BTCは64,000ドルを超えられるか――米国需要不在とADA独歩高を数字で読む
ETF・Funding・OI・ステーブルコインから見る8月4日の暗号資産市場
BTCは約63,900ドルまで戻し、長期的に意識される200週移動平均線付近を維持しています。
一見すると、売り圧力を消化しながら底固めへ進んでいるように見えます。実際、価格を維持したまま暗号資産市場全体のOpen Interest(OI)が減少し、清算もショート側に偏っているため、前回までのように新規ロングだけで押し上げた反発とは少し形が異なります。
ただし、米国の現物需要を示すCoinbase Premiumは78営業日連続でマイナスです。BTC現物ETFには資金が戻ったものの、ステーブルコイン供給は週間・月間で減少しており、反発を継続させる現金買いはまだ十分ではありません。
この記事では、BTCが64,000ドル付近で止まっている理由、ADAの独歩高をどこまで評価できるか、そして現在の数字が1週間〜1か月の価格へどう反映されるかを整理します。
※価格・市場データは8月5日0時45分頃JST。ETFフローは米国市場で確定済みの8月3日分です。
主要指標
| 指標 | 現在の状況 | 見方 |
|---|---|---|
| BTC価格 | 約63,900ドル | 200週線付近を維持。64,200ドル前後が最初の壁 |
| ETH価格 | 約1,865ドル | 20日線付近。1,950ドル回復が上昇条件 |
| Fear & Greed Index | 25・Extreme Fear | 前日の28から悪化 |
| Funding Rate | プラス圏 | ロング側がコストを負担。ただし極端な過熱までは未確認 |
| 暗号資産全体OI | 1,098.8億ドル、24時間-1.89% | 価格を維持しながらレバレッジが減少 |
| BTC/ETH OI | 485.6億ドル/261.4億ドル | 先物取引の規模は依然大きい |
| 24時間清算額 | 2.09億ドル、前日比-41.07% | 清算規模は縮小し、足元ではショート清算が優勢 |
| Coinbase Premium | 約-0.1145% | 78営業日連続のマイナス |
| 現物ETFフロー | BTC +1.701億ドル/ETH -1,190万ドル | BTCには資金が戻ったが、ETHまで広がっていない |
| ステーブルコイン供給 | 3,002.77億ドル | 1日+0.14%、7日-0.73%、30日-1.05% |
| 取引所残高 | BTC約272万枚/ETH約1,512万枚 | BTCは横ばい、ETHは0.34%減少 |
| 現物CVD | 同時刻の検証可能な公開値なし | ETF、Coinbase Premium、ステーブルコインで補完 |
価格・OI・清算はCoinGlass、センチメントはAlternative.me、ETFフローはFarside Investors、ステーブルコイン供給はDefiLlamaを参照しています。
BTCは外部環境の改善をまだ価格へ取り込めていない
株高・原油安でも64,000ドルを突破できず
8月4日は、暗号資産にとって本来なら悪くない外部環境でした。
原油はイラン情勢の緩和期待から約5%下落し、米10年債利回りも4.64%まで低下しました。利上げ予想が後退するなか、Nasdaqは約2%上昇しています。
それでもBTCは64,000ドル未満で推移しました。CoinDeskの市場更新によると、米国株が上昇する間も暗号資産はほぼ横ばいでした。
最初は「マクロ環境が改善したのでBTCも上がりやすい」と考えられます。しかし実際の値動きは、外部環境だけではBTCを押し上げられないことを示しています。
米国株から暗号資産へ資金が移るには、暗号資産固有の買い手が必要です。
63,000〜64,200ドルが短期の分岐点
BTCの5日移動平均線は約63,774ドル、20日線と50日線は約64,160ドルです。さらに200週移動平均線も約63,770ドルに位置しています。
つまり現在は、長期支持線を維持しながら、短期の戻り売りに抑えられている状態です。日足RSIもほぼ50で、上昇・下落のどちらにも決まっていません。
保有者の状況も似ています。利益状態にあるBTC供給は55%未満で、短期保有者SOPRは0.9971と損益分岐点の1をわずかに下回っています。
売りが加速しているわけではありませんが、積極的な買い集めが確認されたわけでもありません。63,000ドル台は、底打ちが確定した場所ではなく、市場が次の方向を決めようとしている価格帯です。
反発の形は改善したが、現物資金が追いついていない
OI減少とショート清算は前向きな変化
暗号資産市場全体のOIは24時間で1.89%減少しました。一方、BTC価格は大きく崩れていません。
これは、ポジションを増やしながら価格を押し上げる反発とは異なります。レバレッジが整理されるなかで価格が維持され、ショート清算も上昇を支えました。
この組み合わせは、過剰なロングが積み上がる反発よりは安定しています。ただし、ショートカバーは継続的な現物買いではありません。買い戻しが一巡した後も価格を維持できるかが次の確認点です。
ETFの1日流入だけでは確認にならない
BTC現物ETFは8月3日に1億7,010万ドルの純流入となり、7月31日の2億6,540万ドル流出から改善しました。
しかし、米国需要を扱った記事では、Coinbase Premiumが約-0.1145%で、78営業日連続のマイナスとされています。
さらに、ステーブルコイン供給は1日では0.14%増えたものの、7日で0.73%、30日で1.05%減少しています。
ここから分かるのは、ETFの一部には資金が戻っても、市場全体の待機資金が増加へ転じたわけではないということです。BTC ETFの連続流入、Coinbase Premiumのゼロ近辺への回復、ステーブルコイン供給の週間増加が揃えば、反発の評価を一段引き上げられます。
ADAの上昇は強いが、レバレッジも増えている
出来高を伴った0.20ドルへの挑戦
8月第1週のアルトコイン分析では、ADAは7日間で24%上昇し、約0.1945ドルまで回復しました。
UBやALGOと異なり、ADAは出来高も増えています。価格だけでなく取引参加者が増えているため、今回の上昇には一定の裏付けがあります。
0.20ドルには、0.382フィボナッチ水準の0.2052ドルと、以前に割り込んだチャネル下限が重なっています。ここを明確に回復できれば、次は0.2258〜0.23ドルが意識されます。
ただし、ADA先物OIは過去最高の27.9億ADAまで増えました。現物出来高は強いものの、現在は「レバレッジの影響が小さい上昇」とまでは言い切れません。
0.20ドル突破と同時にOIが急増する場合は、上昇余地と清算リスクが同時に大きくなります。
ETHは短期価格より長期運用へ
BitMineは15万120ETHを追加でステーキングし、ステーキング残高を約507万ETH、保有量の87.4%まで引き上げました。
これは短期売買より、ETHを長期間運用して収益を得る判断です。取引所で即時売却されるETHを減らす点では、供給面にプラスです。
一方、最新のETH現物ETFは1,190万ドルの流出でした。企業の長期的な確信は確認できますが、市場全体の現物需要とは分けて考える必要があります。
ETHが1,950〜2,000ドルを回復できるかは、企業保有だけでなくETFフローが再び流入へ向かうかに左右されます。
Strategyの説明は売却以上に信頼が問われる
Strategyは1,638BTCを売却し、準備金や優先配当の資金を確保しました。その後、マイケル・セイラー氏は「個人のBTCは売っておらず、売却したのは上場企業であるStrategy」と説明しました。
個人資産と上場企業の資産が異なることは事実です。しかし、長年「BTCを売らない」と強く発信してきた人物の説明としては、言葉遊びに聞こえる可能性があります。
市場にとって重要なのは、誰の財布から売られたかではありません。どの条件で企業がBTCを売り、今後も追加売却する可能性があるかです。
計画的な売却で資金繰りを安定させられる点はメリットですが、企業保有BTCが必要に応じて供給へ変わることも明確になりました。セイラー氏の説明が今後も信頼されるかは、言葉より開示と一貫した資本政策によって決まります。
昨日までとの差分とBTC価格シナリオ
昨日までと何が変わったか
昨日まで警戒されていたのは、価格反発と同時にOIが増加し、現物よりレバレッジが先行する形でした。
現在は市場全体のOIが1.89%減少するなかでBTCが63,000ドル台を維持しています。少なくとも、レバレッジを増やし続けなければ価格を保てない状態からは少し改善しました。
一方、Coinbase Premiumのマイナス、ステーブルコイン供給の週間減少、ETH ETF流出は続いています。反発の土台は改善しましたが、現物需要の弱さは解消していません。
Strategyについても、売却の事実から、売却条件と経営陣の説明に焦点が移りました。企業によるBTC保有を評価する際は、保有枚数だけでなく、資金調達コストと売却ルールまで確認する段階に入っています。
1週間〜1か月の価格予想
| シナリオ | 条件 | BTC価格レンジ |
|---|---|---|
| 強気 | 64,200ドル回復、65,000ドル維持、66,500ドル突破。ETF連続流入とCoinbase Premium改善 | 68,000〜69,500ドル。1か月では72,000〜77,000ドル |
| メイン | 63,000ドル前後を維持するが、現物需要の改善は限定的 | 62,000〜66,500ドル |
| 弱気 | 62,000ドルを日足で割り、ETF流出や円高が重なる | 58,000〜60,000ドル。悪材料集中時は50,000〜55,000ドル |
現時点では、62,000〜66,500ドルの持ち合いをメインに考えます。
強気へ傾く最初の条件は、20日線・50日線が集まる64,200ドル前後の回復です。65,000ドルを日足で維持し、66,500ドルを突破できれば、100日線がある69,500ドル付近まで戻り余地が広がります。
反対に62,000ドルを割ると、60,000ドルと直近安値圏の58,000ドルが意識されます。円キャリートレードの急激な巻き戻し、CLARITY法案の失望、ETF再流出が同時に発生した場合は、50,000〜55,000ドルもテールリスクとして残ります。
Take-home message
- BTCの反発はOI減少とショート清算を伴っており、レバレッジを積み増すだけの反発からは少し改善しています。
- ADAの出来高増加やBitMineのETHステーキングは評価できますが、ADAの過去最高OIとETH ETF流出を考えると、アルト全体の回復が確認された段階ではありません。
- BTCは64,200〜66,500ドルの突破と現物資金の改善が強気条件となり、62,000ドル割れでは58,000〜60,000ドルの再確認が必要になります。
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