要でしょう。
Take-home message
- BTCは62,000ドル台で大口保有と取引所残高の減少に支えられていますが、米国の現物需要はまだ戻っていません。
- 63,600ドルの回復と65,600ドルの日足上抜けに、ETF流入とCoinbase Premiumの改善が伴えば、反発の中身を現物主導へ読み替えられます。
- 62,400ドルを割る場合は、ETF流出に加えて円キャリートレードの巻き戻しが重ならないかを確認する必要があります。
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