9月2日の日本株は、日経平均が前日比1,889.70円安の64,325.64円と大幅に下落しました。安値は64,215.47円まであり、東証プライムでは値下がり銘柄が1,436、値上がりは100銘柄。売買代金も8兆344億円まで膨らみました。

ただ、今日の相場で重要なのは「日経平均が1,889円下がった」という数字だけではありません。

ドル円は一時160円台まで円安が進んだにもかかわらず輸出株を含めて買いが広がらず、33業種がすべて下落しました。昨日まで見られた「AI・半導体から別業種へ資金を移す」という動きも弱まり、日本株の中で資金を移す相場から、日本株そのもののリスク量を落とす相場へ変わった可能性があります。

さらに大引け後も、原油と世界的な金利上昇という今日の主因は消えていません。一方、日経225先物の夜間取引は64,420円と小幅高で始まっており、少なくとも夕方時点では売りがさらに加速しているわけでもありません。

明日は「何円戻るか」以上に、買いがどこまで広がるかを見る必要があります。

今日の1,889円安は「半導体安」だけではなかった

日経平均は寄り付きから1,019円安。その後も下値を切り下げ、後場終盤にも売り直され、安値圏で引けました。

指数寄与ではソフトバンクグループとアドバンテストの2銘柄だけで日経平均を約474円押し下げています。

これだけなら「AI・半導体の調整が日経平均を大きく見せた」と説明できます。

しかし今日は、それでは足りません。

東証プライムでは値下がり銘柄が全体の9割を超え、33業種がすべて下落しました。売買代金も8兆円を超えています。

つまり、値がさ株だけが売られたのではなく、かなり広い範囲でポジションを落とす動きが起きたということです。

昨日までの日本株では、半導体やAI関連が売られても、銀行、資源、内需などへ資金が移る場面がありました。

今日はその「逃げ道」がほとんどありませんでした。

ここが、今回の下落を考えるうえで一番重要な変化です。

円安なのに株安――今回は「円」より金利と原油が強かった

もう一つ気になるのが為替です。

ドル円は午前に160.32円まで上昇しました。通常なら円安は輸出企業の業績面で追い風と受け取られやすく、日本株をある程度支えても不思議ではありません。

それでも今日は株が売られました。

理由は、今回の円安が単純な「日本企業にとって好ましい円安」ではないからでしょう。

日本の10年国債利回りは3%台へ上昇し、9月2日には3.015%まで水準を切り上げました。前日には3%へ到達し、約30年ぶりの水準となっています。

さらに日銀の高田創審議委員は2日、金融政策について機動的な利上げの必要性を主張しました。市場では9月18日の会合を含め、日銀の追加利上げへの警戒が強まっています。

そこへ原油高が重なりました。

米国とイランの軍事的緊張を背景に原油価格は上昇し、Brentは一時1バレル94ドル台。米10年債利回りも4.81%台まで上昇しています。

原油高は企業コストとインフレを押し上げ、インフレは金利低下を難しくします。

つまり今日は、

原油高 → インフレ懸念 → 金利上昇 → 株式のバリュエーション低下

という経路が強く意識された一日でした。

160円台の円安というプラス材料より、金利と原油というマイナス材料の方が強かったわけです。

大引け後も原油が焦点。ただし「全面売り」の加速はまだ見えない

大引け後に改めて確認したいのは、今日の下落要因が解消されたかどうかです。

現時点では、完全には解消されていません。

WTIは一時92ドル台まで上昇しており、中東情勢を背景としたエネルギー価格への警戒は続いています。

一方で、少し興味深い材料もあります。

米エネルギー長官によると、ホルムズ海峡を通過した原油は9月1日に1,700万バレルとなり、イラン戦争による減少後では最大になりました。

つまり市場が警戒しているのは、現時点で「原油供給が完全に止まった」という事実ではありません。

今後、供給障害が起こるかもしれないというリスクプレミアムです。

ここは明日以降かなり重要です。

原油価格が落ち着けば、今日売られた銘柄には自律反発の余地が出ます。逆に原油がさらに上昇すれば、インフレ→金利高という経路を通じて、日本株への圧力が長引く可能性があります。

大引け後の日経225先物も、夜間取引を日中清算値比70円高の64,420円で開始しました。

1,889円安のあととしては反発幅は非常に小さく、強い押し目買いが戻ったとは言えません。

ただし、さらに売り込まれているわけでもない。

現時点では、「全面安の第二波」よりも、海外市場と原油・金利を見ながら次の方向を探している状態と考えるのが自然です。

なお、暗号資産も株式ほど大きく崩れておらず、世界中のリスク資産が無差別に投げ売りされている局面とは少し違います。今日の日本株には、グローバルなリスクオフに加えて、日本の金利上昇と国内ポジション調整が上乗せされたと見る余地があります。

明日は「日経平均が500円戻った」で安心しない

1,889円下落した翌日なら、自律反発が起こっても不思議ではありません。

ただ、明日は日経平均の上昇幅だけで判断しない方がよさそうです。

最初に確認したいのはTOPIXと値上がり銘柄数です。

日経平均が500円上昇しても、アドバンテストやソフトバンクグループなど一部の値がさ株だけが戻り、値下がり銘柄が多いままなら、今日起きた「日本株全体のリスクを落とす動き」が終わったとは判断できません。

逆に、

日経平均が反発する
→ TOPIXも反発する
→ 値上がり銘柄数が明確に増える

という順番になれば、押し目買いが市場全体へ戻ってきた可能性が高まります。

もう一つはセクターです。

原油高を背景に、食品などディフェンシブ株への関心が高まる可能性が指摘されています。

明日、半導体だけが反発するのか。

それとも内需、金融、景気敏感株まで戻るのか。

ここでも「どの銘柄が上がったか」より、買いがどこまで広がったかを見る方が重要です。

そして外部環境では、原油、米長期金利、日本の長期金利を引き続き確認します。

今夜から明日にかけては米ADP雇用統計やベージュブック、その後はISM非製造業景況指数が予定され、日本では30年国債入札も控えています。

今日の日本株は「安くなったから買う」という判断より、金利と原油が落ち着き、実際に買い手が戻ってきたことを確認する局面に入ったと考えています。

翌営業日の確認ポイント

明日はまず、日経平均とTOPIXが同時に反発するかを確認します。次に、東証プライムの値上がり銘柄数が大きく回復するか。そして半導体だけではなく、複数業種へ買いが広がるかを見ます。

外部環境ではWTI・Brent原油、米10年債、日本10年債を優先します。

日経平均だけが大きく戻っても、市場の中身が改善していなければ「押し目買い復活」とはまだ言えません。

反対に、指数の戻りが小さくても値上がり銘柄が増え、TOPIXが底堅くなれば、今日とは明らかに違う資金の動きです。

Take-home message

  1. 9月2日の1,889円安は半導体だけの下落ではなく、33業種全面安となった「日本株全体のリスク圧縮」だった可能性があります。
  2. 円安でも日本株が買われなかった背景には、原油高→インフレ→金利上昇という経路と、日本の長期金利3%台という新しい環境があります。
  3. 明日は日経平均の反発幅より、TOPIX・値上がり銘柄数・セクターの広がりを確認することが重要です。

参考:9月2日の東京市場・大引け|みんかぶ大引け後の9月3日相場の注目点|みんかぶ

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