BTCは執筆時点で約64,900ドルまで戻し、ETHも1,900ドル台を維持しています。今日の結論は「底値圏を示す証拠は増えたものの、反転を確定させる現物需要はまだ揃っていない」です。

45のオンチェーン指標のうち41が割安圏側に入り、クジラの保有量も増加。BTC現物ETFにも3営業日で約6.26億ドルが流入しました。一方、Coinbase Premiumはマイナス圏、現物CVDは中立、ステーブルコイン供給も減少しています。

この記事では、反発を支えている資金と不足している資金を分け、65,700ドルを超える条件と62,000ドルを割れた場合のリスクを整理します。

主要指標

指標現在の状況見方
BTC価格約64,900ドル62,000ドル台から回復。65,700ドルが最初の上値確認点
ETH価格約1,910ドルETH/BTCは約0.0296。BTCより相対的に強い時間帯が継続
Fear & Greed Index25(Extreme Fear)前日の27から低下。価格回復に対して心理は慎重
BTC現物ETF8月5日 +2.444億ドル、3営業日 +約6.26億ドル下値を支える実需。継続性の確認が必要
ETH現物ETF8月5日 +6,080万ドル、2営業日 +約1.139億ドルETHの相対的な強さを支える材料
Funding(8時間換算)BTC +0.0026%、ETH +0.0010%ロングの過熱感は小さい
Open InterestBTC 489.9億ドル、ETH 265.4億ドル24時間変化はBTC +0.56%、ETH +0.24%。レバレッジ急増ではない
清算BTC 4,985万ドル、ETH 4,783万ドルショート清算の比率が高く、反発の一部は買い戻し
Coinbase Premium約-0.1%米国現物の追随はまだ弱い
現物CVD中立圏継続的な成行買い優勢には至っていない
ステーブルコイン供給約3,003億ドル、30日で-1.08%市場へ入る待機資金はまだ増えていない
BTC取引所残高約271.96万BTC、直近+0.15%潜在的な売却余力として注意

数値の確認先:BTC価格ETH価格Fear & Greed IndexBTC ETFフローETH ETFフローCoinGlassステーブルコイン供給

底値圏を示す証拠は増えた

45指標のうち41が割安圏側へ

今日の中心材料は、45のオンチェーン指標を統合した分析です。そのうち41が過去分布の下位40%に入り、総合スコアはFTX破綻時に近い19.9まで低下しました。

最初は底打ちに見えますが、同じ割安状態が数か月続いた例もあります。示しているのは価格帯の安さであり、反転の時期ではありません。

クジラは増えているが、中間層は減っている

取引所とマイナーを除くBTCクジラの保有量は約306万BTCとなり、前回強気相場のピーク約323万BTCへ近づいています。ETHでも10万ETH以上を持つウォレットが、2025年半ば以降に約180万ETHを積み増しました。

一方、ETHの中規模ウォレットは約1,560万ETHから1,290万ETHへ減少しています。大口は買っていますが、需要は市場全体へ広がっていません。価格を持続的に押し上げるには、中間層や米国現物の追随が必要です。

反発の質は「ETF」と「現物」で評価が分かれる

BTC ETFには8月5日に約2.44億ドル、直近3営業日で約6.26億ドルが流入しました。ETH ETFにも2営業日で約1.14億ドルが入り、今回の反発で最も明確な現物需要になっています。

FundingはBTC、ETHとも小幅なプラスで、Open Interestの24時間増加率も1%未満です。レバレッジロングが急増している状況とは異なります。

ただし、確認範囲ではBTC清算の86.6%、ETH清算の77%がショート側でした。上昇の一部は買い戻しであり、これだけでは長く支えられません。

Coinbase Premiumはマイナス圏、現物CVDは中立、ステーブルコイン供給は30日間で1.08%減少しました。ETFは買っている一方、米国現物と市場全体の待機資金はまだ増えていません。

今回の反発は「ETFに支えられた底固め」であり、広い現物需要による反転確認には届いていません。

マイナーは底値材料とAIへの移動を同時に示す

BTCの30日平均ハッシュレートは、9か月で1,108EH/sから898EH/sへ約19%低下しました。採掘難易度もピークから約20%下がり、15〜20%の採掘機器が赤字圏にあるとされています。

一見するとマイナーの降伏ですが、難易度低下は残った事業者の採算を改善し、BTC売却の必要性を下げる可能性があります。

今回はAIという別の選択肢があります。AI向けホスティングの採算はBTC採掘の3〜25倍との試算があり、電力や設備の移動は産業構造の変化につながります。

短期的には赤字マイナーの追加売却とハッシュプライス、中期的には難易度調整後の採算安定を確認したいところです。

実需は育つ一方、マクロ環境は一枚岩ではない

ステーブルコインは生活の決済レールへ

中南米のステーブルコイン送金は年間315億ドル、平均引き出し額は544ドルでした。99%以上が30日以内に移動し、貯蓄目的は6%にとどまります。

これは値上がりを待つ投資資金ではなく、送金や生活決済に使われる資金です。ただし、世界全体のステーブルコイン供給は減っているため、実利用の成長と相場へ入る待機資金は分けて考える必要があります。

銅高は前向きだが、景気全体の回復確認ではない

銅価格は過去最高値を更新し、次の上値目標として6.85ドルが意識されています。AIデータセンターや電力網への投資は強く、景気の先行指標として前向きです。

一方、木材価格は10営業日続落し、米国の一戸建て建設支出も前年同期比3.3%減少しました。銅と木材を並べると、世界経済が一様に回復しているというより、AI・電力インフラと住宅・家計需要が分かれています。

米国のマージン債務は過去最高水準です。設備投資の強さはBTCにも追い風ですが、株式市場でレバレッジ解消が起きればBTCも巻き込まれます。銅高はETFフロー、ドル、米金利と一緒に確認したい材料です。

規制面では、米CLARITY法案の手続きが記事時点で進まず、短期的な成立期待は後退しました。一方、ロシアの制度は個人投資額の上限や国内決済禁止を伴います。規制の速さと使いやすさは同じではありません。

昨日までとの差分

昨日まで確認できていたのは、ETFやOTCを通じて機関資金が市場を支えていることでした。今日はオンチェーンデータによって、取引所やマイナーを除くクジラが実際に保有量を増やしていることまで確認できました。

また、今日はAI向けホスティングとの採算差が示され、マイナー撤退を採掘サイクルだけでなく、電力と設備の移動として考える必要が出てきました。

円相場についても、昨日まで議論していた「金利差だけでは説明しにくい」という観察に対し、今日の記事では2025年4月以降、日米金利差と円相場の関係が弱まったとの分析が示されました。

ただし、原因をNISA経由の外国株購入と断定する材料ではなく、財政不安や資金フローを含めて検証を続ける段階です。

BTC価格予想|1週間〜1か月

シナリオ条件想定レンジ
強気65,700ドルを日足で突破。ETF流入が続き、Coinbase Premiumと現物CVDが改善68,500〜69,500ドル。その上に定着すれば72,000〜75,000ドル、最大78,000ドル付近
メイン62,000ドルを維持。ETFは流入するが、米国現物とステーブルコイン供給は横ばい62,000〜69,500ドルで底固め
弱気62,000ドルを日足で割り、ETF流入も失速。取引所残高やマイナー売却が増加60,000〜61,000ドル、次に57,500〜58,000ドル。そこも割れば54,000〜55,000ドル

中心はレンジ継続です。オンチェーンとETFは下値を支えていますが、Coinbase Premium、現物CVD、ステーブルコイン供給が上向かなければ、69,500ドル超えは続きにくいと考えます。

ETHについては、2,000ドル回復とETH/BTCの0.03台定着が確認できれば、アルトコインの反発が広がる条件になります。

ただし、BTCが62,000ドルを割る局面では、ETHやアルトの相対的な強さも一時的になりやすいため、BTCの安定が前提です。

Take-home message

  1. オンチェーン、クジラ、ETFの数字から、BTCが底値圏に近づいている証拠は増えました。
  2. FundingとOIに過熱感はありませんが、Coinbase Premiumとステーブルコイン供給が弱く、反発はまだ広い現物買いに支えられていません。
  3. 65,700ドル突破なら68,500〜69,500ドルへの反発、62,000ドル割れなら60,000ドル以下の再確認を条件付きで想定します。
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ABC Ledger 編集部
暗号資産・AI・米国株を、資金フローや需給、マクロ環境から分析するABC Ledger編集部です。ETFフロー、Funding Rate、Open Interest、現物CVDなどを組み合わせ、市場の背景を分かりやすく整理しています。

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