今日の結論は、資金流入そのものは途切れていない一方、市場がその先の「持続性」を見始めたということです。

BTC・ETH現物ETFには6営業日連続で資金が入り、BTCは一時8万1,000ドル台へ上昇しました。しかし、その後は8万ドルを割り込みました。AI分野でも半導体、企業向けエージェント、自動運転へ資金が向かっていますが、投資額だけでなく、利益率や量産、実際の売上への転換が問われています。

CapitalではBrent原油が90ドルを下回りました。ただし、ホルムズ海峡の通航は改善しておらず、ECBの利上げ観測も浮上しています。原油安だけを見て、金融環境が全面的に改善したと判断できる段階ではありません。

主要指標

指標最新確認値確認時点・注意点
BTC78,136ドル8月26日06:12 JST前後
BTC日中高値81,104ドル同時点
BTC日中安値77,972ドル同時点
ETH1,624.95ドル同時点
Crypto Fear & Greed74(Greed)前日は73
BTC現物ETF+3.376億ドル8月24日分
ETH現物ETF+1.156億ドル8月24日分
BTC・ETH ETF合計+4.532億ドル両ETFとも6営業日連続の純流入
Brent原油88.58ドル8月25日終値、前日比-3.9%
WTI原油82.36ドル8月25日終値、前日比-3.1%

価格は作成直前の市場データで確認しました。BitcoinEthereum

Fear & Greedは74まで上昇し、前日の73に続いて「Greed」の領域です。Alternative.me

8月25日分のETFは、作成時点で全商品が未反映でした。表面上の「0.0」は資金流入がなかったという意味ではなく、未確定として扱います。Farside Investors:BTCETH

Funding、Open Interest、24時間清算、Coinbase Premium、現物CVD、ステーブルコイン供給、BTC取引所残高は、信頼できる同時点データを取得できなかったため掲載していません。

BTCはETF流入を伴って8万ドルを突破、それでも定着できず

6営業日連続の現物資金流入

8月24日の米国現物ETFは、BTCが3億3,760万ドル、ETHが1億1,560万ドルの純流入となりました。合計は4億5,320万ドルです。

8月17日から24日までの6営業日は、BTC・ETHともに毎日純流入でした。直近の上昇が先物のレバレッジだけで形成されたわけではなく、現物ETFを通じた需要が下値を支えていることは確認できます。

一方、BTCは一時8万1,104ドルまで上昇した後、7万8,136ドルへ戻りました。前日に確認された高値8万1,237.94ドルにも届かず、8万~8万1,200ドル付近には相応の売り圧力があると考えられます。

現物資金が入っていても、短期間に価格が上がれば利益確定は増えます。ETF流入が続くことと、一時的な価格調整は矛盾しません。

Fear & Greedは74へ上昇

Fear & Greedは74まで上がりました。極端な過熱を示す「Extreme Greed」には達していませんが、前週の41からは大きく改善しています。

今後の焦点は、8月25日分のETFフローです。BTCが8万ドルを回復しても、ETF流入が減速し、FundingやOpen Interestだけが増えるなら、上昇の質は弱くなります。

反対に、ETF流入を維持しながらデリバティブ指標が過度に膨らまなければ、8万ドル突破を現物主導の動きとして評価しやすくなります。

AI投資は続くが、評価軸は資金量から実績へ

Nvidia決算の市場ハードルが具体化

Nvidia決算を前に、市場が求める数字が明確になりました。

LSEG集計による市場予想は、四半期売上高921.8億ドル、次の四半期の売上ガイダンス1,042億ドル、調整後粗利益率は約75%です。これらは会社発表ではなく、決算前の市場コンセンサスです。Reuters

決算では売上高だけでなく、データセンター部門、粗利益率、Vera Rubinの出荷時期、顧客向け金融支援の拡大を確認する必要があります。

AIサーバー価格の上昇が報じられるなか、売上が伸びても粗利益率が低下すれば、製品移行や部材コストへの警戒が残ります。反対に、売上とガイダンスが市場予想を上回り、粗利益率約75%を維持できれば、HBM、データセンター、電力設備まで需要継続を確認しやすくなります。

資金はAI半導体と自動運転へ

中国のAI半導体企業Enflameは、上海STAR市場で60億元、約8億9,200万ドルを調達するIPOを進めています。新株4,304万株を発行し、第5・第6世代AIチップなどへ資金を投じる計画です。Reuters

自動運転トラック企業Gatikも、シリーズDで2億ドルを調達しました。同社の公表値では、契約収入は6億ドル超、完全無人運行による注文は8万5,000件です。2026年末までに無人トラック100台超を目指します。GatikReuters

前日までに確認したAlibabaやXpengへの資金流入に続き、AI資金はクラウド、半導体、ロボティクス、物流へ広がっています。

ただし、Unitree株は上場後のピークから約45%下落しました。SK Hynixでは労組が賃金案を僅差で否決しています。資金流入が続く一方、評価の高さ、利益、量産、労務といった企業固有の条件による選別も始まっています。

AIとブロックチェーンが金融の「実行」へ進む

日本は株式・国債の即時決済を検討

日本では、株式と国債の資金決済をブロックチェーンによって即時化する構想が検討されていると報じられました。

Reutersが日本経済新聞を引用して伝えた内容では、金融庁、財務省、日銀、金融機関が研究会を設置し、早ければ2027年初めに開発計画をまとめます。現行の決済期間は株式がT+2、国債がT+1です。Reuters

実現すれば、決済まで拘束される資金や担保を減らし、事務コストと決済リスクを抑えられる可能性があります。トークン化証券、カストディ、RWA関連の金融インフラには中長期の需要材料です。

ただし、現時点では報道段階です。関係当局による計画固有の正式発表、採用するDLT、現金側の決済手段、必要な法改正は確認できていません。短期的な暗号資産価格の上昇材料とは分けて見る必要があります。

生成AIは情報提供から取引執行へ

ドイツのScalable Capitalは、ChatGPTやClaudeを通じてポートフォリオを分析し、証券取引を行えるサービスを開始しました。同社は100万人超の顧客と600億ユーロ超の顧客資産を持ちます。Reuters

GoogleもGemini Enterpriseを法律・金融業務へ広げています。Reuters

日本のDLT決済は中長期の構想、AI経由の取引はすでに始まったサービスという違いがあります。それでも共通しているのは、AIとブロックチェーンが「情報を提供する技術」から、注文、業務、決済を実行する基盤へ移っていることです。

今後は利便性だけでなく、本人確認、注文承認、監査ログ、誤発注時の責任、決済の確実性が評価軸になります。

Brentは90ドル割れ、それでも供給不安は解消していない

Brent原油は3.9%安の88.58ドル、WTIは3.1%安の82.36ドルで引けました。監視していたBrent90ドルを終値で下回りました。Reuters

原油安が続けば、インフレ期待と長期金利を通じて、AI株や暗号資産には前向きな材料となります。

ただし、8月24日にホルムズ海峡を通過した商品タンカーは2隻にとどまり、5月初旬以来の少なさでした。オマーン沖ではタンカーが飛翔体を受けて航行不能となっています。攻撃主体は確認されていません。

つまり、先物価格は下がっていても、実際の物流が正常化したわけではありません。通航障害が長引けば、原油価格よりも石油製品価格、精製マージン、海運・保険コストに供給不安が残る可能性があります。

さらに、ECBが9月会合で預金ファシリティ金利を2.25%から2.50%へ引き上げる用意があると、Reutersが関係者3人を基に報じました。Reuters

これは正式決定ではありません。それでも、原油安による金融環境の改善と、欧州金利の上昇観測が同時に存在しているため、リスク資産には単純な追い風とは言い切れません。

昨日までとの差分

Blockchainでは、BTCが8万ドルを実際に突破し、8月24日のETF流入も最終値で確認できました。一方、価格は8万ドルを再び下回り、現物需要の強さだけでは上値の売り圧力を吸収しきれていません。

AIでは、大型投資の流れが続く一方、Nvidia決算の市場ハードル、Unitreeの評価調整、SK Hynixの労務問題が加わりました。「資金が集まるか」から「利益・量産・供給を実現できるか」へ、評価が一歩進んでいます。

Capitalでは、Brentが94ドル台から88.58ドルまで低下しました。しかし、ホルムズ海峡の通航は悪化しており、先物価格と実物供給が異なる方向に動いています。ECBの利上げ観測も新しい制約です。

BTCの条件付き価格シナリオ

強気シナリオ

BTCが8万ドルを回復し、8万1,104~8万1,238ドルの直近高値帯を上抜いて定着するケースです。

8月25日以降のETFも純流入で確定し、FundingやOpen Interestが急増していなければ、現物需要を伴う上昇の可能性が高まります。原油が90ドル未満を維持し、長期金利が落ち着くことも追い風です。

メインシナリオ

7万7,900~8万1,200ドルを中心に持ち合う展開です。

ETF流入が下値を支える一方、Fear & Greedが74まで上昇しているため、短期の利益確定が上値を抑える可能性があります。Nvidia決算、ETF確定値、原油、欧米金利を確認しながら過熱を消化する形です。

弱気シナリオ

BTCが日中安値7万7,972ドルを明確に割り、ETFフローも流出へ転じるケースです。

原油の反発や金利上昇が重なれば、7万5,000~7万6,000ドル帯を維持できるかが次の確認点になります。現物資金が流入を続ける限り、価格下落だけで中期トレンドの転換とは判断しません。

ETHは現物価格を確認できましたが、FundingやOpen Interestなどが不足しているため、今回は独立した価格シナリオを設定しません。

Take-home message

  • BTC・ETH現物ETFへの資金流入は6営業日続きましたが、BTCは8万ドル上へ定着していません。次は8月25日分のETF確定値とレバレッジ指標の組み合わせが重要です。
  • AI資金は半導体、企業向けエージェント、自動運転へ広がっています。市場の評価軸は投資額から、粗利益率、受注、量産、実際の売上へ移っています。
  • Brentは90ドルを下回りましたが、海上輸送は正常化していません。ECBの利上げ観測も含め、原油価格だけでリスク資産の環境改善を判断しない方がよい局面です。
ABOUT ME
ABC Ledger 編集部
暗号資産・AI・米国株を、資金フローや需給、マクロ環境から分析するABC Ledger編集部です。ETFフロー、Funding Rate、Open Interest、現物CVDなどを組み合わせ、市場の背景を分かりやすく整理しています。

この記事が参考になった方は、Xでも最新の市場メモを更新しています。
暗号資産・AI・米国株を、資金フローと需給の視点から読みたい方はぜひフォローしてください。