原油90ドル台で米金利は4.76%へ、それでもNVIDIAは反発――日本株とBTCに残る選別
今日の結論は、原油高がインフレと金利の重しになり始めた一方、株式や暗号資産から資金が一斉に逃げているわけではない、ということです。
米国とイランの軍事的な応酬を受け、Brent原油は90ドル台へ上昇しました。米10年債利回りも4.764%まで上がり、S&P500とNasdaqは下落しています。ただし、NVIDIAは上昇し、日本株も日経平均が一時1,573円安となった後、終値では93円安まで戻しました。TOPIXは8日続伸し、東証プライムでは値上がり銘柄が値下がり銘柄を上回っています。
つまり、原油高や金利上昇が無視されているのではありません。市場は、コストや金利の上昇を吸収できる企業と、評価の高すぎる銘柄を分け始めています。この記事では、原油高の持続性、日本株の急落後に残った資金、AI・半導体株の選別、BTCとETHの次の条件を整理します。
主要指標
| 指標 | 最新確認値 | 確認時点・注意点 |
|---|---|---|
| BTC | 78,854.59ドル | 9月1日06:09 JST前後 |
| BTC 24時間高値/安値 | 79,229.68/77,161.61ドル | 同時点 |
| ETH | 2,469.77ドル | 同時点 |
| ETH 24時間高値/安値 | 2,488.52/2,394.91ドル | 同時点 |
| ETH/BTC | 0.03134 | 同時点 |
| Crypto Fear & Greed | 62(Greed) | 前日69、前週73 |
| BTC現物ETF | -2.019億ドル | 8月28日分の直近確定値。8月31日分は未反映 |
| ETH現物ETF | +1.021億ドル | 同上。8月31日分は未反映 |
| 日経平均 | 66,311.93円(-0.14%) | 8月31日終値 |
| TOPIX/グロース250 | 4,156.29(+0.23%)/812.04(-1.35%) | 同日終値 |
| S&P500/Nasdaq | 7,674.22(-0.49%)/26,298.72(-0.39%) | 8月31日米国終値 |
| NVIDIA | 220.78ドル(+1.52%) | 同日終値近辺 |
| 米10年債利回り | 4.764% | 同日終値近辺、2025年1月以来の高水準 |
| Brent/WTI | 90.34/85.51ドル | ともに2.54%高 |
| DXY/ドル円 | 99.43/159.71円 | 同日終値近辺 |
暗号資産価格は作成時点のCoinGecko・BitcoinとEthereum、市場心理はAlternative.meで確認しました。
ETFはFarside Investors・BTCとETHを確認しましたが、8月31日分は全商品が未反映です。表示上の「0.0」を流入ゼロとは扱いません。
Funding、Open Interest、24時間清算、Coinbase Premium、現物CVD、取引所残高は、同時点の信頼できる値を取得できなかったため掲載していません。
原油90ドル台は、一時的な材料から金利の問題へ進んだ
米国とイランの直接応酬で供給不安が具体化
米軍は、イラン革命防衛隊がホルムズ海峡への機雷展開を準備していたとして、Larak島のミサイル発射機2基を攻撃しました。イランもヨルダンの米軍基地2カ所へ弾道ミサイルで反撃しています。
大きな被害は報告されていませんが、世界の原油輸送の要衝であるホルムズ海峡の通航リスクが、単なる観測ではなくなりました。Reuters・軍事行動/Reuters・原油市場
Brentは90.34ドル、WTIは85.51ドルへ上昇しました。さらに米戦略石油備蓄は2億8,970万バレルと1982年以来の低水準です。既定の3,900万バレル放出が完了すると約2億4,300万バレルとなり、専門家が示す実務上の安全水準約2億5,000万バレルを下回る見込みです。Reuters・米戦略石油備蓄
このため、追加の供給障害が起きた場合、備蓄放出によって価格を抑える余地は以前より小さくなっています。Brentの90ドル台を、短期的な地政学プレミアムだけで片付けにくくする材料です。
原油高が金利へ波及し始めた
前日の米国プレマーケットでは、原油が上昇しても米2年債利回りは4.36%を下回り、半導体株には買い戻しが入りました。しかし通常取引では米10年債利回りが4.764%へ上昇し、9月利上げの織り込みは64%へ高まりました。
Dowは0.67%安、S&P500は0.49%安、Nasdaqは0.39%安です。Reuters・世界市場
原油高はガソリン、輸送、電力、化学品を通じて物価を押し上げます。高PER株に直接効くのは輸送費だけではなく、「原油高→インフレ期待→金利上昇」という経路です。前日夜にはまだ弱かったこの連鎖が、米国市場の終了時点では一段進みました。
日経平均の急落は、日本株全体からの退避ではなかった
8月31日の日経平均は、朝方に6万4,832円まで下落し、前週末比で一時1,573円安となりました。しかし終値は6万6,311.93円と93.63円安まで戻し、日中安値から約1,480円切り返しています。
前場の1,043.96円安のうち、アドバンテスト、東京エレクトロン、ソフトバンクGの3社で825.65円、約79%を押し下げました。
大引けではアドバンテスト1社の押し下げが381.35円に達し、同社を除く単純計算では日経平均は約288円高です。これは公式指数ではありませんが、売りがどこへ集中したかを示します。
一方、TOPIXは0.23%高で8日続伸。東証プライムでは値上がり881銘柄が値下がり629銘柄を上回り、33業種のうち22業種が上昇しました。キオクシア、東京エレクトロン、フジクラ、ソフトバンクGなども朝の下落から戻しています。Reuters・東京株式市場/みんかぶ・日経平均寄与度
したがって、8月31日は「日本株が売られた日」というより、試験装置や指数寄与度の高いAI株から、メモリー、電線、電力、資源、個別材料株へ資金が組み替えられた日と整理できます。
ただし、グロース250は1.35%安で、銀行が買われても証券は弱く、業種全体への単純なローテーションではありません。選別は業種より銘柄単位へ細かくなっています。
NVIDIAの反発は、原油高が無関係という意味ではない
米国では指数が下落した一方、NVIDIAは1.52%高で終えました。半導体は製品の単価が高く重量が小さいため、航空や物流、自動車、化学と比べると、輸送燃料高が利益率へ与える直接的な影響は小さめです。
ただし、製造工程の電力や化学材料、空輸、データセンター運営費は上昇します。さらに金利が上がれば、将来利益への期待が大きい銘柄ほど現在価値が低下します。
NVIDIAの反発は「原油高を克服した」という結論ではなく、金曜の4.6%安からの買い戻しと、利益の確度が相対的に評価された結果と考えるのが妥当です。
ここからAI株を一括して判断するのは危険です。NVIDIAが上昇してもNasdaqは下落しており、金利上昇への耐性は銘柄ごとに異なります。米10年債が4.80%を超え、Brentが95ドルへ向かう場合は、AI需要が続いていても株価の許容PERが下がる可能性があります。
中国では8月の製造業PMIが49.2から49.8へ改善しましたが、なお50を下回りました。非製造業PMIも49.0です。底割れは避けても内需の弱さは残り、日本の機械、素材、輸送用機器には外需面の上限となります。Reuters・中国PMI
BTCは7.8万ドル台を維持、心理は62へ低下
BTCは7万8,855ドル前後、ETHは2,470ドル前後です。米長期金利が上昇し、株価指数が下落した中でも、作成時点では大幅な連鎖安になっていません。
一方、Fear & Greedは69から62へ低下しました。価格が横ばい圏でも、投資家心理は少し慎重になっています。
直近の確定ETFフローは8月28日のBTC2億190万ドル流出、ETH1億210万ドル流入です。8月31日分は全商品が未反映であり、現時点ではBTC流出が続いたのか、ETH流入が11営業日目へ延びたのかを判断できません。
暗号資産にとっても共通の確認軸は金利です。BTCが7万9,230ドルを上抜いても、米長期金利と原油が同時に上がる場合は、上昇の持続性を慎重に確認する必要があります。
反対に、金利が落ち着き、ETFが純流入へ戻るなら、7万8,000ドル台の底堅さを現物需要が支えたと評価しやすくなります。
昨日までとの差分
- Capital:原油高は地政学リスクの上乗せにとどまらず、米10年債4.764%と9月利上げ確率64%へ波及しました。米戦略石油備蓄の低水準も、価格抑制余地の小ささを示しています。
- 日本株:寄り付きの半導体売りから、日中安値比約1,480円の反発へ進みました。TOPIX、騰落銘柄数、業種数は、日本株全体からの退避ではなかったことを確認しました。
- AI:金曜はNVIDIAを含む半導体株が下落しましたが、月曜はNVIDIAが反発。AI需要の有無ではなく、利益の確度と金利耐性による選別が続いています。
- Blockchain:BTC・ETHは大幅安を回避した一方、Fear & Greedは62へ低下。8月31日のETFフローは未反映で、需給の新しい方向はまだ確定していません。
BTC・ETHの条件付き価格シナリオ
強気シナリオ
BTCが24時間高値7万9,230ドルを上抜き、8万ドルを回復して定着するケースです。
8月31日分のETFも純流入となり、米10年債が4.70%方向へ低下すれば、原油高と金利上昇を現物需要が吸収したと評価しやすくなります。
ETHは2,489ドルと2,500ドルを上抜き、ETF流入が続けば、BTCに対する相対的な強さを確認できます。
メインシナリオ
BTCが7万7,160~8万ドル、ETHが2,395~2,500ドルを中心に持ち合う展開です。
ETF確定値を待ちながら、原油と米金利が上値を抑え、直近の現物需要が下値を支える構図です。
弱気シナリオ
BTCが7万7,160ドルを割り、前週安値圏の7万6,960ドルも下回るケースです。
Brentが95ドルへ上昇し、米10年債が4.80%を超え、ETF流出が続くなら、7万5,000~7万6,000ドル帯を確認します。
ETHは2,395ドル割れとETF流出への転換が重なる場合、前日までの相対的な現物需要が価格を支えられなかったことになります。
Take-home message
- 原油90ドル台はインフレ材料です。米長期金利の上昇と戦略石油備蓄の低水準が重なり、短期的な地政学プレミアムだけでは済まないリスクが増えました。
- 日経平均は一時1,573円安でも、終値は93円安、TOPIXは上昇しました。市場全体の退避ではなく、AI・半導体の中でも利益と評価に応じた資金移動が続いています。
- BTCは7.8万ドル台を維持していますが、Fear & Greedは62へ低下し、8月31日のETFは未反映です。8万ドル、ETFフロー、米10年債4.80%を組み合わせて次の方向を確認します。
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